WiFi6
「WiFi6」とは、WiFiの最新規格のことを意味する表現。
「WiFi6」とは・「WiFi6」の意味
「WiFi6」とは、2019年9月にスタートした最新のWiFi規格である。最大通信速度が6.9gbPSである一世代前のWi-Fi5と比較して、およそ1.4倍の9.6gbPSの高速通信を可能としている。WiFi6の特徴は、高速でありながら通信が途切れにくいことである。これまではWi-Fi4とWi-Fi5が主流であったが、Wi-Fi4が扱う2.4GHz帯は、障害物に強い電波で途切れにくいものの通信速度はさほど高速ではなく、Wi-Fi5が扱う5GHz帯は障害物に弱い電波で、途切れやすいが高速通信が可能という特徴があった。WiFi6はこの2.4GHz帯と5GHz帯の2つの帯域に対応した仕組みになっており、回線の混雑状況に応じて切り替えが可能となっている。一般的にWi-Fiは同時に接続する機器の数が増えると遅延が発生し通信は「順番待ち」状態となるが、双方の回線を使い分けることで遅延が発生しなくなるため、従来よりも安定した通信を実現できることがWiFi6の特徴である。
WiFi6で通信する場合、iPhoneやスマホなどの無線LAN接続はWiFi6に対応したルーターを、パソコンやノートパソコンを有線接続する場合はカテゴリ6A以上のLANケーブルを使用する必要がある。ただし、現在4Gや5G対応のルーターを使用している場合でもWiFI6には下位互換性があるため接続は可能であるが、通信規格が異なるため高速通信というWiFi6のメリットを享受できないので注意が必要である。また、WiFi6の性能を100%活用するためには10gbPS回線に対応したプロバイダーを利用することが望ましいため、多くのプロバイダーが現在主流としている1gbPS回線では意味ないという声もある。しかし、実測値を計測すると1gbPS回線でも相応の速度が出ているので、WiFi6を利用する価値は十分にあると思われる。
なお、現在使用しているスマホやPCがWiFi6に対応しているかどうかは簡単に確認できる。スマホの確認方法は、スペック内にある無線LAN/WiFi規格の表示が「IEEE 802.11ax」になっていればWiFi6対応機種であり、PCはWindowsであれば「Windows11」であること、Macの場合は2020年以降に発売されたAppleシリコン(M1チップ)を搭載しているかどうかを確認すればよい。
「WiFi6」の熟語・言い回し
「WiFi」という単語は既に一般化しているが正式名称は「IEEE 802.11〇〇」で、〇〇の部分にはWi-Fi5であれば「ac」が入り、WiFi6の場合は「ax」が入る。しかし、この規格名では一般的に普及しにくいため、ワイヤレス端末のネットワーク接続に関する検証を行うアメリカの業界団体「Wi-Fi Alliance」が、ブランドとして「WiFi」と命名した。なお、WiFiとは「Wireless Fidelity」の省略形で、6番目の規格であるため「WiFi6」と命名された。言い回しとしては、「WiFi6に対応したスマホを買った」などのように使われる。Wi-Fi6 ルーターとは
前述の通り5G対応のルーターでも通信が可能であるが、WiFi6の特徴を発揮するためにはWi-Fi6ルーターを使用することが望ましい。Wi-Fi6ルーターを使うことで高速通信を実現することに加え、セキュリティ面においても最新規格の「WPA3」の採用でより安全に通信できることや、「TWT」と呼ばれる技術により省エネ効果も期待できる。
Wi-Fi6ルーターの選び方としては、「IPv6に対応しているか」と、「アンテナの形状」をチェックするのがおすすめだ。IPv6とは「Internet Protocol Version6」の略称で、帯域幅の広い通信網を利用できるためWiFi6の持つ高速性を最大限に活用できる通信方式となっており、従来のIPv4よりも安定した通信が可能となった。また、アンテナには内蔵型と外付け型の2種類があり、内蔵型はルーター本体にアンテナは見えないが、360度全方向に向けて電波を発信できるため、仕切りの少ないワンルームや居間への設置におすすめである。外付け型は本体に1~6本程度のアンテナがあり、アンテナを動かすことで障害物を避けて電波を発信できる。そのため部屋数が多い建物や、2階建てなどの広い範囲をカバーするのにおすすめである。なお、接続可能台数も機種によって異なるため、事前の確認が必要である。
Wi-Fi6ルーターを使用するデメリットとしては、WiFi6自体が2019年に始まったばかりで対応機種も少ないため、ルーターが高額なことが挙げられる。ただし、今後の普及に伴い価格も落ち着いてくると予想されている。
ワイファイ‐シックス【Wi-Fi 6】
IEEE 802.11
(WiFi6 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 02:10 UTC 版)
IEEE 802.11(アイトリプルイー 802.11)は、IEEEにより策定された、広く普及している無線LAN関連規格の一つである。無線局免許不要で使えるものも多い。
注釈
- ^ サブキャリアの本数は52→56(ただしうち4本はパイロット信号用のため、実質的には48→52)に増え、最大の符号化率は3/4→5/6に向上した。これに伴い、最大伝送速度の理論値は (52/48)×(5/6)/(3/4) = 65/54倍になった。
- ^ 1シンボル当たりのデータ送信時間は 3200 ns のため、このオプションを利用すれば、最大伝送速度の理論値はさらに (3200 + 800) / (3200 + 400) = 20/19 倍になる。
- ^ IEEE 802.11n-2009(英語版)を参照
- ^ 2011年(平成23年)現在、最大伝送速度が300 Mbpsの無線LANルーターは「11n準拠」、150 Mbpsの無線LANルーターは「n (11n) テクノロジー対応」としてそれぞれ販売されている。
- ^ 40 MHzチャンネルボンディング時の802.11nに比べ、データ信号用サブキャリアが108→234本に増えるため、最大伝送速度は234/108 = 13/6倍になる。
- ^ 64QAMに比べ、1シンボル当たりのビット数が6bit→8bitに増えるため、最大伝送速度は8/6 = 4/3倍になる。
- ^ 1ユーザーに対しては最大4ストリームのため、1つの端末に対する最大速度は4x4 MIMOと同等。下記数値は親機側の通信速度合計の理論値。
出典
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