シチズン時計とは? わかりやすく解説

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シチズン時計

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 02:07 UTC 版)

シチズン時計株式会社
Citizen Watch Co., Ltd.
本社・田無工場
種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社[1]
市場情報
東証プライム 7762
1949年5月16日上場
本社所在地 日本
188-8511
東京都西東京市田無町6丁目1-12[2]
設立 1930年5月28日[2]
業種 精密機器
法人番号 5012701004744
事業内容 各種時計類及びその部分品の製造及び販売
持株会社としてのグループ経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査
グループ技術開発及び知的財産の管理
その他経営管理等[2]
代表者 代表取締役社長 佐藤敏彦[2]
資本金 326億4,800万円[2]
発行済株式総数 3億2,035万3,809株
(2019年6月27日現在)
売上高 連結:2,814億1,700万円
単独:754億6,400万円
(2022年3月期)
経常利益 連結:273億4200万円
単独:35億1,900万円
(2022年3月期)
純利益 連結:221億4,000万円
単独:56億7,500万円
(2022年3月期)
純資産 連結:2,386億7,300万円
単独:1,219億0,000万円
(2022年3月期)
総資産 連結:3,949億6,200万円
単独:2,262億0800万円
(2022年3月期)
従業員数 連結:14,817名(2024年3月31日時点)[2]
決算期 3月31日
主要株主 日本トラスティ・サービス信託銀行 14.60
日本マスタートラスト信託銀行 12.26%
日本生命保険 3.75%
資産管理サービス信託銀行 3.71%
日亜化学工業 3.14%
SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 2.02%
三菱UFJ信託銀行 1.69%
ニコン 1.57%
JPモルガン証券 1.43%
丸紅 1.41%
(2019年3月31日現在)
主要子会社 シチズンファインデバイス株式会社
シチズン電子株式会社
シチズンマシナリー株式会社
関係する人物 戸倉敏夫(元社長)
春田博(元社長)
外部リンク https://www.citizen.co.jp/
特記事項:経営指標の出典は「2019年3月期 第134期 有価証券報告書」[3]
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シチズン時計株式会社(シチズンとけい、: Citizen Watch Co., Ltd.)は、東京都西東京市本社を置く日本の精密・電子機器の製造会社であり、シチズングループの中核を成す企業[2]関東甲信越地方を中心として世界各地に拠点を構える多国籍企業である。東証プライム上場[2]日経平均株価およびJPX日経インデックス400の構成銘柄の一つ[4][5]

概要

シチズン」(CITIZEN)ブランドの時計で知られるほか、工作機械の分野でもスイス式自動旋盤を中心とする「シンコム」(Cincom)ブランドで名高い。かつては腕時計の機械体(ムーブメント)の生産量世界第1位(グループ)を誇り、日本国内最大手、世界シェアの3割以上を持つ。

東京都新宿区西新宿新宿三井ビルディングに本社を置いていたが、2001年平成13年)に現在地へ移転している。工場は本社のある東京都西東京市(東京事業所)と、埼玉県所沢市(所沢事業所)にある。

2005年(平成17年)に会社設立75年を記念し、新コーポレートスローガン「CITIZEN Micro HumanTech(マイクロ・ヒューマンテック) もっと小さく、すごくわくわく。」を掲げた。これは「マイクロ、それは私たちのドメインです」「ヒューマン、それは私たちの理念です」「テクノロジー、それは私たちの基盤です」という会社の3つの理念を形にするという考えから採用されたものである。2014年(平成26年)より、新ブランドステートメントとして「BETTER STARTS NOW」を掲げ、前述の「CITIZEN Micro HumanTech」は使用されていない。

1990年(平成2年)、日本人および在日外国人の中から、無名ながらも社会的に貢献した市民を1年ごとに称える賞「シチズン・オブ・ザ・イヤー」を創設した。

沿革

1918年大正7年)にすでに山崎商店(旧清水商店)として貴金属商を営み、懐中時計のケースなどを製造する尚工舎、および附属教育機関「尚工舎徒弟補習教育會」を経営していた山崎亀吉によって尚工舎時計研究所として創業した。1924年(大正13年)に懐中時計「CITIZEN」を発売し、これが「シチズン」ブランドの発端となった。

シチズンの名称は「市民に親しまれるように」の意味(シチズンは英語で「市民」を意味する)で、山崎と親交の深かった貴族院議員で当時の東京市長であった後藤新平が名づけたとされるが、裏付ける資料は山崎と後藤の面会記録のみであり、尚工舎と関わりの深かったシュミットが1918年にすでに「CITIZEN」をスイス商標登録をしていたことから、命名に関する逸話の真偽は不明である。シチズン懐中時計は木下道雄侍従が2点購入し、そのうち1つが昭和天皇に献上され、舶来品にも負けない精度の国産時計として愛用されたという。

しかしながら、山崎の政治活動注力などの影響を受け、1925年(大正14年)尚工舎は経営不振による人員整理で労働争議が起こり、1927年昭和2年)に安田銀行に差し押さえられ閉鎖された。

1912年明治45年)にスイス人時計技師ロドルフ・シュミット(Rodolphe Schmid)が、日本国内(横浜巣鴨)に時計組み立て工場(エル・シュミット時計工場)を設立していたが、この工場支配人であった中島与三郎と部下の鈴木良一が尚工舎設備を出資買収し、1930年(昭和5年)5月28日には山崎が会長、中島が社長、鈴木が工場管理人の会社組織として「シチズン時計株式会社」が高田馬場に設立された[6]

戦時色の濃くなった1936年(昭和11年)には、当時軍需産業の集積地となっていた北多摩郡田無町(現・西東京市)に田無工場が完成した。その2年後の1938年(昭和13年)には敵性語を使用しない配慮から社名を「大日本時計株式会社」へ変更した。戦時中は軍需生産の拡充により民需生産の抑制が目立つようになり、輸出向け時計製品の製造や時限信管など兵器の製造を行った。戦後はGHQによる淀川、田無の両工場の賠償施設指定などを乗り越え、いち早く復興を遂げ、セイコーに次ぐ国内第2の時計メーカーとして成長した。1948年(昭和23年)に再び社名を「シチズン時計株式会社」とした。

クオーツ式時計が主流となる以前、電磁テンプ式時計の国産化にいち早く成功した。また米ブローバ社と共に「ブローバシチズン」(現・シチズン電子)を設立し、音叉式腕時計の国産化にも成功している。

2001年平成13年)には、本社を東京事業所へ移転した。

2007年(平成19年)4月に「シチズングループ」の純粋持株会社体制へ移行のため、社名を「シチズン時計株式会社」から「シチズンホールディングス株式会社」に変更し、新たに事業子会社として「シチズン時計株式会社」(2代)を設立したが、2016年(平成28年)10月に「シチズンホールディングス株式会社」が「シチズン時計株式会社[注釈 1][7]および「シチズンビジネスエキスパート株式会社」を吸収合併し、社名を「シチズン時計株式会社」へ戻した[8]。また同2007年(平成19年)にはブローバ社を買収すると発表した。

2012年(平成24年)にはスイスの時計会社プロサー(現:マニュファクチュール・ラ・ジュー・ペレ)を買収[9]した(同社はムーブメント製造及び時計ブランドアーノルド&サン及びアンジェラスを展開している)。2016年(平成28年)にはフレデリック・コンスタントを買収した。

2017年(平成29年)、大丸百貨店創業300周年を記念してトゥールビヨン腕時計を2本制作し、1本1,000万円で販売した[10]。このムーブメントは2014年に社員有志が製作したものを改良したものである。

歴代社長

尚工舎時計研究所
シチズン時計社長
シチズンホールディングス社長
シチズン時計社長
  • 戸倉敏夫:2016年10月 - 2019年
  • 佐藤敏彦:2019年 - 現職

主な製品

現在のシチズングループの時計製品はクオーツ式が主流であり、主にチタン外装や表面硬化技術(デュラテクト)、太陽光発電エコ・ドライブ)・電波修正などの最新の技術を駆使した機能を備える実用的な製品を開発、販売している。また、実用性より付加価値を重視した製品として、クォーツ式ながらも従来のシチズンの製品ラインアップのコンセプト、デザイン、メカニズムを超越した複雑時計の世界に挑戦したカンパノラ・コレクションも販売している[11]

時計以外の商品として、工作機械「シンコム」、子会社であるシチズン・システムズが販売する電卓電子辞書、健康関連商品(血圧計体温計)などがある。また、かつて一世を風靡したポケットボードはシチズン製である。

ウオッチ製品

本節出典:[12]

などがある。また、その他に「ポール・スミス」等のライセンスウオッチや、第2ブランドの「VAGARY」・「INDEPENDENT」、更に「Q&Q」「FREE WAY」「レグノ(REGUNO)」「ウィッカ(wicca)」等のブランドで展開するセカンドライン、廉価帯商品も手がけている。

PROMASTER Diver AP0440-14F
ATTESA Jetsetter ATV53-3023

研究・製造拠点

  • シチズン時計株式会社
    • 本社・東京事業所:〒188-8511 東京都西東京市田無町6丁目1-12[2]
    • 所沢事業所:〒359-8511 埼玉県所沢市下富840番地[2]

関連会社

関連会社

主な子会社

非上場企業

なお2004年(平成16年)10月に主要子会社でウオッチの企画・販売を手がける「シチズン商事」を吸収合併した。2005年(平成17年)10月にブランド力を市場に対して最大限に活用するとともに、グループ会社間の団結力を高め、ガバナンス強化の基盤となる連帯意識の高揚を図るため、グループ会社の社名変更を行うとともに、旧上場子会社3社の株式交換による完全子会社化を行った。

また、当グループは時計メーカーとしての側面ばかりでなく、先述の電子機器や、電子部品メーカーとしての側面を持っており、2004年(平成16年)に工作機械(精機)事業と時計事業の、2005年(平成17年)には情報機器・健康関連機器事業及び液晶デバイス事業の、いわゆる「事業再編」(会社統合、部門統合、分社化、人員の異動など)をおこなった。

資本関係のある関連メーカー

  • リズム - クロックメーカー。旧社名:リズム時計工業、2020年社名変更。東証一部上場。シチズン時計が「筆頭株主」ではあるが、出資比率などにより「子会社」ではない。シチズン時計からライセンスを受け「CITIZEN」名のクロック類などを製造・販売しているが、2014年以後は自社ブランドである「RHYTHM」も併用している。また腕時計(ウォッチ)以外の置時計、壁時計、目覚まし時計、温度湿度計、ストップウォッチの「CITIZEN」ブランド製品はリズムが企画、製造、販売している(Q&Qのストップウオッチはシチズン時計製である)。
  • スター精密 - 当社をルーツに持つ電子機器・工作機械・精密機械メーカー。東証一部上場。

公式計時

主催の賞

CM

イメージキャラクター

過去

など

CMソング

提供番組

2018年1月現在

なお、2018年1月1日 - 3日は番組自体が年始特番による休止のため3番組に振替提供された[注釈 2]

過去

その他、1970年代前期まで日本テレビの7時・正午・19時の時報時の15秒スポットを担当していたほか、TBSラジオで1976年まで時報CMを、ABCラジオでは平日7時の時報CMを長年担当していた。

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ 非上場。
  2. ^ 元日予定分は「池上彰の新春生放送!2018年を初解説!」(6:30-9:10)、2日予定分は「新春!お笑い名人寄席」(13:30-16:00)にて放送された。

出典

  1. ^ ガバナンス - シチズン時計株式会社
  2. ^ a b c d e f g h i j 会社概要 シチズン時計株式会社、2025年2月8日閲覧。
  3. ^ シチズン時計株式会社 第134期 有価証券報告書”. EDINET (2019年6月27日). 2020年2月6日閲覧。
  4. ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
  5. ^ 構成銘柄一覧 JPX日経インデックス400”. 日経平均プロフィル. 2025年1月10日閲覧。
  6. ^ シチズンの原点 創業に大きな役割を果たした先人たち”. シチズングループ創業100周年記念サイト (2019年4月1日). 2022年6月12日閲覧。
  7. ^ シチズン時計株式会社 (法人番号 1012701008658) の情報 国税庁法人番号公表サイト、2025年2月8日閲覧。
  8. ^ シチズン時計株式会社 (法人番号 5012701004744) の情報 国税庁法人番号公表サイト、2025年2月8日閲覧。
  9. ^ シチズン、スイスの腕時計会社を買収 機械式駆動装置取り込む日本経済新聞、2012年3月5日、2015年2月26日閲覧。
  10. ^ シチズン ブランド初のトゥールビヨンは2本のみの超限定生産品、web Chronos、2017年5月31日
  11. ^ シチズン公式 2012年BASELWORLD 2012 出展情報 カンパノラ
  12. ^ ラインナップ CITIZEN-シチズン腕時計

関連項目

  • シチズン・オブ・ザ・イヤー
  • MINASE - 腕時計加工用の工具を製造する協和精工の高級腕時計ブランド。日本国産にこだわっているが、セイコー、シチズン両社と取引があるため、あえて両社を避けエタ製のムーブメントを使用している。

外部リンク



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