18世紀から19世紀の美術とは? わかりやすく解説

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18世紀から19世紀の美術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 18:17 UTC 版)

西洋美術史」の記事における「18世紀から19世紀の美術」の解説

詳細は「新古典主義」、「ロマン主義」、および「写実主義」を参照 フランス革命から第二帝政期に至る18世紀から19世紀にかけてのフランス中心とした美術様式は、一般に新古典主義ロマン主義写実主義3期分けて考えられている。18世紀前半火山噴火によって埋没したローマ古代都市ヘルクラネウムポンペイ発見されたことにより、古典・古代美術自身規範としようという機運高まりヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン思想的支柱得たことでギリシア美術模倣尊ぶ志向ヨーロッパ中を席巻する。これは、享楽主義的なロココ美術反感思想を持つ人々運動であったとも言われている。その後ナポレオン帝政期を経ることでフランスでは帝国栄光誇示する美術様式へと変容していき、各国対す影響力衰退させる事となった。ナポレオン絵画重要なプロパガンダ手段として捉えていたこともあり、皇族儀式描いた作品家族側近肖像がなどが大量に制作された。しかし、こうした動きは若い芸術家中心に焦燥感もたらす結果となり、主観的な激情溢れ社会的矛盾糾弾するリアリスティック作品登場する素地形成した同時にフランス美術影響力から脱却した周辺各国国々歴史風土根ざした美術開花促進させ、普遍的な古典・古代美術模倣から国々特殊性へと関心移行することとなった。これにより、古典的様式最良とする考え方捨て去られ時と場合応じた適切な美術様式選択される折衷主義とも呼べ様式到来することになった19世紀中ごろには支配層への不満を募らせ市民社会対応するかのごとく、社会現実目を向け身の回りの自然を描いた風景画制作されるようになり、フランス文学とも連動して近代芸術基調形成する一大潮流形作られた。 建築分野では古代建築遺構本格的な調査によって建築部位の比例式の決定討議され18世紀後半に入ると古代建築規範とした建物造営本格化した。パリサント=ジュヌヴィエーヴ修道院建設したジャック=ジェルマン・スフロ(英語版)は、コリント式列柱廊採用し古代美術端正素朴な様式取り込むことに成功している。また、古典古代建築への関心から幾何学的比例重視し、ラ・ヴィレットの関門フランス語版)やアル=ケ=スナンの王立製塩所創出しクロード・ニコラ・ルドゥーアイザック・ニュートン記念碑設計したエティエンヌ・ルイ・ブーレーは、空想的建築という新境地開拓した考古学的関心薄れ帝国威信表現横行するうになる特定の建築様式重視されることが無くなり過去様々な様式応用によって建築なされたマドレーヌ聖堂カルーゼル凱旋門マルメゾン城ウェストミンスター宮殿などが代表的な建築物として知られている。 新古典主義時代彫刻分野規範とする古典古代作例充実していたこともあり、重要な美術分野として位置付けられた。イタリアアントニオ・カノーヴァ代表的な彫刻家ひとりで古代志向特徴忠実に再現した上で近代彫刻複雑な構成融合させることに成功し、『アモールプシケー』などを制作したカノーヴァ双璧をなしたデンマークベルテル・トルバルセンヘレニズム時代彫刻に強い影響を受け、端正典雅な作品発表した。その他、イギリスジョン・フラックスマン形態把握構成古代彫刻倣いつつもゴシック美術彷彿とさせる流麗な作品発表している。新古典主義以降材質変化あらわれ大理石以外の石材青銅好んで用いられるようになったまた、表題裸体に代わって時代考証経た服装纏うようになった。しかし、美術全体で見ると新古典主義以降絵画影響強く低調推移しエトワール凱旋門浮彫装飾制作したフランソワ・リュード肖像彫刻数多く制作したダヴィッド・ダンジェ動物彫刻という異質性話題となったアントワール・ルイ・バリー英語版)ら若干名活躍に留まった。 絵画分野において、フランスでは1760年代登場したジョゼフ=マリー・ヴィアンロココ風のテーマの絵に古代構図ポーズ借用した作品発表して人気博し新古典主義時代口火を切ったその後ドゥニ・ディドロ影響受けたジャン=バティスト・グルーズによってローマ史を主題とした作品制作され1780年代に入るとヴィアン師事したジャック=ルイ・ダヴィッド登場して新古典主義栄華頂点に達するナポレオン革命期において、「皇帝主席画家」の称号得たダヴィッド残した数多く作品後世多方面に大きな影響与えた。『ホラティウス兄弟の誓い』『ソクラテスの死』といった物語画はプッサン影響強く表われ作品仕上がっており、『テニスコートの誓い』『マラーの死』などは革命期の視覚的記録として重要な意味を持つ作品として位置付けられている。 次代には優美なタッチ古代叙情再現したピエール=ポール・プリュードン劇的な表現描法特徴としたピエール=ナルシス・ゲランらが登場し新古典主義作風影響を受けつつもその変容を見ることが出来る。また、フランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアン小説挿絵担当したアンヌ=ルイ・ジロデ=トリオゾンは、古典的な形態に強い明暗加えたことでロマン主義的な要素萌芽示した一方同時代ナポレオン肖像画遠征絵画制作していたアントワーヌ=ジャン・グロドミニク・アングルらは新古典主義の正当後継者として、色彩対する線の優位性静的構図といった新古典主義綱領最後まで保持した画家として知られている。その他、アングル弟子からはテオドール・シャセリオー頭角現し東洋的主題作品制作してロマン主義資質示した1819年にはテオドール・ジェリコー1816年起きたフリゲート艦メデューズ号の難破事件という時事的テーマ取り上げてメデューズ号の筏』を発表したことで大きな議論巻き起こるジェリコー作品激しタッチ運動感の描写によって表現され、その非古典主義的なテーマ開拓ロマン主義絵画先駆者として名が上げられる一因となったその後、『ダンテの小舟』を描いたウジェーヌ・ドラクロワによって粗いタッチによる動的表現東洋的主題採用色彩乱舞といったロマン主義絵画作風示され近代絵画成立多大なる影響残した一方同世代ポール・ドラローシュロマン主義主題完璧な新古典主義様式描き出すという移行期ならではの作風一世を風靡したエコール・デ・ボザール講堂壁画はその代表的な作品のひとつである。 以上に挙げたように、19世紀前半フランスでは文学的歴史的テーマ描き出した作品主流となっていたが、バルビゾン派画家によって自然を的確に捉えた風景画作品登場したのもこの時代であった古典主義端正さを保ちつつ、ロマン主義的な自然愛好的な心情溢れたテオドール・ルソージャン=バティスト・カミーユ・コローらの風景画1830年代ごろより写実主義絵画として新たな局面を開くこととなった1850年前後に入るとオノレ・ドーミエジャン=フランソワ・ミレーギュスターヴ・クールベ登場し写実主義絵画代表する画家として知られるようになった1855年パリ万国博覧会において、私費個展開いたクールベ世間に対して攻撃的に写実主義絵画存在知らしめ、19世紀後半誕生する印象主義への潮流築いた他方イギリスロンドンでは、1760年代ベンジャミン・ウエストによって新古典主義絵画持ち込まれると、ロイヤル・アカデミー設立やフラックスマンの活躍などもあり、ローマパリと並ぶ新古典主義絵画中心地として栄えた。しかし、古典絵画規範としつつも伝統縛られない表現比較早くから実践されヨハン・ハインリヒ・フュースリーウィリアム・ブレイクといった、個性豊かな画家輩出成功している。そういった意味では、主題面における絵画近代化フランス先駆けてイギリス起こったと言って良い19世紀前半に入るとジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー登場によってイギリス絵画風景画黄金時代迎えることとなった18世紀流行した地誌水彩画から出発したターナーは光の表現追究して油彩水彩素描問わず多数幻想的な風景画世に送り出したターナーとは対照的に空と雲移り変わり気象学基づいた知識精緻描き出したジョン・コンスタブル作品風景画の進むべき方向性決定的なものとし、19世紀後半印象主義絵画大きな影響与えたドイツにおける新古典主義1761年アントン・ラファエル・メングスによって制作された『パルナッソス』にその影響を見ることができるものの、その後代表的といえる程の画家輩出されなかった。19世紀初頭に入るとラテン的な形態把握ゲルマン的な内省性を融合させた作品登場し他国に無い特異な美術運動展開された。この運動カスパー・ダーヴィト・フリードリヒフィリップ・オットー・ルンゲらによる風景画発展フランツ・プフォルヨハン・フリードリヒ・オーファーベックらによる人間表現深化大別することができる。特にローマ移住した後、ラファエロデューラー規範としてキリスト教作品創出注力したオーファーベックらの活動ナザレ派呼ばれ、後のラファエロ前派大きな影響与えた。 その他、スペイン登場したフランシスコ・デ・ゴヤもこの時代代表する画家一人である。1799年主席宮廷画家地位着いたゴヤは、その卓越した画力戦争侵略への憎悪訴えた作品多数発表した主観的な情熱画題とし、作品託したという点ではロマン主義美術先駆者であると言える一方人生課題作品反映させたという点では近代芸術あり方示した最初の一人であると言える

※この「18世紀から19世紀の美術」の解説は、「西洋美術史」の解説の一部です。
「18世紀から19世紀の美術」を含む「西洋美術史」の記事については、「西洋美術史」の概要を参照ください。

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