日本医師会 沿革

日本医師会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 18:25 UTC 版)

沿革

誕生まで

明治になって洋方医が増えるに従い、全国各地に互いの研修や親睦を目的に任意の業種団体が設立された。時代と共に組織の法定化を要望する声が高まり、1906年(明治39年)、1)医師会を郡市区医師会及び道府県医師会の2種類とする、2)官公立病院以外の医療施設で医業に従事する医師は全てその所在地の郡市区医師会員になり、道府県医師会が設立されれば管内の郡市区医師会員は自動的にその会員になる、内務省令の医師会規則により規定された。

更に1922年の改正医師会令では、a)日本医師会は、五道府県以上の医師会長が設立委員になって会則案を作成し、道府県医師会の3分の2以上の同意を得た上で設立総会を開き、その議決を経て設立することが出来る、b)日本医師会の総会は、道府県医師会がその会員である郡市区医師会の会員中より選んだ日本医師会議員を以て組織する、とされた。

1924年3月31日発行の内務省衛生局資料には、「医師会並に医学会の起源は明治8年、松山棟庵佐々木東洋等数十名の発起に由りて成立せる“医学会社”なるべし。次で1882年高木兼寛等の“成医会”及び田口和美等の“興医会”が起り、1883年佐野常民長與專齋等「大日本私立衛生会」を、1886年には北里柴三郎が「東京医会」を設立した。その後、1906年5月2日に医師法が発布されて法定の府県郡市区医師会が誕生し、更に1923年3月に至って医師法が改正され、法定の日本医師会が設立したと記されている。

これに先立ち、1916年北里柴三郎などにより初めての全国的組織である大日本医師会が設立されたが、1919年の医師会令公布により郡市区医師会、道府県医師会が次々と法的に整備された為、その上部機構である大日本医師会も法定化を急ぐべきとの意見が高まり、医師会令も改正され、1923年11月25日、日本医師会創立総会が開催され、北里柴三郎を初代会長として、ここに法定の日本医師会が誕生した。

1939年第二次世界大戦が勃発すると、 1942年には日本医療団令、改正医師会令が公布され、翌年、日本医師会は解散となり日本医療団総裁稲田龍吉を官選会長とする新正日本医師会が作られた(1943年1月22日)。

敗戦後、1946年に中山寿彦会長以下新役員を選出して日本医師会改組審議会を発足、新制医師会設立要綱を作成し、翌年には「設立準備委員会」(委員長榊原亨以下7名)を設けた。しかし、突然、中山日医会長ら13名がGHQから呼び出され、戦争協力者に対する公職追放を医師会役員にも適用するという通告を受けた。そこで榊原委員長名を以て「昭和17年国民医療法施行後、昭和22年までの日本医師会の会則上の役員、及び都道府県医師会の支部長(副支部長以下は非該当)は、新制医師会の役員たることを自発的に辞退すべきこと」という要望を都道府県医師会に伝え、全医師会が要望を受け入れ、1947年11月1日、高橋明を会長とする新制社団法人日本医師会が誕生した。

年表

  • 1947年11月 - 新制日本医師会設立認可。
  • 1948年03月 - 新制日本医師会会長に高橋明を選出。日本医師会と日本医学会統合。
  • 1950年03月 - 日本医師会会長に日本医学会会長の田宮猛雄を選出。
  • 1951年09月 - 「医師の倫理」策定。
  • 1975年10月 - 世界医師会東京総会開催。武見太郎日本医師会長が世界医師会長に就任。
  • 1987年04月 - 日本医師会生涯教育制度発足。
  • 1988年01月 - 日本医師会生命倫理懇談会「脳死は人の死」とする最終報告とりまとめ。
  • 1989年03月 - 日本学校保健会との共同で『漫画ヘルシー文庫シリーズ』の監修に参加(大塚ホールディングス企業メセナ活動として発行)。
  • 1990年02月 - 日本医師会館移転。
  • 1990年04月 - 日本医師会認定産業医制度発足。
  • 1991年04月 - 日本医師会認定健康スポーツ医制度発足。
  • 1995年01月 - 阪神淡路大震災(救援活動展開)。
  • 1997年04月 - 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)創設。
  • 1997年11月 - 平成設立50 周年記念式典(天皇・皇后臨席)。
  • 2000年04月 - 「医の倫理綱領」策定(「医師の倫理」全面改定)。
  • 2000年10月 - 坪井栄孝日本医師会長が世界医師会長に就任。
  • 2003年05月05日 - 機関紙『日医ニュース』が通巻1000号を達成[4]
  • 2003年08月 - 日本医師会治験促進センター発足。
  • 2004年10月 - 世界医師会東京総会開催。
  • 2007年01月 - 日本医師会女性医師バンク開設。
  • 2011年03月 - 東日本大震災(救援活動展開)。
  • 2013年04月01日 - 公益法人改革に伴い、「公益社団法人日本医師会」となる[5]
  • 2017年10月- 横倉義武日本医師会長が第68代世界医師会長に就任。
  • 2020年04月 - 新型コロナウイルス感染症に対応する有識者会議を設立[6]

  1. ^ a b 令和2年度決算報告書. 公益財団法人 日本医師会. pp. 49-51. オリジナルの2022年1月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220108001837/https://www.med.or.jp/dl-med/jma/gyozai/R02kessan.pdf 2022年3月21日閲覧。 
  2. ^ 日本医師会会員数調査【令和3年12月1日現在】”. 公益財団法人 日本医師会. 2022年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月21日閲覧。
  3. ^ https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000187439.html テレ朝ニュース2020年7月1日
  4. ^ 「日医ニュース」一〇〇〇号を顧みて」『日医ニュース』第1000号、、社団法人日本医師会、2003年5月5日。2022年1月25日閲覧。
  5. ^ 平成21年~31年」『日本医師会 平成三十年の歩み』(PDF)公益社団法人 日本医師会、2020年3月1日、234頁https://www.med.or.jp/jma/about/30th/pdf/30th04.pdf2022年1月24日閲覧 
  6. ^ 日刊スポーツ(2020年4月18日)
  7. ^ a b c 「投資型医療 医療費で国がつぶれる前に」p23 武内和久, 山本雄士 · 2017年
  8. ^ 日医会長、求心力失う 言行不一致/医療費圧縮 - 毎日新聞 2022年4月22日
  9. ^ 日医会長選、現職中川氏不出馬へ 診療報酬改定で批判 - 時事ドットコム 2022年5月23日
  10. ^ 湧, 古川. “医療費が過去最高の42兆6000億円、それでも進まない抜本的改革日経ビジネス電子版”. 日経ビジネス電子版. 2020年11月15日閲覧。
  11. ^ a b c d e f 飯島勲『小泉官邸秘録』日本経済新聞社、2006年、86-88頁。ISBN 4532352444 
  12. ^ 薬業界の役員報酬‐12社29人が1億円以上 薬事日報(2012年7月3日)
  13. ^ 医師は粥すすり、薬剤師はすき焼き三昧日医・鈴木常任理事 “敵陣”日薬学術大会で分業批判の大立ち回り 医薬経済社(2013年9月24日)
  14. ^ 薬のカルテ17万件未記載 調剤薬局「くすりの福太郎」 朝日新聞(2015年2月10日)
  15. ^ 「行きすぎた医薬分業、押し戻す」中川日医副会長2016年度改定に向け調剤報酬の議論にも関与 m3.com(2015年6月28日)
  16. ^ 分業批判一色、日医「そもそも論」繰り返し中医協で次期改定の議論開始、日薬「建設的な議論を」PHARMACY NEWSBREAK(2015年7月22日)
  17. ^ 診療所の無資格調剤、医師の指示があれば問題ない薬剤師とは法の組み立て異なるPHARMACY NEWSBREAK(2015年9月1日)
  18. ^ 日薬・山本会長「調剤は少なくとも薬剤師の仕事」 日医・松原副会長に反論、「誤解生じているのではないか」PHARMACY NEWSBREAK(2015年9月3日)
  19. ^ 【日薬】医師の調剤行為、例外除き禁止‐日医総研の解釈に反論 2016年3月11日薬事日報 http://www.yakuji.co.jp/entry49553.html
  20. ^ 第101回国会衆議院社会労働委員会議事録第19号 https://kokkai.ndl.go.jp/#/detailPDF?minId=110104410X01919840628&page=1&spkNum=0&current=-1
  21. ^ a b 日本調剤 中医協・中川委員の中医協での不正請求発言に猛抗議 2017年3月30日ミクスオンライン https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/57345/Default.aspx
  22. ^ いつまで「医薬分業の是非」を蒸し返すのか 2018/7/24日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kumagai/201807/557114.html
  23. ^ 高度薬学管理の担い手巡り、議論が紛糾 2018/7/26 日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201807/557176.html
  24. ^ 『解剖財界5』読売新聞 2018年10月30日付朝刊経済面
  25. ^ 日医ニュース(平成26年5月5日号)
  26. ^ 産業医認定に必要な単位シール、フリマサイトで1枚1万円…日本医師会「制度の根幹揺るがす」 読売新聞 2023年9月28日






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