戦後民主主義に対する見解とは? わかりやすく解説

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戦後民主主義に対する見解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 07:39 UTC 版)

戦後民主主義」の記事における「戦後民主主義に対する見解」の解説

戦後民主主義近代立憲主義によって、日本人共同体意識根ざした良心失い利己主義走り家父長制純潔主義などの伝統文化破壊された」との主張保守的な論者から唱えられている。このような批判は、自由民主党1955年11月結党した際に綱領などで唱えたのを始め1960年代には福田恆存保守系人々の間で盛んに論じられた。 こうした論者は、戦後民主主義をしばしば「左翼」として批判する確かに戦後民主主義は「左翼」と呼ばれる社会民主主義者共産主義者支持受けている。しかし、戦後民主主義支持者は、必ずしも社民主義共産主義賛同しているわけではなく自由主義支持している者もいる。 『文化防衛論』『果たし得ていない約束―私の中の二十五年』など、多く評論戦後民主主義批判する三島由紀夫は、第二次世界大戦の敗戦により、それまでの「日本連続的な文化的な価値歴史的な価値精神的な価値」のすべて一切が「悪い」ものと見なされて、「国民精神」(永い民族歴史の中で日本人が培い、育ててきた伝統文化結晶)が一旦「御破算となってしまい、それがその後多少修正されたものの、すでに修正段階で「文化的価値」(国民精神)は、「政治的価値」(民主主義)よりも下位置かれ両者の間に「非常なギャップ」が出来てしまったとし、戦後民主主義から起こった近代的現象である大衆社会のことを、「全て呑み尽くしてしまふ怪物のやうな恐ろしいもの」としている。そして、戦後大衆社会において第一に優先される価値観は、「お金儲けて毎日楽しく暮らすこと」であり、そのためならば、自分の国の大事な文化財産であろうが「つまらなければ片つ端から捨ててしまふ」ということになってしまうと三島危惧し徐々に国民精神」が侵食され大衆が「政治関心を持つ」という「体裁いいこと」に関わり、真剣に考えずに、インテリらしく見えるというような気持ち日本社会党投票してみたり、日本共産党支持する美濃部亮吉都知事にしてしまう危うさ指摘したまた、より先鋭的立場をとる新左翼は、平和主義議会制民主主義といった戦後民主主義価値観攻撃する。特に1960年代後半から1970年代には、吉本隆明など反権威的立場からの戦後民主主義批判当時若者から熱い支持受けた。これらの新左翼リードした学生運動過激化背景には、自由主義寄り戦後民主主義と、それに迎合し穏健化した(と彼らがみなした共産党社会党への批判があった。 さらに、戦後民主主義擁護する立場から「右翼」と称され攻撃されている保守的意見にも、多様な見解があることを考慮する必要がある革新勢力のみでなく自由主義者からも戦後民主主義支持されたように戦後日本価値観変容から戦後民主主義あり方疑念抱いているのは、先の新左翼吉本の例からも見られる通り、何も保守派の者ばかりではない。またこれら保守論者批判しているのが「民主主義そのものではなく「“戦後民主主義」であることにも注目すべきであろう。「戦後民主主義」という言葉の定義自体革新勢力保守勢力とで異なっている、とも言えるまた、戦後民主主義とは似て否なる概念として、戦後レジームがある。こちらの方は「レジームであるから枠組」という意味であって戦後民主主義全部重ならないわけではないが、日本国憲法日米安保両方コインの裏表とする、戦後日本のおかれた(または選び取った世界の中での日本立ち位置意味する特徴吉田茂政治・外交路線であった軽武装経済発展路線吉田ドクトリン)である。こちらは、保守本流価値観として改憲事実上棚上げした池田内閣以降確立していった。戦後の政治学の文脈でいう自民党内の保守本流」とは、この吉田選んだ路線引き継いだ宏池会池田勇人創設者として、前尾繁三郎-大平正芳-鈴木善幸-宮澤喜一へと至る系譜)を指しており、「保守本流」と戦後レジーム重なる。例え戦後レジーム構築戦後まもなくから関わってきた宮澤喜一などは有名な護憲派であったし、宏池会系譜基本的に護憲路線であったその意味においては戦後民主主義者と重な部分多かった後述されている戦後民主主義批判者は自らを保守規定し戦後民主主義者を「左翼」として批判するが、戦後レジームからの脱却唱える人々立場からすれば、この「戦後レジーム」すらも批判的に見なされるのが常である。ただし、繰り返しになるが「戦後民主主義」と「戦後レジーム」は似て非なる概念であり、多分に重な部分があるとしても、その中心に位置するものは微妙に異なっている。 もともとは進歩的文化人岩波文化人だった清水幾太郎は、戦後民主主義価値体系は、戦前治安維持法への復讐であり、丸山眞男がいう「悔恨共同体」の深層には、治安維持法への知識人復讐感情怨恨共同体」があったのだとする。 ……戦後の「価値体系」、古い言い方では、戦後の「大義名分」、それは、「治安維持法への復讐」にあるような気が致します是が非でも、天皇制廃止して共和制実現しよう是が非でも、資本主義廃止して社会主義共産主義実現しよう。これが、戦後思想の二大公理であるよう思われます。 以下は、「戦後民主主義」に対す反対、批判的な立場見解の例である。 大日本帝国国策アンチテーゼとする民主主義、そのため戦前社会風潮に対して否定的である。 日本国憲法、また日本国憲法第9条不戦条項)の完全な非武装無防備無抵抗(国の主権祖国防衛民族独立をも全否定)を絶対視する反戦全体主義イデオロギー国家自衛権肯定、また国家あってこその国民という思想)。 戦後の時代教育された、民主主義のなかに育った人の民主主義。 “個人の自由”を絶対視して、これを否定する集団組織あり方ルール決まり基本的に悪とみなす「私」優先社会潮流。(辻創) 東京裁判史観基づいており、「日本国家官僚が行うことはすべてうす汚くて信用できない欧米には真の民主主義が花開いている」という命題前提となっている民主主義桶谷秀昭)。 戦後民主主義教育東京裁判史観基づいた歴史教育自虐史観として特徴付けられ、「事なかれ主義」「愛国心民族誇り欠落」などの弊害生んだ一因とされる民主主義。(新しい歴史教科書をつくる会日本会議など) いわゆる進歩的文化人国内外反日主義者対す批判日本国民多くが「戦後民主主義」を雰囲気的なものとしか受け止めず、自由と権利享受する責任義務果たそうとしないという見地。 「戦後民主主義」という言葉知識人教養人を示す一種キャッチフレーズ合言葉であり、その内実は厳密に問われると無く意味は薄いという批判。 「戦後民主主義」とは言いつつも、現状部落差別などの差別蔓延しているうえ、民主主義とは程遠い社会にあるとの立場日本社会党日本共産党を「戦後民主主義体制維持する補完物と規定しており、平和主義そのものブルジョア的だとして批判している場合もある。これは新左翼的な立場人々に、この傾向強く見られる。 以下は「戦後民主主義」に対す賛成肯定的な立場見解の例である。 日本人長く封建制度苦しめられてきたが、戦後、やっと個人尊重される社会実現された。 問題はあるとはいうものの、現憲法に明記されている、思想信条の自由学問の自由良心の自由などの個人内面に関する自由が認められ戦前のような権力による思想弾圧公権力学問への介入個人内面公権力入り込むとがない世の中戦後初め実現された。 日本誤った戦争へ反省から、平和主義選び国外で戦力行使しないという道を選んだことで、国際社会信用される国家となった(特にイスラム教徒などから)。 自由、人権平等などの諸価値は、人類普遍価値であって日本においては戦後初め全ての人に保障される至った幕府明治政府のようにこれまで日本では中世近世近代庶民政権選んだり、樹立することはなかったが、戦後になって初めて、政府国民選挙によって選ぶことができるようになった。 現憲法保障する価値おかげで圧倒的大多数国民解放され自分意思学問をして職に就ける社会がきた。

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