大毘婆沙論とは? わかりやすく解説

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だいびばしゃろん【大毘婆沙論】

読み方:だいびばしゃろん

小乗論書。唐の玄奘(げんじょう)訳。200巻。「発智論(ほっちろん)」の注釈書で、小乗教理集大成ともいうべき書。阿毘達磨(あびだつま)大毘婆沙論。婆沙論。婆沙。


大毘婆沙論〈巻第廿三/〉


阿毘達磨大毘婆沙論

(大毘婆沙論 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 00:50 UTC 版)

阿毘達磨大毘婆沙論
अभिधर्म महाविभाष शास्त्र), : Mahāvibhāṣa
基本情報
宗教 仏教
時期 西暦150年ごろ
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阿毘達磨大毘婆沙論(あびだつま だいびばしゃろん、: Mahāvibhāṣa[1])は、仏教の注釈書の1つ。略称として、『大毘婆沙論』や『婆沙論』が用いられる傾向にある。また、これらの略称を用いる際には主に玄奘訳の『阿毘逹磨大毘婆沙論』を指す。

概要

本論は説一切有部の教説をまとめたとされる『発智論』に対する浩瀚な注釈書である。玄奘の伝える伝説によれば、カニシカ王カシミールで主宰した結集の際の論蔵であるとされるが、定かではない。

本論は、玄奘訳の『阿毘逹磨大毘婆沙論』に対応するサンスクリット写本断片が一部発見されているものの、完全な梵本や蔵本は発見されていない。 それに対して漢訳においては玄奘による漢訳200巻(「新訳」と略称する)をはじめ、浮陀跋摩による漢訳60巻(「旧訳」と略称する)、僧伽跋澄による漢訳14巻(『鞞婆沙』と略称する)が存在する。 旧来、これらは同本異訳と見なされる傾向にあったが、近年の研究ではこれらは異本別訳と捉える傾向にある。

派生・影響

『阿毘曇心論』、『阿毘曇心論経』、『雑阿毘曇心論』、および『倶舎論』が本書の教理をまとめた綱要書であるとするのが木村泰賢以来、半ば定説化した学説である[2]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 石田 2015, p. 1287.
  2. ^ 田中 1987, p. 28.

参考文献

  • 木村泰賢「大毘婆沙論結集の因縁に就て」(『木村泰賢全集』6、明治書院
  • 河村孝照「法救造五事毘婆沙論についての検討 - 大毘婆沙論研究の一環として - 」(『印度学仏教学研究』13-2)
  • 桝田善夫「阿毘達磨大毘婆沙論の一特相」(『佛教大学仏教文化研究所所報』2)
  • 田中教照「使品より見た『阿毘曇心論』の位置」『印度學佛教學研究』第36巻第1号、JAPANESE ASSOCIATION OF INDIAN AND BUDDHIST STUDIES、1987年、28-35頁。 
  • 石田, 一裕 (2015年). “仏典は書き換えられるのか?―― 『大毘婆沙論』における「有別意趣」の考察を通して――”. 印度學佛教學研究 (日本印度学仏教学会) 63 (3): 1282-1288. doi:10.4259/ibk.63.3_1282. 

関連文献

関連項目



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