情報統制とそれに対する対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 11:54 UTC 版)
「2022年ロシアのウクライナ侵攻」の記事における「情報統制とそれに対する対応」の解説
2月25日 - ロシア国内でのFacebookへのアクセスが制限された。 2月26日 - 通信規制当局は、国内メディアに対し、ウクライナ危機に関する報道で「攻撃、侵略、宣戦布告」と表現した記事を削除するよう求めた。 3月1日AKKetが取得したロシア政府が発行したと見られる文書によると、国外からの制裁など外部の脅威が多いとして、ロシア政府は外国製ソフトウェアの自動更新を無効にし、情報システムのユーザーのパスワードを変更し、外国のドメイン名.com、.org、.netなどにあるすべてのウェブサイトを.ru、.su、.рфなどのロシア国内のドメインに移管すると促した。また、インターネットから切り離し、国内ネットワークサービスのRunetへの切り替えも示唆した。 ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(ロスコムナゾール)は、ロシア語版ウィキペディア「Вторжение России на Украину (2022)」においての、「ウクライナ民間人に多数の死傷者が出た」という記載が「違法に拡散された情報」であるとして検察当局がウィキペディアサイトの停止を警告した。 YouTubeは、ロシア政府系メディアの「RT」「スプートニク」の公式チャンネルをヨーロッパで視聴できない措置を取ったと明らかにした。 3月2日ロシアの経済紙『RBK(ロシア語版)』は「国民は政権に規制されていない情報を得るため『VPNアプリ』を積極的にダウンロードしている」と報じた。 ロシアの情報統制を受け、BBC会長のティム・デイビー(英語版)は「ロシアの人々に真実を伝え続ける」と述べ、ロシアとウクライナ両国内で一日4時間、2つの短波放送を開設したと発表した。 3月3日ウィキメディア財団は、ロシア政府の記事削除要求に対して「ウィキペディアはこの危機における信頼できる重要な情報源である。私たちはウィキペディアのメンバーへの検閲や脅迫に対して後退しない。私たちは、世界に自由な知識を提供する使命を持つ」との声明を出した。ウィキメディア財団ロシア支部(ロシア語版)は、通信監督庁にウィキペディアは常時複数人の編集者によって情報が更新され、かつガイドラインもあるなどの説明をした。 3月4日ロシア下院議会は「ロシア軍の活動について意図的に誤った情報を拡散するなどした個人や団体に罰則を科す」とする法律の改正案を全会一致で採択した。ロシア人だけでなく外国人も対象で、最大で15年の懲役や禁錮など自由剥奪の重い刑罰を科す可能性がある。同日、上院での採択、プーチンの署名を経て改正法は発効した。 ロシアの通信規制当局は、BBCのロシア語放送、アメリカ国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」、アメリカ政府系放送局「ラジオ・リバティー」、ドイツ公共放送「ドイチェ・ヴェレ」、ロシア語の独立系ニュースサイト「メドゥーザ(ロシア語版)」などへのインターネット上のアクセスを遮断したと発表した。さらにFacebookとTwitterへのロシア国内でのアクセスを遮断すると発表した。 上記の措置がとられたため、BBC、ブルームバーグ、CNN、カナダ放送協会(CBC)などはロシア国内での取材活動を一時停止すると発表。BBC会長のティム・デイビーは「スタッフの安全は最重要であり、仕事をしただけで刑事訴追を受けるリスクにさらす気はない」と述べた。ドミトリー・ムラトフが編集長を務めるロシアの独立系新聞『ノーヴァヤ・ガゼータ』は、ウクライナでの軍事行動に関する記事を削除する方針を示した。日本の朝日新聞もロシア国内からの報道を一時見合わせることを発表した。 3月6日 - TikTokは、前述の法改正を受け、ロシアのユーザー向けの生配信と新コンテンツの提供を停止すると発表した。 3月8日BBCはロシアからの報道を再開したことを発表した。同局は「新法の影響とロシア国内から報じる緊急の必要性を慎重に検討した結果、再開を決定した」とのコメントを発表している。その一方で『ニューヨーク・タイムズ』はロシア国内に駐在しているスタッフを国外に一時撤退することを発表した。 日本放送協会(NHK)は同局が放送している国際放送「NHKワールド JAPAN」の英語チャンネルが同日(現地時間同月7日夜)からロシア国内において、視聴が出来なくなっていることを発表した。 Twitterは、TwitterのサイトをTorネットワーク経由で閲覧できるようにした。これにより、ユーザーは匿名でTwitterを利用できるようになる。 3月9日日本国外務省は「最悪の場合、身柄の拘束や罰金を課す可能性も排除できない」として、報道各社に対し、ロシア国内での報道活動は慎重に行うように注意喚起を行った。 ディスカバリーはロシア国内での番組配信を停止したことを発表した。 3月10日Telegramに開設されたチャンネル「Мракоборец」において、ロシア語版ウィキペディア「Вторжение России на Украину (2022)」の編集を行っていたミンスク在住のマルク・ベルンシュテインの個人情報が晒された。 3月11日ロシア検察当局は、FacebookやInstagramを運営するメタを「過激派組織」と認定し、ロシア国内での活動を禁止するよう裁判所に告訴した。 YouTubeは、ロシア国営メディアと関連するチャンネルをブロックし、世界中で見られなくなるよう措置を講じた。これらのチャンネルはヨーロッパで既に見られなくなっていたが、全世界に広げた。 ベラルーシ内務省の組織犯罪・腐敗対策総局は、前述のベルンシュテインの身柄を拘束した。 3月14日 - ロシアのロシア情報技術・通信省は、国内のInstagramへの接続を遮断した。 3月16日 - 国内のハイテク起業家らは、Instagramの国内遮断の措置を受け、ロシア独自の写真共有アプリ「ロスグラム」を立ち上げると発表した。サービス開始は3月28日とされる。 3月21日モスクワの裁判所は、FacebookやInstagramを運営するメタを「過激派組織」と認定し、ロシア国内での活動を禁止する決定をした。 午前0時9分(モスクワ時間)、日刊紙『コムソモリスカヤ・プラウダ』のウェブサイトは、ロシア国防省からの情報として、ウクライナでの「特別作戦」で軍要員9,861人が死亡、1万6,153人が負傷したと報じた。当該記事はソーシャルメディアで注目を集め始め、同日午後9時56分、死者数への言及は全面的に削除された。同紙はこの後、サイト管理者のアクセスがハッキングされたとする声明を発表。事実に反する偽情報が挿入されたが、ただちに削除したと述べた。 3月23日 - ロシア通信当局は検察当局からの要請により、信頼できない情報にアクセスさせているとして、Googleのニュース検索サービス(英語版)「Google ニュース」を遮断したと明らかにした。 3月28日ロスコムナゾールは、ゼレンスキーにインタビューした国内メディアに対し、インタビューの記事を掲載しないよう求めた。検察当局も調査開始を発表したが、一部のメディアは取材内容を公表した。 ロシアの独立系メディア「ノーヴァヤ・ガゼータ」は、ロシアの通信規制当局から2度の警告を受けたとして、ロシア軍のウクライナ侵攻が終わるまで活動を停止すると発表した。1年間に文書で2度の警告を受けると、当局が裁判所に登録廃止を申請することが可能になる。 3月29日 - ロスコムナゾールは、YouTubeに対してウクライナの極右勢力やアゾフ大隊などのビデオを隠匿しているとして、それらの「違法」ビデオを削除しないと罰金を科すと警告を発した。 3月31日 - ロスコムナゾールは、ウィキペディアに対し、ロシア政府の見解と異なるウクライナ侵攻に関する情報をロシア人に提供しているとし、「誤った情報」を削除しなければ、最高400万ルーブル(約580万円)の罰金を科すと警告した。 4月5日Twitterは、ロシア政府のアカウントをおすすめとして、ユーザーのタイムラインなどで表示しない方針を発表した。同社は、これらの投稿について、新規則の適用範囲に含まれるが遡及的には適用されないとした。 ロスコムナゾールは、ウィキペディアに対し「間違った情報を含むコンテンツ」の削除を再要請し、応じない場合には最高400万ルーブル(約600万円)の罰金を科すと警告した。 4月11日 - 過去に2回毒を盛られた可能性がある反体制政治活動家でジャーナリストのロシア人ウラジーミル・カラムルザ(ロシア語版)がモスクワの自宅前で拘束された。拘束前の同日に掲載されたCNNのオンライン・ストリーミング・プログラムでロシア政府を「殺人者たちの政権」と呼び、ウクライナ侵攻を非難し、さらにはこの侵攻がプーチン政権を失脚へ導くと述べていた。 4月15日 - インテルファクス通信は、ロシアの裁判所が、Googleとウィキペディアを運営するウィキメディア財団に対し、ウクライナでの軍事衝突における「偽の」情報を削除しなかったとして罰金を科したと報じた。 4月26日 - ロシアの通信社は、モスクワの仲裁裁判所が、ロシアにおけるGoogleの財産と資金5億ルーブル(約700万ドル)相当の差し押さえを命じたと報じた。 5月5日 - プーチンはロシア国営教育財団のトップと面会。ウィキペディアの記述内容が客観性に欠けるとして、ロシア独自のネット百科事典を作成するよう促した。モスクワ・タイムズによれば、財団トップは「ウィキペディアの代わりとなるデータベースを作っているところだ」と返答したという。 5月18日 - ロシアのGoogle子会社が破産申請を計画していることを明らかにした。当局に銀行口座を差し押さえられたため、従業員の給与や取引先への支払いなどができなくなったためと説明している。なお、破産後もロシア国民向けの無料サービスの提供は継続するとしている。
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