由布岳とは? わかりやすく解説

ゆふ‐だけ【由布岳】

読み方:ゆふだけ

大分県中部別府市由布市との境にある鐘状火山標高1583メートル豊後(ぶんご)富士万葉集には「木綿(ゆふ)の山」とみえる


由布岳(大分県)

1583m 北緯331656秒 東経1312325秒 (由布岳) (世界測地系

由布岳地図

概 要

 由布岳は、鶴見岳西側由布鶴見地溝内に位置する。由布岳の西側には、由布院温泉がある。火 山体は、主火山体(基底溶岩)、数個溶岩ドーム及び山頂溶岩からなる(小林,1984、星住ほか,1988)。 由布岳の活動開始は、九重第1 軽石(約60ka)よりも古い。由布岳の周囲には、約6300 年前アカホヤ 火山灰よりも新し小規模な火砕流堆積物いくつも分布する(草薙宇井,1995)。


最近1万年間の火山活動

 由布岳では、アカホヤ火山灰堆積(約6300 年前)以前池代溶岩、由布岳山頂溶岩流出溶岩ド ームの形成およびドーム崩壊による火砕流などが数回発生している。その後、約2200 年前に規模大きな噴火活動発生した(奥野ほか,1999)。この噴火活動では、マグマの上昇により山体斜面が不安 定になって山体崩壊発生した後に、池代溶岩ドーム生成し北東側から西側山麓火砕流流下し た。その後山頂溶岩出現し南麓などにも火砕流流下した。これら一連の噴火で由布岳火山灰降下したその後断続的に山頂でのブルカノ式噴火続き、由布岳火山灰降らせた(藤沢,2002)。 その後有史から現在に至るまで噴火活動起きていない。


記録に残る火山活動

 記録に残る火山活動はない。






 <「概要」、「最近1万年間の火山活動」については日本活火山総覧(第3版)(気象庁,2005)及び最近観測成果よる。



由布岳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/10 00:20 UTC 版)

由布岳
南西から見た由布岳と由布院盆地
手前は久大本線
標高 1,583.3 m
所在地 日本
大分県由布市別府市
位置 北緯33度16分56秒 東経131度23分24秒 / 北緯33.28222度 東経131.39000度 / 33.28222; 131.39000
山系 独立峰
種類 成層火山活火山ランクC)
由布岳
由布岳 (大分県)
プロジェクト 山
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由布岳(ゆふだけ、油布嶽)は、大分県由布市にある標高1,583メートルの活火山。山体が阿蘇くじゅう国立公園に指定されている[1]

概要

東峰と最高峰の西峰の2つのピークからなり、山頂には1583.28メートルの一等三角点(基準点名は「油布山」)がある[2]円錐形をしていることから、豊後富士とも称される。由布院盆地では、各所から由布岳の独特な山容を望むことができるため、ランドマーク的な存在となっており、別府湾からも鶴見岳の後方にその姿を望むことができる。

南南西にある狭霧台展望台より
由布岳(左)と鶴見岳(右)周辺の地形図

古来より信仰の対象として崇められ、『古事記』や『豊後国風土記』にもその名が記されている。『豊後国風土記』では「柚冨峯」と表記されており、その頂上には石室があって常に氷が凍っており、夏を過ぎても溶けることがないと述べられている。「柚冨郷」の近くにあることが「柚冨峯」という山名の由来とされている。宇奈岐日女神社式内社)の祭神であり、また、山岳仏教信仰の山としてかつては中腹に佛山寺湯布院町)の伽藍があった。

府内大橋から眺めると由布岳と鶴見岳が並び稜線が透けたように見える。これは一番手前にある小鹿山の稜線が由布岳と鶴見岳の稜線に偶然にも合致しているためである[3]

火山活動

約9万年前に鶴見岳とほぼ同時期に火山活動を開始した火山で、主な岩石は安山岩およびデイサイトとなっている。山麓には由布院温泉をはじめとする温泉群が点在する。

最新の噴火は約2,200年前と推定されている。

この噴火では、まず由布岳の山体北西部が崩壊、0.04 km3に及ぶ土砂が山麓北側を流下した(塚原岩屑なだれ)。山体崩壊堆積物中には堆積温度が高温であったものも含まれることから、原因はマグマ貫入による山体の加熱・膨張・変形と考えられる[注釈 1]。マグマ貫入による山体崩壊では、1956年ベズイミアニ山1980年セントヘレンズ山などでブラストを伴っているが、由布岳の場合はブラストは確認されていない。これは、山体崩壊時のマグマ貫入の最浅深度が、前者二つは地表に近くであったのに対し、由布岳ではまだ比較的深部であったことと、貫入したマグマ自体の脱ガスが進んでいたためと推定される。

山体崩壊続いて、崩壊した山体部分に安山岩質の溶岩ドームが形成(池代溶岩ドーム)、馬蹄形地形が埋積していった。溶岩ドームの一部は北麓に流下し溶岩流を形成(池代溶岩)したり、複数回崩壊したりして火砕流が流下した(由布岳北麓火砕流)。続いて、由布岳山頂からも噴火が発生、溶岩ドームを形成し、西 - 南 - 東山麓に小規模な火砕流が流下した(由布岳南麓火砕流)。その後、断続的に山頂でのブルカノ式噴火が続き降下火砕物が堆積(由布岳火山灰)、現在の山頂火口が形成された。また、噴火後には北麓や南麓でラハールが発生した[6]。この噴火の総噴出量0.175 km3 DREで、VEIは3と推定されている。

その後有史から現在に至るまで噴火活動は起きていない[7]

登山

深田久弥日本百名山に入れなかったことを後悔した山といわれ、近年になって登山家である岩崎元郎が自身の新日本百名山の一座に選定した。また、日本二百名山のひとつにも、日本山岳会東九州支部が選定した大分百山にも選ばれている。

山頂からは日本百名山の九重山祖母山阿蘇山などが見え、天候がよければ大分県・福岡県境の英彦山長崎県雲仙岳まで見渡すことができる。頂上付近になるにつれて草木はまばらになるが、山頂にはミヤマキリシマも多く山麓の草原にはヒゴダイ、マツムシソウも多い[8]

主要な登山道は、中央(正面)登山口、西登山口、東登山口の3つがある[9]。このうち最も登山客数が多いのが中央登山口で、駐車場が整備されていてバスも通っている。2つの山頂のうち最高点は西峰だが、岩場が入り組んでいる。山頂付近には火口の縁を回るお鉢巡りルートが設定されている。5月末から6月初めにかけてはミヤマキリシマが開花する。

関連画像

アクセス

周辺スポット

脚注

注釈

  1. ^ 概ね同時期の約2100年前に府内断層の活動が推定されている[4]。なおこの断層の最新活動は1596年慶長豊後地震とされており、湯布院町川上では由布院断層崖が崩壊した(津江岩屑なだれ)[5]

出典

  1. ^ 阿蘇くじゅう国立公園の見どころ”. 環境省. 2023年4月2日閲覧。
  2. ^ 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2016年4月26日閲覧。 “基準点コード TR14931733101,北緯 33°16′56″.1605,東経 131°23′24″.8402,標高 1583.28 (m)”
  3. ^ 大分川 府内大橋の上に透明な山が見えます
  4. ^ 中西 ほか「群列ボーリング調査と地中レーダ探査による伏在活断層の活動履歴の検討─大分平野西部の府内断層の例─」『第四紀研究』第58巻第2号、日本第四紀学会、2019年、163-173頁、doi:10.4116/jaqua.58.1632020年1月8日閲覧 
  5. ^ 別府ー万年山断層帯(大分平野-由布院断層帯東部)における重点的な調査観測 平成26~28年度 成果報告書”. 地震調査研究推進本部 (2017年). 2020年1月8日閲覧。
  6. ^ 藤沢康弘、上野宏共、小林哲夫「火砕堆積物の堆積温度からみた由布火山の 2.2 ka 噴火」『火山』第46巻第4号、2001年、187-203頁、doi:10.18940/kazan.46.4_1872022年4月19日閲覧 
  7. ^ 由布岳[ゆふだけ]Yufudake”. 国土交通省 気象庁. 2025年5月23日閲覧。
  8. ^ 髙橋修. “阿蘇の山焼きと奇跡の植生と自然保全。――広大な草原に氷河期の日本を感じでみないか”. 山と渓谷社. 2023年4月2日閲覧。
  9. ^ 由布岳登山案内”. 由布岳カントリーロードユースホステル. 2023年4月2日閲覧。

関連項目

外部リンク




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