うか・ぶ【浮(か)ぶ/×泛かぶ】
読み方:うかぶ
[動バ五(四)]
1 物が液体の表面や中間、または空中に存在する。浮く。「雲が—・ぶ」「ボートが湖水に—・ぶ」「太平洋に—・ぶ島」⇔沈む。
2 物が液体の表面や空中などに、底から離れて上がる。浮く。浮かび上がる。「沈没船から油が—・ぶ」⇔沈む。
3 心の中に上ってくる。意識に出てくる。「名案が—・ぶ」「彼のおもかげが—・ぶ」
4 表面に出てくる。「苦悩の表情が—・ぶ」「涙が目に—・ぶ」
5 物がその姿かたちを目立たせる。「霧の中に木立が黒く—・んでいる」
6 よくない境遇から脱する。よい方に事態が向かう。→浮かばれる
「小夜さんが其気になりゃ、小夜さんも幸福(しあわせ)だし、君も—・ぶ」〈二葉亭・其面影〉
7 陽気になる。浮く。
8 死者の霊が慰められて安らかになる。成仏する。→浮かばれる
「流れ出(いづ)る涙に今日は沈むとも—・ばむ末を猶(なほ)思はなむ」〈山家集・下〉
9 気持ちなどが動いて定まらない。落ち着かない。うわついている。
「都にはいと—・びたる事ども、心のひきひき言ひしろふ」〈増鏡・三神山〉
→浮く[用法]
浮
うかぶ
出典:『Wiktionary』 (2021/10/24 15:28 UTC 版)
動詞 1
- 地面や床、壁などの地表面から離れ、液体表面や液体中、気体中などに存在している。また、そのように見える。
- 野生の大きい幾株を引抜いて来た。到るところに栽え込むと、[...]あるものは小さい池の岸を掩って、水に浮かぶ鯉の影をかくしている。(岡本綺堂『我家の園芸』)
- スプレーの濁り水に浮ぶ波紋を後年映画「ベルリン」の一場面で見せられたときには、往年の記憶が[...]甦って来るのを感じたのであった。(寺田寅彦『ベルリン大学(1909-1910)』)
- ある日二階の縁側に立って南から西の空に浮かぶ雲をながめていた。(寺田寅彦『春六題』)
- 紺碧の空に浮ぶ一点の雲(長沢佑『白い魔の手』)
- 松花江に軍艦が浮んですでに十五年になるが旧東北軍により新艦が建造されたことは一度もない(『大阪時事新報』「松花江上近く優秀艦艇泛ぶ」 - 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫)
- 東南に向った海の眺め、海に浮ぶ二三の島の眺め、それらを越して向うに見渡さるる四国路の山から山の大きい眺め、流石に私も暫しは疲れを忘るる心地になった。(若山牧水『みなかみ紀行』)
- 表に現れる。
- 奥から表面に現れ出る。水中から水面に移動する。
- 感情が表出する。
- (場景や想像、記憶などが)頭に思い起こされる。
- 『いいや、いいや!』と彼が云ふ 『ちがつてゐるよ』と僕が云ふ と、目が覚める、と、彼はもうとつくに死んだ奴なんだ それから彼の永眠してゐる、墓場のことなぞ目に浮ぶ……(中原中也『蝉』)
- 名辞が早く脳裡に浮ぶといふことは、尠くも芸術家にとつては不幸だ。名辞が早く浮ぶといふことは、「かせがねばならぬ」といふ、二次的意識に属する。(中原中也『宮沢賢治の世界』)
- 五十年前の日本人は「神」といふ言葉を聞いた時、大抵[...]首のまはりに勾玉をかけた男女の姿を感じたものである。しかし今日の日本人は――少くとも今日の青年は大抵長と顋髯をのばした西洋人を感じてゐるらしい。言葉は同じ「神」である。が、心に浮かぶ姿はこの位すでに変遷してゐる。(芥川龍之介『文章と言葉と』)
- 考えを思い付く。ひらめく。
- (おぼろげだったものやことが)はっきりとする。
- 陽気だ。浮つく。浮く。
- (まれ) 予定していた費用や時間よりも少なく済む。浮く。
- 品川から金杉橋までの道路を止めれば八百万円浮かぶことが出来る(『中外商業新報』「復興事業の進捗と完成後の「東京」 - 神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫)
- (多く「浮かばれる」の形で) 悔しさや無念さが解消される。
活用
発音
関連語
- 語義1
- 類義語: 浮遊する
- 対義語: 沈む
- 語義2-1
- 類義語: 浮上する
- 対義語: 沈む
- 派生語: 浮かび上がる、浮かび出る
- 語義2-3
- 熟語: 目に浮かぶ、胸に浮かぶ、頭に浮かぶ
- 語義2-5
- 対義語: ぼやける
- 語義3
- 対義語: 沈む
- 語義4
- 対義語: 嵩む
翻訳
- アラビア語: طَفَا (ar)
- イタリア語: galleggiare (it)
- イディッシュ語: שווימען (yi)
- インドネシア語: apung (id)
- 英語: float (en)
- オランダ語: drijven (nl)
- カタルーニャ語: flotar (ca)
- ガリシア語: flotar (gl)
- クメール語: អន្ដែត (km) (on-dait)
- ケチュア語: tuytuy (qu), wamp'uy (qu)
- スウェーデン語: flyta (sv)
- スペイン語: flotar (es)
- スンダ語: ambang (su)
- ソルブ語:
- チェコ語: plavat (cs), plout (cs)
- 中国語:
- テルグ語: తేలు (te)
- ドイツ語: treiben (de), schwimmen (de), schweben (de)
- ノルマン語: fliotter (nrf)
- ハンガリー語: lebeg (hu), úszik (hu)
- ビルマ語: မျော (my)
- フィンランド語: kellua (fi)
- フランス語: flotter (fr)
- ブルガリア語: плавам (bg)
- ベトナム語: nổi (vi)
- ベラルーシ語: (abstract) пла́ваць (be) (未完了相), папла́ваць (be) (完了相), (concrete) плыць (be) (未完了相), паплы́ць (be) (完了相)
- ポルトガル語: boiar (pt), flutuar (pt)
- マオリ語: mānu (mi), pōrena (mi) (as oil on water)
- ラテン語: fluito (la)
- リトアニア語: plūduriuoti (lt) (未完了相), plaukti (lt) (未完了相)
- ルーマニア語: pluti (ro)
- ロシア語: пла́вать (ru) (未完了相), всплывать (ru) (完了相), всплыть (ru) (未完了相) (to reach the surface)
- ロマンシュ語: flottar (rm)
- ワライ語: lu-taw (war)
- 英語: come to mind, leap to mind, spring to mind
- オランダ語: te binnen schieten (nl)
- スコットランド・ゲール語: buail an ceann (gd)
- ドイツ語: in den Sinn kommen (de)
- フィンランド語: tulla mieleen (fi), muistua mieleen (fi), juolahtaa mieleen (fi)
- フランス語: venir à l'esprit (fr), passer par la tête (fr)
- マオリ語: kowhana (mi), totoko (mi), wheriko (mi)
- ラテン語: subeo (la)
- ロシア語: приходи́ть на ум (ru), приходи́ть в го́лову (ru)
動詞 2
活用
関連語
発音
動詞
うかぶ【浮かぶ】
バ行四段活用 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
うか | ば | び | ぶ | ぶ | べ | べ |
うかぶ【浮かぶ】
バ行下二段活用 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
うか | べ | べ | ぶ | ぶる | ぶれ | べよ |
諸言語への影響
泛
瀲
「うかぶ」の例文・使い方・用例・文例
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