奴とは? わかりやすく解説

しゃつ【奴】

読み方:しゃつ

[代]三人称人代名詞第三者ののしっていう語。あいつ。きゃつ。やつ。

「—ここへ引き寄せよ」〈平家・二〉


つぶね【奴】

読み方:つぶね

しもべ。召し使い

恩愛の—となりて」〈沙石集・四〉

仕えること。奉仕

朝夕の—もことにまめやかに」〈読・雨月吉備津の釜


ど【奴】

読み方:ど

常用漢字] [音](漢) ヌ(呉) [訓]やっこ やつ

[一]〈ド〉

金で買われ召使い。「奴婢(どひ)・奴僕奴隷/人奴・農奴

人を卑しめていう語。「奴輩守銭奴

[二]〈ヌ〉[一]1に同じ。「奴婢(ぬひ)・奴僕

難読彼奴(あいつ・きやつ)・此奴(こいつ)・其奴(そいつ)・何奴(どいつ)


ぬ【奴/怒】

読み方:ぬ

〈奴〉⇒ど

〈怒〉⇒ど


め【奴】

読み方:め

接尾人名または人や動物を表す名詞代名詞などに付く。

人や動物などをののしったり、卑しめたりするときに用いる。「ばか—」「こいつ—」

自分自分に関することを卑下した謙遜(けんそん)したりして言うときに用いる。「私—にお命じください


やつ【奴】

読み方:やつ

【一】[名]《「やっこ」の音変化という》

人を卑しめていう語。また、目下の者に親愛の意をこめていう語。「なんて—だ」「弟はいい—だ」

物事ぞんざいにさしていう語。「そっちの—をとってくれ」

形式名詞「こと」「もの」の意をくだけていう語。

真っ直東京へ入ればいい—を」〈万太郎末枯

鳥獣などを卑しめていう語。

はさこそは人をおびやかせど、事にもあらぬ—」〈源・手習

【二】[代]三人称人代名詞他人卑しめたり対等下の人くだけた態度親しみこめたりして用いる。あいつ。「—はまだ来ないか」


やっこ【奴】

読み方:やっこ

【一】[名]《「やつこ」の音変化

下僕。しもべ。

生きて再び恋愛の—となり」〈福田英子妾の半生涯

江戸時代武家中間(ちゅうげん)。頭を撥鬢(ばちびん)に結い鎌髭(かまひげ)を生やし長柄(ながえ)・挟み箱などを持って行列供先務めた

江戸初期男伊達(おとこだて)・侠客(きょうかく)。町奴旗本奴とがあった。

奴頭」「奴豆腐」「奴踊り」「奴凧(やっこだこ)」などの略。

江戸時代身分刑の一。重罪人の妻子関所破りをした女などを捕らえて籍を削って牢(ろう)に入れ希望者に与えて婢(ひ)としたもの

男伊達振る舞いをまねた遊女

近世まのあたり見及びたる—には、江戸勝山、京には三笠蔵人」〈色道大鏡・四〉

【二】[代]やっこさん【三】」に同じ。

どっちかと言や、—の方がずっと熱をあげてるでしょうな」〈高見如何なる星の下に

奴の画像

や‐つ‐こ【臣/奴】

読み方:やつこ

《「家つ子」の意》

【一】[名]

古代最下級の隷属民財物として売買譲渡対象となり、労働使役された者。家族構成することができなかった。奴婢(ぬひ)。

住吉(すみのえ)の小田を刈らす児—かもなき—あれど妹がみためと私田(わたくしだ)刈る」〈万・一二七五〉

家来臣下また、従者。しもべ。

「君をば天とす。—らをば地とす」〈推古紀〉

そのものとらわれて心身の自由を奪われることのたとえ。とりこ。

ますらをの聡(さと)き心も今はなし恋の—に我(あれ)は死ぬべし」〈二九〇七〉

人などをののしっていう語。やつ。

反(まつがへ)りしひてあれやは三栗中上り来ぬ麻呂といふ—」〈万・一七八三〉

【二】[代]一人称人代名詞自分へりくだっていう語。男女とも用いる。わたくしめ

「—はこれ国つ神なり」〈神武紀


読み方:ヤッコyakko

侠気のある人、男気のある人、任侠義侠仁義の人。

別名 侠客(きょうかく)


奴【やっこ】


読み方:やっこ

  1. 1 太鼓持ちをいふ、京阪方言。2 島田髷をいふ、京阪方言。3 やつこ豆腐の略。やつこは「冷つこい」の訛りにして、豆腐四角に切り水漬し醤油つけ薬味を添えて食するもの。
  2. 鶏姦相手にて年若の者。或は京阪地方方言にて幇間たいこもち)のことを云ふ。
  3. 職人小僧のこと。⑵幇間のこと。⑶豆腐一寸角位に切つたもの。

分類 京阪京阪地方


読み方:やっこ

  1. 男色ノ事ヲ云フ。〔第六類 人身之部・北海道庁
  2. 男女同性間〓姦ノ情交アル相手若年者。〔第二類 人物風俗
  3. 鶏姦相手になる者で年若のもの。

分類 北海道庁


読み方:やっこ

  1. 〔的〕人力車夫などが使ふ語、道の悪いこと。車のおどることに云ふ。「ヤナギ」の反対

分類 的/人力車夫

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/20 08:45 UTC 版)

(やっこ)は、江戸時代武家下僕のこと。『古事記』が編纂された古代においては奴は奴隷階級を意味したと考えられる[要出典]


注釈

  1. ^ 歌舞伎を描いた江戸時代末の錦絵に、人が奴凧をまねる場面がある[5]
  2. ^ 昭和天皇の即位記念に時代風俗行列が催され、奴の扮装で大名の供揃い[7]にならび、また駕籠(かご)を担ぐ人々[8]の写真が伝わる。
  3. ^ 『豊国画帖』の描いた歌舞伎役者市川市蔵奴凧のふりをする。天井から吊るされ、宙乗りにより舞台の上を舞う。

出典

  1. ^ 鬼頭 1994, p. 217.
  2. ^ 露谷 1911, p. 30頁 (コマ番号0017.jp2), 「(三十四)奴豆腐」.
  3. ^ 村井 1924, pp. 185-186頁 (コマ番号0113.jp2-0114.jp2), 「磯奴豆腐」、「枝豆の奴豆腐」.
  4. ^ 露谷 1911, pp. 67−68頁 (コマ番号0035.jp2-), 「(九十七)湯奴 」.
  5. ^ a b 歌川 1862, 「奴凧平(市川市蔵・夢想兵衛 下り中村鶴助)」2枚組の右片.
  6. ^ 秋山 1986, pp. 1362–1365.
  7. ^ 共進社 1929, p. (コマ番号0122.jp2), 「時代風俗行列」.
  8. ^ 共進社 1929, p. (コマ番号0124.jp2), 「元氣な奴さん / 大久保彦左衞門」.
  9. ^ 豊国 1860, 「一世一代岸沢古式部 § 花見帰の供奴」.
  10. ^ 酒井 1923, p. 1.
  11. ^ 吉田 1936, p. 46.


「奴」の続きの解説一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 09:17 UTC 版)

綴子大太鼓」の記事における「奴」の解説

上町 鉢巻宇金(黄)、襷に紫と赤を用いる。 下町 鉢巻太古(薄オレンジ)、襷に紫と新橋水色)を用いる。 勢いよく走り見物人すれすれに穂先突き出す押え 挟箱担ぎ 子供達による奴踊 湯立神事(作占い

※この「奴」の解説は、「綴子大太鼓」の解説の一部です。
「奴」を含む「綴子大太鼓」の記事については、「綴子大太鼓」の概要を参照ください。

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出典:『Wiktionary』 (2021/09/19 11:19 UTC 版)

発音(?)

名詞

  1. やっこ)(の転)家来いえ
  2. やっこ徳川時代における武家下僕中間
  3. やっこ徳川時代侠客
  4. やつ)人や物などをぞんざいに言う語。

代名詞

  1. やつ (口語) 三人称、特に男性対す卑称

熟語


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