ヨルダン川西岸とは? わかりやすく解説

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ヨルダン川西岸地区

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/24 00:10 UTC 版)

ヨルダン川西岸地区
الضفة الغربية للأردن
中心都市ラマッラー(2012年)
位置
ヨルダン川西岸地区
(パレスチナ自治区での位置)
ヨルダン川西岸地区の主要都市
歴史
ヨルダンの占領 1948年
ヨルダンへの併合 1950年4月24日
イスラエルの占領 1967年6月10日
行政
自治政府 パレスチナ
地区 ヨルダン川西岸地区
中心都市 ラマッラー
最大都市 ラマッラー
地理
面積  
  総面積 5,660 km2
    陸上面積 5,640 km2
    水面面積 220 km2
    水面面積比率  3.7 %
標高 N/A m
人口動態 (2020年現在)
人口 3,799,631 人 (パレスチナ人と入植者の合計)
  人口密度 671.3 人/km2
その他
等時帯 世界標準時UTC+2
  夏時間 夏時間UTC+3
ISOコード (地区には割り当てなし)
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ヨルダン川西岸地区(ヨルダンがわせいがんちく、アラビア語: الضفة الغربية aḍ-Ḍiffah l-Ġarbiyyahヘブライ語: הגדה המערבית HaGadah HaMa'aravit)、あるいは単に西岸地区は、パレスチナ国パレスチナ自治区)の行政区画である。ヨルダン川の西側、ヨルダンイスラエルの間に存在し、パレスチナ領域の一部を占めている。

なお、東エルサレムは歴史的にはヨルダン川西岸地区の一部として扱われてきたが、政治的・文化的人道的な重要性から、ヨルダン川西岸地区とは別個に取り扱われることが多い。

地区の面積は5,660km2だが、統治者によって3つの区分に分けられる(詳細後述)。総人口は約380万人(2020年時点)であり、内訳はパレスチナ人が約309万人(81.2%)、ユダヤ人入植者が約71万人(18.8%)となっている[1]

概説

1948年第一次中東戦争後半に、ヨルダンによって占領され、部分的なパレスチナ人の賛同とヨルダン議会の決議により、ヨルダン領に編入英語版された。同地区は1967年までヨルダンの一部を構成していたが(国際的には認められていなかった)、1967年第三次中東戦争イスラエル軍によって占領される。ヨルダンは1974年に統治権を放棄した。現在、同地区はイスラエル軍とパレスチナ政府によって統治されている。

イスラエルは、自国の行政区画として、ヨルダン川西岸地区全域を「ユダヤ・サマリア」と称している。イスラエル政府や国民はもとより、親イスラエル派、とくにユダヤ人の入植とヨルダン川西岸の併合(ひいては本項の地域も含めた古代ユダヤ人国家の再統一。あるいは、端的にイスラエルの領有権)支持を意味する用語として使われている。さらに、現状でイスラエル国内法に残る(ヨルダン川)西岸表記、あるいは敢えて地区名を明記せず「地域」と称している呼称を、全て「ユダヤ・サマリア」に置き換える法案がクネセトで審議中である[2][3]。また、アメリカ議会でもこれに呼応する形で、「ユダヤ・サマリア」の呼称とイスラエルの主権を法制化し、(ヨルダン川)西岸と呼ぶことを禁じる法案が上下両院に提出された[4]

フランス語などのロマンス諸語では、いわゆるトランスヨルダン(ヨルダン川の向こう側、すなわち現在のヨルダン)と対比してシスヨルダン(ヨルダン川のこちら側)と呼ばれる。
また、「ヨルダン川西岸地区」の呼称はヨルダンの主権を暗示するという考えから、ヨルダンの主権もイスラエルの主権も認めない前提として「東パレスチナ」と呼ばれることもある[5][6]

ヨルダン川西岸地区は、国際連合からイスラエル占領地として考えられるが、一部のイスラエル人や他の様々なグループは「占領地」よりも「係争」という用語を好んで使用する[7]。また、占領当時のメイル・シャムガール英語版司法長官は、「占領地」では無く「管理地」と主張した[8]

その理由は様々だが、主なものとして、イギリス委任統治領パレスチナの消滅後、無主地となった領域に対し、アラブ諸国に対する自衛権行使の結果として「管理地」としているとする主張(三浦勉によると、無主地の先占を根拠とはしていない[9])。ひいては、占領地での被占領民保護を義務づけた、1949年のジュネーヴ第4条約の適用を否定する目的が挙げられる[10]イスラエル国防軍軍律#法的根拠も参照)。ジュネーヴ第4条約を適用することは、ヨルダンの主権を認めることになるという主張である[8]1967年10月22日イスラエル国防軍(IDF)はこの主張を根拠として、西岸地区、ガザ地区ゴラン高原の住民に対して、命令(軍律)144で、占領直後に行ったジュネーヴ第4条約に従う布告を他の条文に置き換える布告を行い、事実上ジュネーヴ第4条約の適用を拒否した。現在でも、ヨルダン川西岸地区のIDF占領地では、この命令が有効である。

イスラエルは占領とそれに基づくパレスチナ人住居の破壊・追放、ユダヤ人入植地の建設。特に東エルサレムの一方的な併合がハーグ陸戦条約およびジュネーヴ第4条約に抵触していることを把握しており、1968年5月20日付のイツハク・ラビン駐米大使への極秘電報で、外交においてジュネーヴ第4条約への議論を避けること、占領者であると認めないことを指示している[11]

ヨルダン川西岸地区にはパレスチナ人ユダヤ人(入植者)および遊牧民であるベドウィンが居住している。同地区に暮らす大多数のパレスチナ人は、第一次中東戦争でイスラエルから避難したパレスチナ難民あるいはその直接の子孫である。一方、ユダヤ人入植者やイスラエルの右派は、彼らはパレスチナ難民などではなく、ヨルダンが西岸を統治していた時代に移住してきたヨルダン人だと主張している。

統治者による区分

赤 - パレスチナ政府管轄(A地区およびB地区)
黄色 - イスラエル政府の統治下(本土およびC地区)

2024年現在、ヨルダン川西岸地区は統治者によって、3分されている。

  1. A地区…パレスチナ政府が行政権、警察権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の17.2%[12][13]
  2. B地区…パレスチナ政府が行政権、イスラエル軍が警察権の実権を握る地区(警察権は、パレスチナ政府と共同の地区も含む)。2000年時点で面積の23.8%。
  3. C地区…イスラエル軍が行政権、軍事権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の59%。2018年現在で面積の「60%以上」[14]

現在でもヨルダン川西岸地区の主な統治者はイスラエルであり、パレスチナ人住民はイスラエル国防軍軍律によって統制されている(ユダヤ人入植者は、別途施行される法令により、地権を除くイスラエル国内法が適用され、軍律が適用される場合でも、イスラエル国内法が優越するようになっている)。また、C地区はA地区、B地区を包囲し、さらに細かく分断するように配置されている[15]

さらに、C地区でのパレスチナ人の日常生活は大幅に制限されており、家屋・学校などの建築、井戸掘り、道路敷設など全てイスラエル軍の許可が必要となる[16]。特に住居建設の許可が下りる事はほとんどなく、イスラエル軍は違法建設の住居を撤去し、罰金を課する。国連によると、2010年だけで少なくとも198の建造物が撤去され、300人近くのパレスチナ人が強制移動を強いられた[17]

2018年5月9日、イスラエル国防軍は「ユダヤ・サマリア」に命令1797を布告した。これは、イスラエル軍が「違法」となった新築建造物(未完成または竣工6ヶ月以内または居住30日以内の建造物)を、司法手続きを省略して、96時間以内に異議申立が無ければ撤去できる内容である。

OCHA(国際連合人道問題調整事務所)によると、イスラエル軍によるパレスチナ人所有の建造物の撤去は、2017年は月平均35件、2018年は月平均38件であったが、2019年は52件と増加した。2020年は、新型コロナウイルス感染症流行初期の1-2月は、月平均45件に減少したが、3-8月は月平均65件と、2017年からの4年間で最も多くなった。OCHAは、命令1797によって建造物の迅速な撤去が可能になり、所有者が異議申立の手続きを取れなくなっていることを懸念している[18]

2024年6月27日、B地区に位置するユダヤ砂漠の「自然保護区」でも、ネタニヤフ内閣により、一方的にパレスチナの行政権を剥奪する宣言が行われた。スペインなど相次ぐパレスチナ国承認や、国際司法裁判所・国際刑事裁判所への提訴をパレスチナ国政府が支持[注 1]したことに対する「制裁」の一環として行われたもので[19][20][21]、暫定拡大自治合意に違反したB地区の「C地区化」が行われた。

12月2日、イスラエルの人権団体「ピース・ナウ」によると、2024年中に52の「前哨地(イスラエル国内法でも非合法の入植地)」が建設され、45前哨地がC地区、7前哨地がB地区(うち、6月にパレスチナの行政権剥奪を宣言した「自然保護区」内に5前哨地)に位置すると指摘した。従来は、B地区での前哨地は軍政側が解体していたが、2024年の建設は、すぐに再建された1箇所を除きイスラエル軍は黙認しているという。また、C地区での前哨地はほとんど規制されなくなったという[22]

イスラエル

イスラエルの「分離壁」(エルサレム、2016年)
ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地(黒三角、2007年)

イスラエルの行政上の区画はユダヤ・サマリア地区である。前述したように、ヨルダン川西岸地区の6割(2000年時点)はイスラエルの統治下にある。また、他のパレスチナ政府管轄下(AおよびB地区)についてもイスラエルは網の目のように包囲しており、与える影響は大きい。

C地区とは別にユダヤ人入植地と呼ばれるものが存在する。これは、マアレ・アドゥンミームを始めとするユダヤ人による入植地(イスラエル(国籍の)人の移住地)であり、そのほとんどはC地区に点在している(2014年の地図 (PDF))。入植地は政府主導の大規模なものもあれば、入植者が勝手に作った「アウトポスト」もある(イスラエル政府は一部例外を除いて事実上容認)。入植者には2020年時点で71万人ほどのユダヤ人が住んでいるとされる[1]。そして、その入植地およびヨルダン川西岸地区を取り囲むように建設されたのが「分離壁」である。イスラエル政府の名目上の説明は「自爆テロの防止」であるが、分離壁の一部はグリーンライン(1949年停戦ライン)を超えて西岸地区内に入り込んでおり、入植地の事実上の領土化やパレスチナ人の生活を分断している。イスラエルは、のべ710キロの分離壁の建設を進めており、2020年6月現在、約64%が完成した[23]

イスラエル外務省は、ユダヤ人入植地が合法であるとする主張の根拠を、以下のように挙げている[24][25]

  • 国際連盟パレスチナ委任統治決議で、ユダヤ人の数千年に及ぶ古代の故郷に国家樹立する権利が認められている。
  • 1993年以降のパレスチナ自治政府との交渉では、入植地について何ら取り決めをしていない。恒久的地位協定の締結までの間は、パレスチナ自治政府が入植地やイスラエル人に対する管轄権や支配権を持たないことに明示的に合意した。
  • よって、入植地の建設は、この地域全体の最終的な恒久的地位に影響を与えない。この禁止が建築に適用されるとすれば、どちらの側もそれぞれの地域社会のニーズに合わせて住宅を建てることは許されていないという不合理な解釈につながるだろう。
  • イスラエルの入植地建設は、国際法に合致したものである。1949年のジュネーヴ第4条約違反という指摘は当たらない。なぜなら、ジュネーヴ条約は先祖代々の地や不当に奪われた土地への帰還を妨げるものではないからだ。西岸(ユダヤ・サマリア)は、古代よりユダヤ人の居住地だった。ユダヤ人の入植を禁じたのは、ヨルダン占領下の時代(1948年 - 1967年)だけだった。ヨルダンによる占領は、国際的に認められておらず、ヨルダンおよびガザ地区のエジプトはユダヤ人の排除と、ユダヤ人への土地売却を禁止する暴挙を働いた。この暴挙によってユダヤ人の権利を無効にすることは許されず、ユダヤ人による既に行われた土地取得は、今日まで有効である。
  • イスラエル入植地はアラブ人を追放することを目的とした物ではなく、実際に行ってもいない。また、入植地はヨルダン川西岸の3%程度の面積である。
  • パレスチナ人がすべての入植地の解体を要求するのは、ユダヤ人を追放しようとする一種の民族浄化である。対照的に、イスラエルではユダヤ人とアラブ人が共存している。
  • 入植地が存在するのは係争地であり、イスラエルは他国の領土を占領していない。占領地ではない以上、国際法違反には当たらない。
  • 入植地を事実上違法であり、あるいは「植民地」と主張することは、この問題の複雑さ、土地の歴史、そしてこの事件の独特の法的状況を無視している。

イスラエルによるヨルダン川西岸地区の強硬的な実効支配については国際的な非難が行われており、2016年12月23日の国連安保理では、イスラエルのパレスチナ占領地への入植活動を「法的な正当性がなく国際法に違反する」とし「東エルサレムを含む占領地でのすべての入植活動を迅速かつ完全に中止するよう求める」決議が採択され、賛成14票(アメリカのみ棄権)で可決されている。イスラエルの友好国であるアメリカは同様の決議に対ししばしば拒否権を行使していたが、今回は棄権するという異例の事態となった[26]。実質的にイスラエルとの境界線となっている分離壁には2004年に国際司法裁判所が「イスラエル政府の分離壁の建設を国際法に反し、パレスチナ人の民族自決を損なうものとして不当な差別に該当し、違法である」という勧告的意見を出し[27]国際連合総会でも建設に対する非難決議がなされている[28]

2020年、イスラエルはヨルダン川西岸地区の一部を併合する計画を打ち出した。同年6月24日、国連安全保障理事会はオンラインで会合を開き、国連、欧州およびアラブ各国は計画が実現すれば中東和平が打撃を受けると警告を発した。一方、アメリカはイスラエルの計画への支持を表明した[29]

2024年2月、米国はヨルダン川西岸地区へのイスラエル人入植者過激派への経済制裁を開始した[30]。 同年4月には、EUもヨルダン川西岸地区及び東パレスチナへのイスラエル人入植者過激派に対する経済制裁を開始した[31]。同年7月、日本もヨルダン川西岸地区へのイスラエル人入植者過激派に対する経済制裁を開始した[32]

パレスチナ

パレスチナの県(灰色の部分は統治外)

パレスチナ人による自治政府の管轄下はヨルダン川西岸地区の約4割ほどであり、そのうちパレスチナ政府が完全に支配下に置いているのは2割にも満たない(2000年)。その管轄区もイスラエルの実効支配地域および分離壁によって分断されており、多くが地区西部に点在する形となっている。

パレスチナ政府がヨルダン川西岸地区に設置している行政区画(県、Governorate)は以下の通り。ただし、イスラエル統治下を含んでいる。

住人

2020年時点の県別人口と内訳、合計人口に占める割合[1]
パレスチナの県 合計人口 パレスチナ人 ユダヤ人入植者
人口 割合(%) 人口 割合(%)
ジェニーン県 339,213 335,660 99.0 3,553 1.0
トゥーバース県 67,752 65,211 96.2 2,541 3.8
トゥールカリム県 201,512 197,098 97.8 4,414 2.2
ナーブルス県 432,856 411,680 95.1 21,176 4.9
カルキーリーヤ県 160,748 120,357 74.9 40,391 25.1
サルフィート県 129,067 81,162 62.9 47,905 37.1
ラマッラー・アル=ビーレ県 490,896 351,510 71.6 139,386 28.4
エリコ県 60,344 52,836 87.6 7,508 12.4
エルサレム県 799,044 466,750 58.4 332,294 41.6
ベツレヘム県 324,526 232,343 71.6 92,183 28.4
ヘブロン県 793,848 772,384 97.3 21,464 2.7
合計 3,799,631人 3,086,816人 81.2% 712,815人 18.8%

東エルサレムの取り扱い

東エルサレムの現状は、論争の的となっている。

東エルサレムは、ヨルダン川西岸地区を形成する一部であるが、イスラエルは東エルサレム併合を宣言しているため、イスラエルはヨルダン川西岸地区の一部としては考えていない。しかしながら、併合は、現在国際的に認められていない。

なお、日本国政府はパレスチナ国を承認していないため、日本の地図では、イスラエルとヨルダン間の領土抗争地・未確定領域と扱われることがある(ただし、1994年に結ばれたイスラエル・ヨルダン平和条約でヨルダンは同地を放棄している為、正確には「イスラエルとヨルダン間の領土抗争地」ではない(「イスラエルの領有権未確定地域」「イスラエルとパレスチナ自治政府との係争地」である)。

いずれの場合も、その政治的・文化的・人道的な重要性から、ヨルダン川西岸地区とは別個に取り扱われることが多い。一例としてオスロ合意は、他のパレスチナ領域と別個の問題として東エルサレムを取り扱う。

教育

スポーツ

脚注

注釈

  1. ^ 国際司法裁判所への提訴は南アフリカ共和国による。ガザ地区におけるジェノサイド条約適用事件英語版を参照。

出典

  1. ^ a b c Number of Settlers in the Israeli Settlements and Palestinian Population in the West Bank by Governorate, 2020”. パレスチナ中央統計局英語版. 2022年10月25日閲覧。
  2. ^ ELIAV BREUER (2024年12月9日). “Rothman proposes bill to change all mentions of ‘West Bank’ in Israeli Law to ‘Judea and Samaria’” (英語). エルサレム・ポスト. https://www.jpost.com/israel-news/politics-and-diplomacy/article-832690 2025年2月15日閲覧。 
  3. ^ Approved in preliminary reading: The term “West Bank" will be replaced by “Judea and Samaria" in all legislation pertaining to the Judea and Samaria territories” (英語). クネセト (2025年2月12日). 2025年2月15日閲覧。
  4. ^ トム・コットン英語版 (2024年12月5日). “Cotton Introduces Legislation to Eliminate Federal Use of the Term “West Bank”” (英語). TOM COTTON. 2025年2月15日閲覧。
  5. ^ “Trustee-Occupant: The Legal Status of Israel's Presence in the West Bank” (英語). Faculty of law (ハーバード大学). (1973). https://heinonline.org/HOL/LandingPage?handle=hein.journals/hilj14&div=9&id=&page= 2024年3月23日閲覧。. 
  6. ^ UNRWA 国連パレスチナ難民救済事業機関” (PDF) (英語). 国際連合広報センター (1979年12月20日). 2024年3月23日閲覧。
  7. ^ The Peace Process and the Settlements”. イスラエル外務省. イスラエル国 (2016年10月5日). 2025年2月17日閲覧。
  8. ^ a b Amb. Alan Baker (2019年10月30日). “Former Israeli Chief Justice Meir Shamgar: The Right Man in the Right Place at the Right Time”. エルサレム安全保障外交センター英語版. 2025年2月17日閲覧。
  9. ^ 三浦勉「エルサレムの法的地位」『アジア研究所紀要』第24巻、亜細亜大学アジア研究所、2006年、166-147頁、NAID 1100001047402021年1月6日閲覧 
  10. ^ Are Israeli settlements legal?” (英語). イスラエル外務省 (2007年11月1日). 2021年1月16日閲覧。
  11. ^ The Comay-Meron Cable reveals reasons for Israeli position on applicability of 4th Geneva Convention” (英語). Akevot Institute for Israeli-Palestinian Conflict Research (1968年5月20日). 2023年12月18日閲覧。
  12. ^ 特集:アパルトヘイト・ウォール(隔離壁/分離壁):イスラエル:パレスチナ情報センター
  13. ^ ただし、ユダヤ人入植地及びイスラエル軍基地として占領されている面積は、ここでは含んでいない
  14. ^ AREAS WITH HIGHEST HUMANITRIAN VULNERABILITY December 2018 - OCHA(国際連合人道問題調整事務所
  15. ^ ヨルダン川西岸
  16. ^ 児玉千佳子 フィールド・エッセイ 第14回 児玉千佳子さん UNDPパレスチナ人支援プログラム プログラム・アナリスト
  17. ^ アムネスティ・インターナショナル イスラエル/被占領パレスチナ地域 : 西岸地区のパレスチナ人家屋の撤去を増大させるイスラエル
  18. ^ Unlawful demolitions in the West Bank spike during COVID-19 - OCHA(英語)
  19. ^ Jacob Magid; ToI Staff (2024年6月28日). “Security cabinet okays legalizing 5 outposts, sanctioning PA officials” (英語). The Times of Israel. https://www.timesofisrael.com/cabinet-okays-legalizing-5-outposts-sanctioning-pa-officials-minister-says/ 2024年7月1日閲覧。 
  20. ^ “הקבינט אישר: סנקציות על הרשות הפלסטינית והסדרה של חמישה מאחזים” (ヘブライ語). カン・ニュース(イスラエル公共放送). (2024年6月28日). https://www.kan.org.il/content/kan-news/politic/766841/ 2024年7月27日閲覧。 
  21. ^ צו בדברהגבלתבנייה(שמורה הסכמית) (יהודה ושומרון) (מס׳2198,) התשפ׳׳ד-2024” (PDF) (ヘブライ語). イスラエル国防軍 (2024年7月18日). 2024年7月27日閲覧。
  22. ^ At Least Seven Outposts Established in Palestinian-Controlled Area B 22.12.24” (英語). ピース・ナウ (2024年12月24日). 2024-12-25 閲覧。 エラー: 閲覧日が正しく記入されていません。
  23. ^ WEST BANKACCESS RESTRICTIONS - JUNE 2020 - OCHA
  24. ^ イスラエル外務省 (2015年11月30日). “Israeli Settlements and International Law” (英語). イスラエル国. 2023年11月21日閲覧。
  25. ^ イスラエル外務省 (2023年5月2日). “Israel, the Conflict and Peace: Answers to frequently asked questions - updated December 2009” (英語). イスラエル国. 2023年11月21日閲覧。
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  27. ^ Legal consequences of the construction of a wall in the occupied Palestinan Territory, para 88 Archived 2010年7月6日, at the Wayback Machine. (英文、フランス語文)
  28. ^ U.N. votes 150-6 against West Bank barrier, CNN.com
  29. ^ 西岸併合計画でイスラエルに警告、米は支持 安保理会合”. AFP (2020年6月25日). 2020年6月21日閲覧。
  30. ^ Issuance of Executive Order Imposing Certain Sanctions on Persons Undermining Peace, Security, and Stability in the West Bank; West Bank-related Designations”. U.S. Treasury (2024年2月1日). 2024年5月26日閲覧。
  31. ^ Extremist settlers in the occupied West Bank and East Jerusalem: Council sanctions four individuals and two entities over serious human rights abuses against Palestinians”. European Council (2024年4月19日). 2024年5月26日閲覧。
  32. ^ 暴力的行為に関与するイスラエルの入植者に対する資産凍結等の措置について”. 日本国外務省 (2024年7月23日). 2024年9月29日閲覧。

関連項目

外部リンク


ヨルダン川西岸

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パレスチナ問題」の記事における「ヨルダン川西岸」の解説

詳細は「ヨルダン川西岸地区」および「イスラエル西岸地区の分離壁」を参照 パレスチナヨルダン川西岸地区は、パレスチナ自治政府が行政権警察権共に実権を握るA地区パレスチナ自治政府が行政権イスラエル軍警察権実権を握るB地区イスラエル軍が行政権軍事共に実権を握るC地区分けられ2000年現在面積59%がC地区である。なお、イスラエルこの他に「軍事基地(Military base)」「射撃場(Firing zone)」「自然保護区(Nature Reserve)」も分類しているが、実質的にC地区一部である。また、イスラエル軍占領地ユダヤ人入植地は、これらの面積には含まれない詳細ヨルダン川西岸地区#統治者による区分参照)。 C地区イスラエル占領地であるが、イスラエル占領地であること自体認めておらず、法的に係争地であると主張している。 「イスラエル国防軍軍律#法的根拠」も参照 イスラエル支配下パレスチナ人地区では、住居はじめ建造物構築物建設イスラエル許可必要だが、イスラエル市民団体ピース・ナウによれば申請94%が却下される。特にC地区では、2008年2月現在、パレスチナ人住居は、自分土地であっても過去10年間1軒も許可されていない国際連合人道問題調整事務所(OCHA)によると、2010年 - 2014年の間に、C地区パレスチナ人住民建造許可下りた割合1.5%だった。 イスラエル軍は、「不法建築」を主たる根拠として、パレスチナ住民建築物破壊行っている。OCHAイスラエル民政局(ICA)のデータ参照したところによると、1988年から2014年にかけて、イスラエル民政局はC地区パレスチナ人建造物対する、14087件の破壊命令出した実際に被害受けた建造物は、約17000軒と推定されている。建物破壊年ごと増加傾向にあり、1995年164軒だったが、2010年には1020軒と始めて1000軒を超え2013年には1090軒を記録した2014年12月末時点で、約20%、2802件の破壊命令実行された。約1%151件は命令取り消され、11134件の未処理案件があった。また、2015年上半期には、パレスチナ人建造物245軒の破壊解体没収が行われた。20年上前命令根拠破壊実施された例もあり、命令効力事実上無期限である。破壊要した費用は、全てパレスチナ人から取り立てられるイスラエル民政局は、ユダヤ人入植地の「不法建築」も取り締まっている。それによると、1991年から2014年にかけて、6949件の破壊命令出した。約20%、1357件が実行され、約7%、486件は取り消された。約5%、368件は執行準備完了としており、約4%、295件は保留、残る4443件は未処理だった。ユダヤ人入植地は、「不法建築認定されても、取り消される確率パレスチナ人の約7倍である。またパレスチナ人異なり、たとえ破壊されても、当局から代地を含む補償支援受けられることがあるまた、イスラエル自国領・占領地入植地と、パレスチナ人居住区とを分断する壁を一方的に築いている。イスラエルは「壁(חומה, wall)」ではなくフェンス、柵(גדר, fence)」であると主張し、「反テロフェンス」と呼んでいる。壁は、イスラエル領土だけで無くイスラエル領域外の入植地を囲む形で建設進められている。第1次中東戦争停戦ラインパレスチナ側とされた領域も壁の内部取り込まれており、事実上領土拡大進めている。2004年7月9日国際司法裁判所は、イスラエルによる占領下にあるパレスチナにおける壁の建設国際法違反するという勧告的意見下したイスラエル側は現在も壁の建設続行している(エルサレム周辺地図(英語) 青地イスラエル入植地、灰地がパレスチナ人居留区、黒実線が壁、灰実線計画中の壁。全体図外部リンクからパレスチナ赤新月社による地図参照イスラエルは単に壁を作るだけではなく道路の通行規制行っている。パレスチナ自治区あるべき地域に、イスラエル人専用道路パレスチナ人立ち入り禁止)や、パレスチナ人通行制限されている道路多数存在している(地図ヨルダン渓谷沿い入植地群)。 また、イスラエル軍や、ユダヤ人入植者などのイスラエル民間人事実上治外法権であり、たとえパレスチナ自治政府警察権を握るA地区であってもイスラエル軍民の犯罪摘発することはできない状況にある。イスラエルは、ユダヤ人入植者犯罪にしばしば協力している。イスラエル人権団体・Yesh Din英語版)によると、2015年時点で、イスラエル司法は、ユダヤ人入植者被疑85%を不起訴とし、有罪となったのは1.9%であったパレスチナ人在住所有土地没収も、日常的に行われている。イスラエルの行政法は、今日でもオスマン帝国イギリス委任統治領パレスチナ時代法律多く残っており、イスラエルはこれらの法律利用している(ヨルダン川西岸では、さらにヨルダン占領当時法律が加わる)。たとえば、第三次中東戦争での占領後1967年7月31日イスラエル国防軍命令59布告し、「敵国」、すなわち従来ヨルダン・エジプトが国有地としていた土地全て自国国有地宣言した。しかし私有地没収については1979年イスラエル最高裁違法判決出たため、新たな法的根拠用意する必要があった。そこでイスラエル軍は、命令59改正しイスラエル国有地宣言した土地に対しては、私有地であることを証明する手続きが必要であるようにした。占領地には、未登記パレスチナ人が生活の用に供している土地少なくなく、イスラエル軍全てこれを国有地宣言したまた、異議申立通常の裁判所では無くイスラエル軍運営の「異議申立委員会」でしか行ないようにした。これにより、イスラエル軍はさらに多くパレスチナ人追放した。さらに、イスラム法端を発する、「3年間未耕作土地スルタン収公する」規定国家収公読み替えパレスチナ人耕作妨害することによって、私有地についても多く土地国有地として没収した。 しかしそれでも、イスラエル裁判所パレスチナ人私有認められ私設の(イスラエル政府承認していない)ユダヤ人入植地に対して違法判決が出ることはあった。2017年2月6日クネセト私設入植地さかのぼって公認しパレスチナ人私有地強制収用(ただし、補償金支払われる)を可能にする法案可決した同法は、占領地におけるパレスチナ人いかなる土地没収合法化する内容だったが、2020年6月9日イスラエル最高裁同法基本法違反事実上違憲)とする判断下したため、廃止された。 これらのパレスチナ人から没収した土地は、ユダヤ人入植地として、本来のイスラエル領内の1/3程度価格販売されている。 OCHAは、イスラエル軍パレスチナ人住民対す振る舞いを、占領地被保護者追放禁じた1949年ジュネーヴ諸条約第4条約第49条に違反していると指摘している。他方イスラエルは、1907年ハーグ陸戦条約第43条に基づくイスラエル義務一致しており、1995年の、PLOとの暫定合意にも合致していると主張している。 OCHA報告 によると、2019年第1四半期1~3月)に、ヨルダン川西岸地区イスラエル軍によって、136パレスチナ人による建造物破壊された。イスラエル軍破壊したのは、42%が住宅38%が住宅関連施設、7%が水道衛生施設だった。これにより、218人が事実上追放され、約25000人が影響受けた。もっとも深刻な被害は、2月17日行われた水道管破壊で、ベイトフリック、ベイトダジャンいずれもB地区)のあわせて約18000人が影響受けたまた、ヘブロン南部のマッサファー・ヤッタ地区イスラエルは「射撃場」に指定し住民立ち退き要求)では、2018年10月oPt人道基金寄付灌漑整備されたが、2019年2月イスラエル軍によって破壊された。また、A地区B地区においても、住宅2軒がイスラエル軍によって破壊され、8人が避難した2020年9月OCHA報告によると、イスラエル軍によるパレスチナ人所有建造物破壊は、2017年は月平均35件、2018年38であったが、2019年52件と増加した2020年は、新型コロナウイルス感染症流行初期1-2月は、月平均45件に減少したが、3-8月は65件と、2017年から4年間で最も多くなった。また、2020年3月から8月の間だけで、442人のパレスチナ人が家を失った。特に、8月205人が家を失ったが、これは過去4年間で最多であった7月21日破壊されヘブロン建造物には、新型コロナウイルスPCR検査予定地が含まれていた。OCHAは、2018年布告され命令1797によって建造物迅速な破壊可能になり、所有者異議申立の手続き取れなくなっていることを懸念している。 OCHAによると、2009年から2020年までの12年間に、パレスチナ人所有建造物7236棟が破壊され、10920人が家を失い避難民となった同一人物複数回の被害もあるため、人数延べ)。2020年中に破壊され建造物は836棟、避難民は984人に上り、これは2016年に次ぐ多さである。 水利権についても、同様にイスラエルによる占有進められている。イスラエル軍は、1967年にヨルダン川西岸、ガザ地区ゴラン高原東エルサレムシナイ半島占領すると、同年8月15日命令92で、イスラエル軍水利権全権を握ると布告した同年11月19日命令158水道施設許認可布告し拒否に際して理由を示す必要はいとしたまた、無許可全ての施設資源は、有罪判決待たず没収できる布告した1968年11月29日命令291では、1967年以前イスラエル占領以前)の地権水利権契約全て無効布告したオスロ合意では、ヨルダン川西岸におけるパレスチナ人水利権公認されたが、地下水の1/4に留まりヨルダン川については水利権認められなかった。オスロ合意では、パレスチナへの将来水利権拡大含めた最終的な地位協定予定されていたが、実施されていない2009年時点でも、イスラエルが8割の水利権握っている。 OCHAによると、C地区パレスチナ人住民27万人のうち、95000人は、WHOの推奨する1日消費量である100リットルの、半分以下のしか利用できていないまた、パレスチナ・トゥーバース県の推計によると、県内イスラエル人入植者は、パレスチナ人の8倍の割り当てられているという。

※この「ヨルダン川西岸」の解説は、「パレスチナ問題」の解説の一部です。
「ヨルダン川西岸」を含む「パレスチナ問題」の記事については、「パレスチナ問題」の概要を参照ください。

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