イーカロスとは? わかりやすく解説

イカロス

別表記:イーカロス、イカルス
英語:Ikaros

「イカロス」とは、ギリシア神話における「翼を携えて空を飛んだ慢心によって墜落して命を落とした」というエピソード知られる伝説的人物の名前である。「希望「勇気」飛翔」や「無謀さ」の象徴として、あるいは「驕り破滅を招く」という戒め寓喩アレゴリー)として、しばしば用いられる

「イカロス」の概要

「イカロス」は神話に登場する人物であり神話的キャラクターである。伝説的工匠ダイダロス女奴隷ナウクテラとの間に生まれた

ダイダロスミノス王怒りを買い、息子イカロスも父とともに迷宮ラビリントス幽閉されることとなった。(ラビリントスダイダロス設計した脱出不能建物であり、「labyrinth迷宮)」の語源となっている)。

ダイダロス固めた翼を発明し父子ともに空を飛びラビリントスからの脱出成功する

ダイダロスはイカロスに、高く飛びすぎることのないようにと忠告していた。しかし空を飛ぶ快感溺れたイカロスは、太陽に向かって高度を上げていった。そして太陽近づきすぎたことで溶け、翼を失い、イカロスは墜落した

「イカロス(ビデオゲーム)」とは

ゲームのタイトルとしての「イカロス」または「イカルス」は、Rocketwerkz が開発したオープンワールドのサバイバルアクションゲームである。正式名称は「ICARUS サバイブイカルス」である。「テラフォーミング失敗した未開荒野」を舞台に、探索し戦い基地作りミッション達成目指す

作中の「ICARUS」は「第2の地球目指し改造進められた星」の名称である。

「イカロス」を含む様々な用語の解説

イカロスの翼

イカロスの翼」は、ダイダロス発明した翼のことであり、「人に希望可能性もたらすもの」あるいは「便利ではあるが決し過信してならないもの」の比喩として用いられる表現である。

テクノロジー仕事暮らし革新もたらすが、使い方を誤る(誤った使い方をする)と、取り返しつかない結果招きかねない。「イカロスの翼」は、このような戒め表現として用いられることが多い。

イカロス症候群

「イカロス症候群」は、「栄光を手にしたことで傲慢になり、その傲慢さが仇となって地位権力権力奪われ破滅する」という精神構造のことである。「イカロスの翼症候群」または「イカロスシンドローム(Icarus Syndrome)」ともいう。

「富や権力を持つと傲慢になる(そして破滅に向かう)」という精神構造は、古来より認識されており、近年ではオーエンDavid Owen)によって研究され傲慢症候群Hubris Syndrome)」と名付けられた。「イカロス症候群」は、この傲慢症候群極端な形(たとえば「栄光の絶頂から一瞬にして転落失墜する」等)を指す意味で用いられることがある

イカロス出版

イカロス出版とは、東京本社を置く出版社の名前である。商号は「イカロス出版株式会社」。1980年創業した。翼を付けて飛ぶイカロスの姿をシンボルとしている。

イカロス出版鉄道・航空ミリタリー模型といった分野強く新刊雑誌多く刊行している。誤解恐れずにいえば、その道ヲタク達からの信頼も厚い。2021年インプレスホールディングス完全子会社になった

イカロスオンライン

「イカロスオンライン(ICARUS ONLINE)」はWemade Online提供していたオンラインゲームタイトルである。ジャンルMMORPG発表当初制作10年総製作費40億円の超大作MMORPG」として話題になった2015年に正式提供が開始され、およそ7年わたって提供された後、2022年サービス終了した

イーカロス

名前 Ikaros

イーカロス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/23 00:36 UTC 版)

ピーテル・ブリューゲル作『イカロスの墜落のある風景』(1558) ベルギー王立美術館所蔵。
イーカロスは画面右下に小さく描かれ、海に墜落し足だけが見えている。

イーカロス古希: Ἴκαρος, ラテン文字化Īkaros, ラテン語: Icarus)は、ギリシア神話に登場する人物の1人である。蜜蝋で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死を迎えた。イーカロスの物語は人間の傲慢さやテクノロジーを批判する神話として有名である。また、この他にカーリアの王にも同名の人物がいる[1]長母音を省略したイカロスや、ラテン語読みのイカルスとも表記される。

神話

伝説的な大工・職人ダイダロスとナウクラテーの息子。母ナウクラテーはクレーテー島の王ミーノースの女奴隷である[2]

ラビュリントスの攻略法をアリアドネーに教えたことでダイダロスとイーカロスの親子は王の不興を買い、迷宮(あるいは塔)に幽閉されてしまう。彼らは蜜蝋で鳥の羽根を固めて翼をつくり、空を飛んで脱出した。父ダイダロスはイーカロスに「蝋が湿気でバラバラにならないように海面に近付きすぎてはいけない。それに加え、蝋が熱で溶けてしまうので太陽にも近付いてはいけない」と忠告した。しかし、自由自在に空を飛べるイーカロスは自らを過信し、太陽にも到達できるという傲慢さから太陽神ヘーリオス(アポローン)に向かって飛んでいった。その結果、太陽の熱で蝋を溶かされ墜落死した。

ただし異説では、イーカロスのみが死ぬ点は一致するものの、飛行に関するエピソードはない。父子は(幽閉ではなく)追放され、船でクレーテー島を脱出する。2人は別の船に乗った(イーカロスがダイダロスを追ったとも)が、イーカロスは帆船をうまく操れず船が転覆し溺死してしまった、あるいは、船から降りる際に海に落ちて溺死してしまった[1]

傲慢と勇気

イーカロスの神話は、テクノロジー批判神話の一種であり、人間の傲慢さが自らの破滅を導くという戒めの意味もあった[3]

しかし、楽曲「勇気一つを友にして」のように、本来の教訓とは逆に、自らの手で翼を作り飛び立ったイーカロスを勇気の象徴として表している例もある。

ギャラリー

後世への影響

  • イーカリオス海 - イーカロスが落下した。彼の名にちなんで名づけられた[4]
  • イーカリア島 - イーカロスの遺体が流れ着いた、もしくは、彼の船が着いたものの降りそこなって溺死したとされる[1]
  • イカルス - 楕円軌道を描いて水星軌道の内側へはいる小惑星のひとつ。彼の故事にちなんで名づけられた。
  • イカロス - 単独の恒星として検出された最も遠い恒星。
  • IKAROS - 小型ソーラー電力セイル実証機。イーカロスにちなんで名付けられた[5]
  • 勇気一つを友にして - NHKの「みんなのうた」で1975年に紹介された楽曲。イーカロスの神話を題材にしている。但しイーカロスが太陽に近付こうとしたことを「慢心」と「無謀」ではなく「勇気」と肯定的な解釈をした歌詞の内容になっている。
  • イカロス昇天グループ -1969年に北海道で北海道大学探検部と共同で熱気球の有人飛行を行った京都のグループの名称[6]
  • イカルスの飛翔 (Flight Of Icarus) -イギリスのヘヴィ・メタルバンド、アイアン・メイデンの楽曲。『頭脳改革』(Piece Of Mind)収録。
  • IKAROS - King Gnuのノンタイアップ曲 [THE GREATEST UNKNOWNの8曲目]

脚注

  1. ^ a b c 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店1960年、50頁。
  2. ^ アポロドーロス、摘要(E)1・12。
  3. ^ 呉茂一『ギリシア神話』
  4. ^ アポロドーロス、摘要(E)1・12、1・13。
  5. ^ ISASメールマガジン 第192号”. ISAS. 2017年11月22日閲覧。
  6. ^ 梅棹エリオ『熱気球イカロス5号』(中央公論社、1972年)

関連項目

  • サムパーティ - インド神話で太陽に接近して翼が燃えた鳥の王
  • ブラドッド - イギリスの伝説上の王で、アポローン神殿まで飛んだが壁に激突して亡くなった。
  • 夸父 - 中国の巨人で、太陽を追いかけ、太陽が沈む場所まで行ったが、水を飲んでも喉が乾き渇死した。



固有名詞の分類


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