国鉄向け
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客車用TR23A 戦前には流線型電車の付随車2形式に装着するスウェーデン・SKF社製ころ軸受付きのTR23を区別するのに用いられたが、戦後は1948年以降落成する戦災復旧客車中の荷物車および日本銀行所有のマニ34形用に使用された。後者は枕ばねと軸ばねの定数が変更されているほか、従来輪軸抜きをしないと交換できなかった軸箱守ライナを在姿状態で交換できるようその形状および取り付け方法が変更された。 TR23B 1947年以降落成する戦災復旧客車および郵政省所有のオユ36形用として、TR34の軸箱守にTR23の輪軸と平軸受を組み合わせばねの組み合わせを変更したモデル。終戦後、日本製ころ軸受が鉄道業界に導入され始めた初期、焼き付きなどの低信頼性に悩まされていた時期の設計であり、信頼性を重視して在来型の平軸受が採用されたと見られている。 TR23C TR23Aの軸箱にころ軸受(TR34およびTR23E以降のものとは別設計)を試験的に取り付けたもので、オハ35形4両とオハユニ71形3両に装着され各種試験が実施されたのち、輪軸と軸箱を交換し、TR23A同等に改修された。 TR23D オロ35形の近代化改装工事およびスハネ30形(2代)の寝台車設備復元工事にあわせ、もとのTR23の揺れ枕吊りの長さを310 mmからTR40Bと同等の540 mmに延長して乗り心地の改善を図ったモデル。揺れ枕吊りと干渉するトランサムを交換したため、側枠とトランサムの接合部のリベットを一旦全て抜いて完全解体を行う必要があった。このため、乗り心地改善の効果は大きかったが、改造は最小限の数に留められた。のちにTR40Bを装着するスロ54形の冷房改造に伴う自重増を軽減するために本形式を装着する車両と台車の振り替えが施工された。 TR23E TR23Dにころ軸受化改造を追施工したもの。Dと同様、特別二等車用限定で施工されたため、改造数はわずかである。なお、このEで採用されたころ軸受はTR23C・TR34用とは異なり円筒ころ軸受を使用しているため、スラスト力をころで受け止めず、別途突き出し部に内蔵されたスラストばねで受け止めるよう変更されて小型化が実現し、従来の平軸受用軸箱守を無改造で使用可能となった。この新型軸受の完成後、国鉄および私鉄各社で平軸受台車のころ軸受化が急速に進んだ。 TR23F スハ32系の廃車が進んだ時期に、他形式への転用が実施された際に心皿部分を改修したもの。外観上は従来と一切変化がない。 TR23G 一般型客車各形式のマニ36形への改造時に、ころ軸受化とばねの強化を実施したもの。 TR23H スハ43に装着し、オハ47とするため、ころ軸受化の上で心皿改修を実施したもの。 TR34 本形式をころ軸受化したタイプ。軸箱寸法が大型化したため、側枠形状やペデスタル部の形状が変更されている。 TR35U オユ40 → スユ40形用として電車用のTR35 (DT13) を設計変更したもの。TR23B同様の平軸受とした以外、軸距2,500 mm、車輪径910 mmとブレーキワークも含め、TR35と同等のスペックで製造された。 TR73 本形式と同時設計された優等車用3軸ボギー台車。TR23と同様、1930年製造分とそれ以降で軸箱守と側梁の接合部および軸箱守控の設計の相違により、2種類に分かれる。 TR73A 1950・51年にTR73を改修し、TR23D・Eと同様に揺れ枕吊りリンクを延長して乗り心地の改善を図ったもの。展望車から優先的に施工された。 TR73B 1952年にTR73を改修し、揺れ枕吊りリンクの延長と同時に、下揺れ枕を新製してここに防振ゴムを挿入したタイプ。旧1号御料車をはじめ優等車各車種で工事が実施された。 TR73C TR73Bの改造メニューを基本としつつ、側受と2つの上揺れ枕を結ぶアーチバーを交換して側受直下に防振ゴムを挿入したもの。食堂車を中心に1955年まで施行された。 仮称TR77 TR23に対するTR34と同様、TR73に対応するころ軸受付き3軸ボギー台車として計画されたもの。戦後は床下機器の増加や台車設計の進歩などから優等車向けとしての3軸ボギー台車製造が行われなくなったため、実際には製造されずに終わった。 電車用TR25 (DT12) 40系・42系・51系などの電動車用。重い主電動機を裝架する必要性と電装品搭載に伴う心皿荷重の増大に対応し、軸距を2,450 mmから2,500 mmに50 mm延長、枕ばねに用いる重ね板ばねを3列から4列に増やして荷重上限を拡大、更に主電動機の外径に合わせ、車輪径も910 mmに拡大されている。ごく一部が戦前の段階でブレーキ装置を台車シリンダー方式に変更して試験を実施した。 TR25A (DT12A) 52系(関西急電)の電動車用。輸入品のスウェーデンSKF社製ころ軸受を装着した。また、これとは別に、その後TR35に改称されるまで、同形の台車をTR25Aと呼称した時期があり、台車銘板にもその刻印が存在した。 TR35 (DT13) TR34に対する電動車用に相当。軸距2,500 mm、車輪径910 mmで国産のころ軸受を備え、63系・72系に大量に採用された。 TR36 TR35の付随車用。軸距2,450 mm、車輪径860 mmで、同じく63系・72系に大量に採用された。 TR39 (DT15) 本形式の設計を基本に、TR37と同様に側枠を一体鋳鋼製に変更したもの。これによりローワーレールが不要となり省略されたため、外観の印象は大きく異なる。側枠とトランサムの接合部はリーマボルトで固定してあり、TR37と同様丸穴が4×2個ずつ左右に並ぶタイプと、2x2で長穴が左右に並ぶタイプの2種が製造された。 TR39A (DT16) TR39の改良型。側枠形状が変更され、肉抜き穴を設けて軽量化が図られた。80系電車の電動車用として採用され、モユニ81形とモハ80形に装着された。 TR43・43A 80系電車の付随車用として、TR36の揺れ枕吊りリンクを延長し、枕ばねを改良したもの。TR43はクハ86・サハ87に採用された。TR43Aは枕ばねを2列にしてばね定数を下げたものでサロ85に採用。 TR45・45A TR43・43Aに小改良を加えたもの。 気動車用TR30 - 33 キハ43000・キサハ43500形に採用。車種・目的別に形式が細分化され、軸距がキハ用のTR30・31が2450mm、キサハ用のTR32・33が2140mmと分けられていた。
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国鉄向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 08:29 UTC 版)
明治末から大正時代にかけてを代表する国鉄台車であり、多数の派生形式が設計されている。 客車用2軸ボギーTR11:1919年以降製造のグループ。22000系やオハ31系などに大量に採用された。明治45年式2軸ボギー台車からの変更点は改軌論争の影響による車軸の10t長軸への変更とこれに伴うトランサムや端梁の幅員拡大、軸距の2,450mmへの変更、国産化が難しく輸入品が長らく使用されていた車輪のタイヤ部への国産品の採用による完全国産化の実現などで、幅員拡大の影響で車体側トラス棒との干渉が生じるようになったため、端梁形状がこれを回避する目的で複雑になり、また側梁上部の両端付近が斜めに削られるなどの加工も実施された。国鉄だけではなく省制式客車に準じた構造の客車を導入した一部私鉄でも本形式の同等品が採用されており、特に東武鉄道が導入したものは装着車の電車化改造の後、車体更新を経て上毛電気鉄道へ譲渡され、20世紀の終わりまで現役で使用された。 TR12:TR11の車軸を荷重上限の大きな12t長軸に変更したもの。主として3等荷物合造車などに使用された。この台車は第2次世界大戦後、その大荷重対応が好まれて西武鉄道が重点的かつ大量に払い下げを受け、徹底的な整備の上で電車用(制御・付随車用)として使用したことが知られている。 TR13:TR11の荷物車用。TR12と同様、車軸を12t長軸に変更してあり各部設計も共通するが、こちらは側梁のボルスタ付近に補強板が当初より貼り付けてあり、また大荷重に耐えられるよう、釣り合いばねの直径が大きい。 TR44:暖房車のマヌ34形用として、廃車発生品のTR11を流用しトキ900形の短軸車軸を装着可能な様に端梁・トランサムなどの幅員を切削加工により縮小改造したもの。大荷重に対応すべくTR13などと同様、側梁中央のトランサム接合部に補強板が貼付してあった。 客車用3軸ボギーTR70:TR10と同時期に製造された明治44年式6輪ボギー台車などを改称したもの。御料車用の特注品などを含み、小ロット単位で製造されたため、非常にバリエーションが多い。 TR71:TR11に対応する3軸ボギー台車。28400系やオハ31系に属する20 m級優等客車用として製造された。各軸間の軸距は当初1,753mmであったがメートル法施行後は1,740mmに変更された。車軸は10t長軸。 TR72:TR13に対応する3軸ボギー台車。大荷重の20m級荷物車用として1926年より製造された。そのため各軸間の軸距は1,740mmのみであるが、TR11 - 13・71と同様、木造車用と鋼製車用とでは端梁の構造に相違がある。車軸は12t長軸。 TR74:1929年に製造されたスシ37740形用として製造。既に次代のTR73が設計された後の形式だが、在庫の球山形鋼を消化するためにあえてTR71の設計が採用されたと伝えられている。 TR75:1930年に製造されたカニ39500形用としてTR72の枕ばねを設計変更したもの。車軸は12t長軸。 TR76:オイテ27000形を鋼製化改造しスイテ37050形に改造する際に、TR71の軸距1,753 mmタイプを一部改造して乗り心地の改善を図ったもの。 電車用大正6年式台車(TR14→DT10):TR11を電車用に設計変更したもの。当時としては大型の105馬力級電動機に対応すべく軸距が2,440 mmに、車輪径が860 mmから910 mmに拡大され、基礎ブレーキ装置(ブレーキワーク)も台車枠上部の空間に余裕が無くなったことなどから、片方の車輪の内側のレバーから隣の車輪の内側レバー、外側レバーを経て最初の車輪の外側レバーをロッドで連動動作させる、直列式の複雑な機構を採用している。なお、軸距はモハ10形に採用された第2陣以降、主電動機が150馬力級となってさらに大型化したことから軸距を10 mm伸ばして2,450 mmに延伸している。また、本形式は装着車の払い下げにより、各私鉄へ譲渡されたものが多数存在するが、特に戦後相模鉄道へ払い下げられたものは、枕ばねのコイルばね化とペデスタル部分の新製交換、オイルダンパの追加、ころ軸受化などの徹底的な改修を施された。同様に、下に示した西武鉄道のように他社でも近代化改造の一環としてころ軸受化やペデスタル部の強化・更新を行った例が、本形式とTR11・12について少なからず存在する。
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