日本医師会 他医療団体との対立

日本医師会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:40 UTC 版)

他医療団体との対立

医療費削減の流れで削減が見込まれる報酬を確保する動きもあり、診療報酬改定時には他医療職団体を批判する発言を幹部が行い、たびたび波紋を引き起こしている。医科である診療報酬とは別に、調剤報酬について意見する事例もみられ、2013年には大手調剤薬局チェーンの役員報酬が6億円超との報道を受け[17]、「医師は粥すすり、薬剤師はすき焼き三昧」と日本薬剤師会の学術大会である日本薬剤師会学術大会で発言し、波紋を呼んだ[18]

2015年には、ドラッグストアチェーンが「薬のカルテ」と呼ばれる薬剤服用歴(薬歴)を記載せずに患者へ薬を出していたことを受け[19]、これまで積極的に関与してこなかった薬剤師の調剤報酬の改定にも積極的に関与する方針を示し、「行きすぎた医薬分業、押し戻す」と発言して[20]、中医協において医薬分業批判を行った[21]

薬局業界から提起された診療所での医師の無資格調剤批判に対して、「医師の指示があれば問題ない。薬剤師とは法の組み立て異なる」と、診療所において無資格調剤がある事を認めた上、診療所の無資格調剤は問題ない旨の発言をした[22]。これに対して、日本薬剤師会から「調剤は少なくとも薬剤師の仕事」「誤解が生じているのではないか」と反論されるなど、波紋を引き起こす事になった[23]2016年にも、日本医師会傘下の日本医師会総合政策研究機構が同様の発表をし、日本薬剤師会が「医師の調剤行為は例外を除き禁止である」と反論するなど[24]、再び波紋を呼んだ。なおこの件に関しては、昭和47年及び昭和59年の国会答弁内で「医師の監督権はない」と厚生大臣や局長が答弁している[25]

2017年、中医協の場で医師会所属の委員は大手調剤薬局の社名を名指し、「患者からの同意を得たかかりつけ薬剤師が不在の時、他の薬剤師が対応し、かかりつけ料を算定していないか心配だ」などと不正請求の疑惑をかける発言をした[26]。これに対して、大手調剤薬局が委員の発言を全否定するプレスリリースを出すという異例の事態を招いている[26]

2018年7月5日に開催された厚生科学審議会・第4回医薬品医療機器制度部会において、これからの薬剤師の在り方に対する議論をする際、日本医師会副会長である委員が「医薬分業自体を見直す時期に来ているのではないか」と発言、2015年3月12日に開催された内閣府の規制改革会議内で「医薬分業を推進すべき」とした意見とは正反対の意見を表明し、過去の議論を蒸し返すような発言をした[27]

2018年7月25日の同審議会でも「医薬分業の根本的な議論をすべきという議論が多々あったと思うが、それはどのように反映されるのか」と指摘、さらに「薬剤師が働きを変えれば医薬分業のメリットが感じられるとは誰も言っていない」と、不満を述べた。また今まで発言してこなかった病院薬剤師においても「病院薬剤師が輝いていない」と発言し異論が噴出、他の委員から「病院の薬剤師は輝いて活躍している」と反論を受けた[28]


注釈

  1. ^ 2012年3月時点で、会員のうち47.2%が勤務医だが、執行部は開業医が全て占めていて、勤務医の代議員は357人中38人(10.6%)である。[要出典]

出典

  1. ^ a b 令和2年度決算報告書. 公益財団法人 日本医師会. pp. 49-51. オリジナルの2022年1月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220108001837/https://www.med.or.jp/dl-med/jma/gyozai/R02kessan.pdf 2022年3月21日閲覧。 
  2. ^ 日本医師会会員数調査【令和3年12月1日現在】”. 公益財団法人 日本医師会. 2022年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月21日閲覧。
  3. ^ 日本国語大辞典,世界大百科事典内言及, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,日本大百科全書(ニッポニカ),精選版. “日本医師会とは” (日本語). コトバンク. 2021年3月3日閲覧。
  4. ^ 「勤務医にとって医師会は疑念の対象」|医療維新 - m3.comの医療コラム” (日本語). www.m3.com 29万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト. 2020年11月15日閲覧。
  5. ^ https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000187439.html」テレ朝ニュース2020年7月1日
  6. ^ a b c d 「勤務医にとって医師会は疑念の対象」|医療維新 - m3.comの医療コラム” (日本語). www.m3.com 29万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト. 2020年11月15日閲覧。
  7. ^ 日医ニュース(平成26年5月5日号)
  8. ^ 「日医ニュース」一〇〇〇号を顧みて」『日医ニュース』第1000号、社団法人日本医師会、2003年5月5日。2022年1月25日閲覧。
  9. ^ 平成21年~31年」(PDF) 『日本医師会 平成三十年の歩み』公益社団法人 日本医師会、2020年3月1日、234頁https://www.med.or.jp/jma/about/30th/pdf/30th04.pdf2022年1月24日閲覧 
  10. ^ 日刊スポーツ(2020年4月18日)
  11. ^ 共同通信2020年12月21日付「日本医師会などが「医療緊急事態宣言」」
  12. ^ a b c 「投資型医療 医療費で国がつぶれる前に」p23 武内和久, 山本雄士 · 2017年
  13. ^ 日医会長、求心力失う 言行不一致/医療費圧縮 - 毎日新聞 2022年4月22日
  14. ^ 日医会長選、現職中川氏不出馬へ 診療報酬改定で批判 - 時事ドットコム 2022年5月23日
  15. ^ 湧, 古川. “医療費が過去最高の42兆6000億円、それでも進まない抜本的改革日経ビジネス電子版” (日本語). 日経ビジネス電子版. 2020年11月15日閲覧。
  16. ^ a b c d e f 飯島勲 『小泉官邸秘録』日本経済新聞社、2006年、86-88頁。ISBN 4532352444 
  17. ^ 薬業界の役員報酬‐12社29人が1億円以上 薬事日報(2012年7月3日)
  18. ^ 医師は粥すすり、薬剤師はすき焼き三昧日医・鈴木常任理事 “敵陣”日薬学術大会で分業批判の大立ち回り 医薬経済社(2013年9月24日)
  19. ^ 薬のカルテ17万件未記載 調剤薬局「くすりの福太郎」 朝日新聞(2015年2月10日)
  20. ^ 「行きすぎた医薬分業、押し戻す」中川日医副会長2016年度改定に向け調剤報酬の議論にも関与 m3.com(2015年6月28日)
  21. ^ 分業批判一色、日医「そもそも論」繰り返し中医協で次期改定の議論開始、日薬「建設的な議論を」PHARMACY NEWSBREAK(2015年7月22日)
  22. ^ 診療所の無資格調剤、医師の指示があれば問題ない薬剤師とは法の組み立て異なるPHARMACY NEWSBREAK(2015年9月1日)
  23. ^ 日薬・山本会長「調剤は少なくとも薬剤師の仕事」 日医・松原副会長に反論、「誤解生じているのではないか」PHARMACY NEWSBREAK(2015年9月3日)
  24. ^ 【日薬】医師の調剤行為、例外除き禁止‐日医総研の解釈に反論 2016年3月11日薬事日報 http://www.yakuji.co.jp/entry49553.html
  25. ^ 第101回国会衆議院社会労働委員会議事録第19号 https://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/101/0200/10106280200019.pdf#page=22
  26. ^ a b 日本調剤 中医協・中川委員の中医協での不正請求発言に猛抗議 2017年3月30日ミクスオンライン https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/57345/Default.aspx
  27. ^ いつまで「医薬分業の是非」を蒸し返すのか 2018/7/24日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kumagai/201807/557114.html
  28. ^ 高度薬学管理の担い手巡り、議論が紛糾 2018/7/26 日経DIオンライン https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201807/557176.html
  29. ^ 『解剖財界5』読売新聞 2018年10月30日付朝刊経済面






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