コンパクトカセット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/23 06:40 UTC 版)
現在の主要なテープ製造・販売会社
※2019年(令和元年)7月現在。太字…ハイグレードタイプ、○印…ハイポジション。
電器・音響系
業務用カセットテープメーカーを除く。
- マクセル(旧・日立マクセル) : UR(UR-10M・UR-20M・UR-30M・UR-46M・UR-60M・UR-90M[11])、音楽用カセットテープ(UL-10(H)・UL-60(H)、ザ・ダイソー専売品)
- かつては高精度ハーフを核とする高性能な製品群を擁し、COCOMの対東側禁輸品に指定されたという超高級カセット (Metal-Vertex)も製造していた。このこともあってか、日本メーカーでは上級カセットのラインナップが近年まで最も豊富であった。同社の"UL(→UR)"、"UD (→UDI)"、"XLII"、"MX"はTDKと並びデッキメーカーの基準品として採用されており、同じ系列会社の"Lo-D"ブランドを擁する日立家電(当時)や音響メーカーTEACなどが採用、テープのOEMも行っていた。他にも流通系で生協 (Co-op)やツタヤ、ダイエー、イオングループ等のPB製品にもOEMを行っていた。
- URのテープに使用されている磁性体・ベースフィルムは2017年1月出荷分以前はSKC製のOEMの低級LH用のものが用いられた。その後、同年2月出荷分以降よりマクセルのインドネシア工場で磁性体・ベースフィルム共々100%内製化された。また2014年2月の出荷分以降より製造コスト削減の理由で遮磁板が割愛されるようになった。
- 2016年11月25日には同社のカセットテープ発売開始50年記念として1972年(昭和47年)発売当時のUDのカセットハーフ、およびラベル、ケース等の意匠を復刻した『UD デザイン復刻版』が数量限定(全ラインアップ(C10・C46・C60・C90)合計6万巻の限定生産)で発売された[注釈 25]。ただし、テープの中身(磁性体・ベースフィルム)自体は同社の既存のUR相当のものが使用されていた[7][12]。
- stereo 2019年11月号(音楽之友社)の付録として、新開発の磁性体を採用した「UD60FM」が発売された。
- ナガオカ : CT(CT-10・CT-20・CT-60・CT-90)
流通系・他
- 大創産業(ザ・ダイソー): カセットテープ(品番G134など。ノーマルポジション : C-10・C-20・C-60・C-90)
- 過去の製品 : Daiso, Flower, Zebra,LX, GX(120のみ), QX○(以上韓国SKCのOEM)、DS2○(TDKのOEM)、MEo(SAEHANのOEM)、ハイポジション○ : C-60・C-120。
- 2019年現在としては国内販売されるカセットテープではもっともアルバムの録音時間を考慮させたラインナップ群であり製造国もインドネシア製から中国製に移行中であるが、2015年には、韓国製のC-90が新発売されており、この製品はケースが簡略化されている。ハイポジションについては韓国製で、以前はハイポジションと謳っているが、なぜか検出孔及びテープはノーマルと同様となっており、実質的にノーマルテープであったのだが、2013年8月後半頃に流通が開始されたものは検出孔およびテープはハイポジション仕様に改定された。他にテープのハブストッパが赤色から白色となり、テープ直径が大きくなるなどの細かな違いが確認されている。なお、この改定型ハイポジションII 120分テープが、2016年11月現在、現行唯一のハイポジションテープとなっている。[注釈 26]また、2013年10月ごろには60分テープが新たにラインナップされた。また、ダイソーのハイポジはSAEHANのOEMである(セハン製のハーフとハブと同じ)。しかし、ハイポジションは流通在庫のみ。
- 録音時間の長短に関わらず基本的に2本組108円で販売されていたが、C-10を除くハイポジションテープと全てのC-120については1本108円となっていた。2015年中期以降はカセットテープは全て108円の単品販売となる。このほか乾式のクリーニングカセットもある。※QXは発売当時、ダイソーオリジナルカセットで唯一のハイポジションテープであったが、DS2の発売に伴い絶版となっている。また、Zebraは初期のみ独BASFのテープ使用。後期のZebraはSKCのOEM。Zebraの組み立ては両方シンガポール。このほかに有名メーカーの在庫放出品と思われる商品が売られることもあるが、こちらは一部を除き録音時間の長短にかかわらず1本108円である。これらの有名メーカー品にはソニーのESシリーズのハイポジションやメタルなど本来ならば高額なカセットも販売されていた時期があった。
- 薦田紙工業(こもだかみこうぎょう): カセットテープ(ノーマルポジション : C-10・C-20・C-60・C-90)
- 韓国SKC製の業務用LHテープ(シースルーハーフではない)で、C-10・20・60・90が1本で発売されている。初期のタイプは白色ハーフだったが、2013年8月頃に再生産されたC-120から順次黒色ハーフに切り替えられている。ただし、C-20については当初から黒色ハーフになっている。ちなみに、初期のC-120はC-150のテープを流用しているためか、他社のC-120と比べてテープの直径が小さくなっていたのだが、黒ハーフになってからは他社とほぼ同様の直径に改良されている。また、黒ハーフのC-90の一部には、C-120のテープを流用していたためか、他社のC-90よりテープの直径が小さくなっているものが混在していた。2016年11月現在の時点でC-30、C-120は流通在庫のみ販売されていたがいずれも2017年末までに終売となった。長らくC-120以外は2本入りで販売されていたが、2015年9月ごろに再生産された物から1本入りに変更され、ケースも簡略化されたものに変更されている。大創産業以外の100円均一ショップで販売されている。
- 磁気研究所: カセットテープ(ノーマルポジション : 10・60・90・120)
海外
(日本国内での正式販売はないので、輸入問屋などを通じるなどして購入可能)
- Quantegy(米)(旧Ampex) : IRC, AVX, 472○
- Emtec/RMG(独)(旧BASF) : FEI, CEII○, CSII○SHOP99でSOUNDⅠを発売していた時期もあった。
- RAKS(トルコ) : DX, RX, SP1, SP-1S, ED-X, ED-S, ED-SX, SP2○, SP-2S○, SD-X○, SD-S○, SD-SX○, SP-Metal○(メタルポジション), Cabrio(ポジション不明、カーステレオ用耐熱タイプ)1980年代末期には国内の一部地域でも販売されていたことがある。
- General (シンガポール) : MX(メタルテープ)を2014年7月現在、生産し発売している。
注釈
- ^ ソニーのカセットテープは1970年頃、厚みを工程上識別するためリーダーテープそのものにも色がついていた。
- ^ ただし近年ではオートリバースラジカセを利用したりSDメモリーカードやUSBメモリ、CD等の各種代替メディアをリピート再生する場合が多くなった。
- ^ 10秒 - 6分程度(例:TDK「EC」など)。同社海外市場向けは12分の製品が存在する。
- ^ これはカセットの位置決めが見えない側を基準に行われるためである。
- ^ オープンリールテープレコーダーでは性能を優先してモノラル記録とステレオ記録でトラック配置が異なっており、一般には互換性がない。ただしコンパクトカセットのようなスペースの制約がないので、モノラル用とステレオ用に別々のヘッドを備えたり、あるいは多トラックのヘッドを備えて、モノラルでもステレオでも使えるようにしたレコーダーもある。
- ^ これは表記上の値で、正確な値は 15/8 in/s つまり 4.7625 cm/s だが、実際にはそれだけの精度はない。この速度は当初から変わっておらず、かつて 4.75 cm/s とか 4.8 cm/s と表記された製品があったが、表記だけの違いである。
- ^ 正確には 15/4 in/s つまり 9.525 cm/s。
- ^ 問題はテープ速度であってキャプスタンの回転速度ではなく、テープ速度にはキャプスタン径の精度やピンチローラーの変形具合などが影響するので、キャプスタンの回転速度を水晶制御してもテープ速度は水晶精度にはならない。
- ^ 当初の低域時定数は 1590 µs だったが、 1976年頃に 3180 µs に改正された。
- ^ この IEC キャリブレーションテープに高域の記録レベルが高すぎるという疑義が生じ、 1981 年の IEC プラハ会議において改正されたものが現在有効である。このキャリブレーションテープには "IEC (Prague) 1981" の表示がある。
- ^ あくまで学習方式の名称であり、テープや録音方式の名称ではない。
- ^ ソニー案としてType IVの検出孔(ハーフ中央部)1カ所のみが開口していれば他のTypeと独立して明確な検出が行える案を確認できる(Type Iは検出孔なし、Type IIの検出孔は外側1カ所、Type IIIの検出孔は中央1カ所、Type IVは外側と中央の合計2カ所に検出孔を開けた図示が見られる)[1]
- ^ ただしソニーの場合は自社製のK・HF・CHF・BHF・HF-S・CDixI等が、日本コロムビア(DENON)の場合は自社製のMS・1H・3H・DX1・DX3・RE・RD等がそれぞれ用いられた。
- ^ このことが契機となって、上級機種向けとして特別に耐摩耗性に優れたフェライトヘッドのほか、普及・廉価機種向けとして従来のパーマロイヘッドに対し耐摩耗性をより一層向上させたハードパーマロイヘッド、後述するメタルテープ登場直前にはセンダストヘッドなどが開発された。
- ^ ただし1990年代前半まではラジカセなどの取り扱い説明書や本体にはCrO2と記載されており2014年時点でもティアックのカセットデッキの説明書にはクローム(クロム)という名称が用いられている。
- ^ 実際、 IEC Type IV テープの登場によりレコーダーのヘッドや回路が一新されることになった。
- ^ 東芝(東芝エルイートレーディング)のCUTE BEAT、およびハイレゾ対応機種の「Aurex TY-AK1」などの各種CDラジカセのフルロジック機ではカセットテープ判別リーフスイッチをメタル孔に設置しているためメタルテープ再生は不可となる。理由としては録再ヘッド保護と思われる。やむをえず再生する場合自己責任にてセロハンテープなどでメタル孔を塞ぐことで再生できる。
- ^ ノーマル・ハイポジが100分、メタルが110分。メタルテープの方が録音時間が10分長いのは磁性層の厚さの違いによるもので、ベースの厚さはC-100もC-110も変わらない。
- ^ 主にキャプスタン、ピンチローラー、アイドラー、磁気ヘッドなどの各部の汚れや経年変化による摩耗、キャプスタン、リール駆動用の各種ベルトの経年変化による劣化から来るものが大部分を占める。
- ^ ただし、再生専用磁気ヘッドにDCCレコーダー用ヘッドの技術をそのまま応用した再生専用薄膜ヘッドを採用した松下電器産業(テクニクスブランド)が製造・販売したカセットデッキ「RS-AZ7」は例外的に湿式によるヘッドクリーニングは厳禁とされており、誤って湿式によるヘッドクリーニングやヘッド消磁を行うと最悪の場合、薄膜ヘッド内部の素子が破壊されて再生不可能となる場合がある。
- ^ 近年の日本の音楽消費形態は外国に比べて非常に稀である。2018年のCD・DVDの販売比率は日本は約75%であるが、米国はCD・LPなどの物理媒体は約12%で75%がストリーミングであった。
- ^ 日本製のカセットデッキの中にはパイオニア(現・オンキヨー&パイオニア)製の「T-1100S」(1992年9月発売、1996年8月販売終了)のようにメタルテープを使用した場合に限り、高域の周波数特性が最高で30kHzと、テープ速度が2トラック・38cm/s級のオープンリールテープデッキに匹敵する周波数特性を持った機種も存在した。
- ^ ヘッドの汚れのほか、長期的な経年変化によるヘッドの摩耗や僅かなヘッドのアジマスのずれとテープパスのずれに起因する。
- ^ テープカウンターは単純にリール軸と連動したものが多く、それも巻取り側のリール軸に連動したものと供給側のリール軸に連動したものとがあった。テープの巻き径が変わるため進む速さは一定でなく、早巻きすると巻きが乱れるためカウンターがずれてしまう。
- ^ 「UD デザイン復刻版」の実際の組み立ては日本国内で行われており、実質的に後述するナガオカ CT、およびその先代品となるCC同様、アイディーマグネテックのOEMだった。
- ^ 店舗によっては改良前(在庫分)と改良後が混在している場合があるので購入時には注意が必要。改良前の末期は、パッケージに「このテープは高密度磁性体を使用した高性能高音域 (10kHz) ハイグレード製品ですが、ノーマル用ケースを使用しておりオーディオデッキの機種によりノーマルポジションと認識されます。ご了承の上お買い求めください」と書かれた注意書きのシールが貼られている。
出典
- ^ 阿部美春 『カセットデッキ』日本放送協会出版、1980年、126頁。
- ^ 福多利夫 (2018年11月14日). “【カセットテープの基礎知識】ノーマル・ハイポジの違いは?録音方法は?”. 特選街WEB. マキノ出版. 2021年3月21日閲覧。
- ^ 川村俊明 (2001年3月). “VTR産業技術史の考察と現存資料の状況 (PDF)”. 産業技術史資料情報センター. 国立科学博物館. p. 19. 2021年3月21日閲覧。
- ^ a b c d e “カセットテープの取り扱いについて”. オンキヨー. オンキヨー&パイオニア. 2021年3月21日閲覧。
- ^ 音楽遺産~ネットワーク社会の音楽革命~ 太下義之 『Arts Policy & Management』No.20 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2003 p. 17 - ウェイバックマシン(2016年12月20日アーカイブ分)
- ^ マクセル - Within, the Future [@maxcellJP] (2013年3月17日). "【史】昭和41年7月「C-60(60分用)」の生産販売を開始。" (ツイート). Twitterより2021年3月10日閲覧。
- ^ a b “音楽用カセットテープ「UD」デザイン復刻版を限定発売 カセットテープ発売50周年記念の数量限定品 (PDF)”. 日立マクセル (2016年10月6日). 2021年2月5日閲覧。
- ^ 懐かしのカセットテープ博物館. “人気が再燃中のカセットテープの歴史を振り返る”. ラジオライフ.com. 知っ得ネタ. ラジオライフ. 2021年3月21日閲覧。
- ^ テープ録音機物語 その63 カセット(1)阿部美春 JASジャーナル 2012 Vol. 52 No. 3 5月号 p. 21 日本オーディオ協会 - ウェイバックマシン(2016年3月27日アーカイブ分)
- ^ “カセットデッキ KD-A6/KD-A5”. 産業技術史資料情報センター. 産業技術史資料データベース. 国立科学博物館. 2021年3月21日閲覧。
- ^ “カセットテープ「UR」”. マクセル. 2021年3月21日閲覧。
- ^ “カセットテープ50周年記念 マクセル、カセットテープ「UD」の復刻版を6万巻限定で販売”. Phile-web. 音元出版 (2016年10月6日). 2021年2月5日閲覧。
- ^ カセットテープノーマルポジション120分をリリース致します。 - ウェイバックマシン(2016年10月3日アーカイブ分)
- 1 コンパクトカセットとは
- 2 コンパクトカセットの概要
- 3 年表
- 4 現在の主要なテープ製造・販売会社
- 5 過去の製造会社
- 6 過去に市販された主なカセットテープ
- 7 発売初期の録音再生機器
- コンパクトカセットのページへのリンク