コンパクト・シュミット・カセグレン系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 05:10 UTC 版)
「シュミットカセグレン式望遠鏡」の記事における「コンパクト・シュミット・カセグレン系」の解説
1973年にオーストラリア、サイディング・スプリング天文台のS・C・B・ガスコアンが非球面板の三次収差の理論をシュミットカセグレンに応用し、発明した。 焦点距離に対して全長を短くでき、主鏡と副鏡の一方は球面にできるため製作しやすくかつ使いやすいため、現在市販されているシュミット・カセグレン式望遠鏡はすべてこの形式である。鏡筒は密閉されているため筒内気流が少なく、比較的広い視野に渡り収差を良好に補正できる。 反射式と同様に、鏡筒底部の凹面鏡で光を鏡筒先端部に集中させる。さらに、鏡筒先端に設置した凸面鏡で光を底部に折り返し、凹面鏡中央に空けた穴から接眼部へ光を導く。そして像を改良するために、鏡筒先端にシュミット補正板というレンズをはめ込む。 凹面鏡、凸面鏡ともに球面で、発生する収差は高次非球面(この方式では、中心は凸レンズで、周辺は凹レンズの形をしている。)のシュミット補正板で補正する。鏡が球面のため、大量生産しやすく、価格も安くなる。 この方式は凹面鏡の背後に接眼部があるため、屈折式の様に見る対象と覗く方向が一致する。また、内部で光が折り返すため鏡筒を短くでき、なおかつ凹面鏡を使用しているため大口径のものが作りやすくなる。 ピント調節は凹面鏡の背後のノブを回して、凹面鏡を前後させて行う。この時に凹面鏡が移動することによって光軸が少しだけずれ、同時に視界も少しだけ移動する。また、鏡筒の姿勢変化に伴って微少に光軸が変化する。 最初に量産化に成功したのはアメリカ合衆国のセレストロンであり、有効径20cm、28cm、35cmを生産した。ボシュロムは10cmと20cmを、ミードは20cmと25cmを生産した。この他日本の日本特殊光学や高橋製作所、イタリアのマリオスパダなどが製造したことがある。
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