羅臼岳(北海道)
1661m 北緯44度04分33秒 東経145度07分20秒(羅臼岳) (世界測地系)
概 要
北海道東部の知床半島中部にある火山で、基盤の中新世の流紋岩・安山岩が標高900mまで露出。火山の基底直径は約5km、標高1661m、大部分が輝石安山岩の溶岩や火砕岩からなる成層火山で、山頂部には溶岩ドームがある。他に同様な火山が半島中軸に沿い北東に3山連なり、更にその北東に知床硫黄山がある。山麓に温泉湧出。
最近1万年間の火山活動
最近2200年間では、約2200年前、約1400年前、約500~700年前の3時期に火山活動が活発であった。 約2200年前には、比較的規模の大きな噴火が発生し、降下火山灰や火砕流が噴出した。 約1400年前の活動では、プリニー式噴火による降下火山灰と火砕流が、500~700年前の活動でも降下火山灰や火砕流が噴出した。 また、山頂付近に存在する溶岩流や溶岩ドームには新鮮な地形が残っており、この3時期のそれぞれ、 あるいはいずれかの活動で形成された可能性が高い(宮地ほか,2000)。
記録に残る火山活動
羅臼岳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 23:17 UTC 版)
羅臼岳 | |
---|---|
![]()
北西、岩尾別沖のオホーツク海から望む山体
|
|
標高 | 1,661[1] m |
所在地 | ![]() 北海道目梨郡羅臼町・斜里郡斜里町 |
位置 | 北緯44度04分33秒 東経145度07分20秒 / 北緯44.07583度 東経145.12222度座標: 北緯44度04分33秒 東経145度07分20秒 / 北緯44.07583度 東経145.12222度[2] |
山系 | 知床半島 |
種類 | 成層火山(活火山ランクB) |
羅臼岳の位置 | |
![]() |
羅臼岳(らうすだけ)は、北海道・知床半島にある火山群の主峰および最高峰で標高1,661メートル[1][注釈 1]。1964年(昭和39年)6月1日に知床国立公園に指定され[3]、2005年7月にこの山域を含む知床半島が知床 (世界遺産)に正式登録された。深田久弥による日本百名山に掲載されており[4]、新・花の百名山[5]に選定されている山である。
概要

標高は1995年に国土地理院の調査で1,661メートルに改定されたが、より正確に測定できるGPS調査により、2008年5月1日に1,660メートル(1,660.36メートル)に改定[6]。しかし、GNSS測量等の点検・補正調査の結果、2014年4月1日の『日本の山岳標高一覧-1003山-』で1,661メートルに再び改訂された[1]。
流紋岩質から安山岩質の溶岩による活動は成層火山を形成したものの、最終的に山頂付近は溶岩円頂丘を形成させているほか、年月を経て地すべり・崩壊地形が多数形成されている[7]。約500年前まで火山活動を続けていた活火山であり、1964年には山麓の羅臼町で100回を超える群発地震や間欠泉の噴出を観測している[8]。
羅臼八景の一つ[9]。1965年(昭和40年)に、『羅臼湖畔から仰ぐ羅臼岳』の知床国立公園の10円切手が発売された[10]。
名称について
アイヌ語名ではチャチャヌㇷ゚リ (chacha-nupri) と呼ばれる。これは「親爺・山」の意で、アイヌ語研究者の山田秀三は「知床半島の最高峰なのでそう呼ばれたのだろうか」としている[11]。
知床富士とも呼ばれている[12]。また、漢字表記については良牛岳と記されたこともある。
噴火活動
1990年代に知床硫黄山の噴火史調査が行われた際に、最近の2000年間で複数回の活動が確認され1996年に活火山として指定された[13]が、19世紀末以降の噴火活動と1996年以降の噴気活動は認められない[8]。山頂付近に存在する溶岩流や溶岩ドームには新鮮な地形が残っており[8]3つの時期に形成された可能性が指摘されている[8]。
最近の2300年間では、2,200 - 2,300年前、1,400 - 1,600年前、500 - 700年前の3時期に火山活動が活発であった[13][14]。
- 2,200 - 2.300年前の活動 比較的規模の大きな噴火が発生し、降下テフラや火砕流が噴出。
- 1,400 - 1,600年前の活動 プリニー式噴火による降下テフラと火砕流。
- 500 - 700年前の活動 降下テフラや火砕流。
登山

登山ルート
登山口は、羅臼町からは羅臼温泉付近から、斜里町からは岩尾別温泉付近から登山道が整備されている。所要時間は後者の方が短い。知床五湖には遊歩道があり、その山容を望むことができる。登山ルートは傾斜がきつく岩質がもろい状態で、厳しい気象条件下にある。また、ヒグマが頻繁に出没するエリアである。
周辺の山小屋
山容
-
知床峠から望む山頂
-
知床峠から望む山頂
-
知床五湖と羅臼岳
-
羅臼岳から望む知床半島の山並み
-
秋の知床五湖から羅臼岳
-
羅臼平から羅臼岳
-
岩清水付近から羅臼平
-
羅臼岳最後の登り
-
羅臼岳山頂からオホーツク海と知床五胡
-
羅臼岳から硫黄山やサシルイ岳
脚注
注釈
出典
- ^ a b c “標高値を改定する山岳一覧 資料1”. 国土地理院 2014年3月26日閲覧。
- ^ 日本の主な山岳標高:北海道(国土地理院、2010年12月28日閲覧)
- ^ 知床国立公園(環境省、2010年11月30日閲覧)
- ^ 深田久弥『日本百名山』朝日新聞社、1982年。ISBN 4-02-260871-4。
- ^ 田中澄江『新・花の百名山』(文春文庫、ISBN 4-16-731304-9)
- ^ 報道発表資料「北海道全域の三角点標高を改定(2008年3月3日)」(国土地理院、2011年1月1日閲覧)
- ^ 伊藤陽司、北海道東部, 知床半島におけるランドスライド地形の特徴と最近の斜面災害 地すべり 1996年 33巻 3号 p.32-41_1, doi:10.3313/jls1964.33.3_32
- ^ a b c d 羅臼岳 気象庁
- ^ “羅臼八景〜道の始まりを目指せ!ルート”. 北海道根室振興局. 2019年12月29日閲覧。
- ^ 『切手と風景印でたどる百名山』ふくろう舎、2007年、ISBN 978-4-89806-276-0
- ^ 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 別巻〉、2018年11月30日、228-229頁。 ISBN 978-4-88323-114-0。
- ^ 『ふるさとの富士200名山』東方出版、1996年、ISBN 978-4-885-91499-7
- ^ a b 宮地直道、中川光弘、吉田真理夫、"羅臼岳火山における最近2,200年間の噴火史" 火山 45(2), 75-85, 2000-05-10, doi:10.18940/kazan.45.2_75, NAID 110003041183
- ^ 過去2,000年間の日本の火山噴火カタログ 地学雑誌 1999年 108巻 4号 p.472-488, doi:10.5026/jgeography.108.4_472
関連項目
外部リンク
- 気象庁
- 日本の第四紀火山 羅臼岳 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
- 防災関連
- 防災マップ〈2011年版〉 (PDF) 防災科学技術研究所
- 火山災害危険箇所マップ 斜里町
羅臼岳と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- 羅臼岳のページへのリンク