WUSB
読み方:ダブリューユーエスビー
WUSBとは、コンピュータで広く用いられているインターフェース規格のUSB(Universal Serial Bus)のひとつで、無線信号によるデータの通信を可能にした規格のことである。
WUSBはUSB2.0の性格をほとんど踏襲して無線化した規格であるといえる。最大転送速度480Mbpsで、最大127個の同時接続ができる。通信速度は信号波の強度に左右され、発信機からおよそ3m以内の領域であれば最大転送速度で用いることが可能である。(半径10メートル以内の範囲では最大110Mbps程度となるという)。
従来、USBは、汎用性の高さと取扱いの容易さを特徴として広く用いられてきた。様々な機器のインタフェースとして採用され、コンピュータ機器の大半に接続が搭載されている。USB 1.0規格が初めて登場した1990年代半ばは、データの転送速度も12Mbps程度だったが、最近のUSB2.0規格では転送レートも最大480Mbpsまで高速化されている。ハブを用いれば120個あまりのUSBが同時に接続することができる。
ただしUSBは有線であったため、多くの機器をパソコンに接続することができるそのために、配線の絡まりもひどくなった。見て美しくないばかりか、USBの利点のひとつであるホットプラグを活用しづらくなり、機器同士の対応も把握が困難になるという難点があった。WUSBは、有線USBのこうした困難を克服する規格であるといえる。
WUSBの通信方式にはUWB(Ultra-Wideband)と呼ばれる技術が採用されている。非常に広い帯域を用いて通信を行なうので、他の機器や通信システムとの共存も可能となっている。これによって、パソコンとデジカメ、HDTV、DVD、ゲーム機、MP3プレーヤなどを、配線なく自由に接続できるようになる。利便性と快適性を一挙に上げる仕様として、期待を浴びている。
米国のIntelは、2003年6月にMBDA(MultiBand OFDM Alliance)を設立し、パソコンから家電、半導体、その他あらゆるホームエンターテインメント環境を提供するために開発を進めている。Intelは、2006年内にはWUSBの量産が可能になるとしている。またNECエレクトロニクスなども、システムLSIなどについてWUSB規格への準拠を開始し、対応製品の出荷を始めている。
参照リンク
ワイヤレスUSBへの取り組みについて(NECエレクトロニクス)
Wireless USB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/14 04:37 UTC 版)
Wireless USB(ワイヤレスUSB、WUSB)とは、コンピュータ用の無線接続の通信技術のひとつで、短い距離を結ぶ有線通信であるUSBを拡張して、有線通信の安全性と速度を確保しながら、無線通信の使いやすさを持つ技術規格である。
デジタルカメラ、ビデオカメラ、ハードディスクドライブ、DVD機器等の大容量データ転送用途を想定している。
規格
2004年2月に、WUSBの規格を策定するための推進団体としてWireless USB Promoter Groupが発足した。同グループには、Agere Systems(現LSIコーポレーション)、ヒューレット・パッカード (HP)、インテル、マイクロソフト、日本電気 (NEC)、フィリップス、サムスン電子が参加している。
2005年5月にはWireless USB Specification 1.0の仕様が完成したことがアナウンスされたが、ホストとデバイス間の初回の接続手順を定めたAssociation Model部分の標準化が難航し、結局同モデルの標準は2006年3月に公開された。そのためWUSBを搭載した最終製品の出荷は2006年後半までずれ込んだ。またマイクロソフトも、Windows Vistaのリリース版にはWUSB用のデバイスドライバは収録されないことを明らかにしている。
2017年現在、WUSBに対応したパソコンや周辺機器はほとんど市場に出てきておらず、日本国内では、Y-E DATAから発売されたワイヤレスUSB対応レシーバーとワイヤレスUSB対応USBハブのセット品と、Lavie Jシリーズの最上位機種でワイヤレスUSB対応PCとワイヤレスUSB対応USBハブのセットが発売されたのみにとどまっている。
技術
PHY
WUSBは、数GHzもの超広帯域を用いる無線技術であるUWB (Ultra wideband) をベースにスペクトラム拡散 (Spread spectrum) 技術を使用している。アメリカ連邦通信委員会 (FCC) ではUWBを『最高輻射の中心周波数に対して輻射電力が10dB下がる周波数帯域幅が500MHz以上、または中心周波数の20%以上の無線通信』と定義している。
物理層・MAC層の規格としてはWiMedia Allianceが推進するMB-OFDM方式を採用している。米国では軍事技術として開発されたUWBであったが、2002年2月に民生機器での利用が認められた。
通信速度はホスト・デバイス間の距離等により変化することがあり物理層で53.3-480Mbpsをサポートする。ホスト・デバイス間距離3メートルで480Mbps、10メートルで110Mbpsの性能を目標として設計されている。
MAC以上
データ転送は128ビットAESで暗号化される。1つのホストが同時にすべてのデバイスと通信できるため、有線のUSBと異なり、ハブは仕様上存在しない。ただし有線のUSBデバイスをWireless USBにつなぐための有線USBデバイスからみるとハブ的な動作をするデバイスクラスは定義されており、"Device Wire Adapter" (DWA) と呼ばれる。現在市販されている有線USBの先につなぐことのできるWireless USBの親機はWireless USBの仕様上の「ホスト」である。
1つのバス上のデバイスは127個で有線と同じ。論理層では有線USBとほとんど同様の仕様になっているが、無線の性質を反映してアイソクロナス転送の仕様は異なっており、一定数の再送などを行う(有線USBでは再送は行わない)、40Mbpsまでに制限されるなどの差異がある。
WUSBはスタートポロジを使用し、1台のホストで最大127台のデバイスに対応する。いわゆるDual-role Device(ホストとデバイス両方の機能を持つ機器)にも対応しており、例えばデジタルカメラがコンピュータに接続されているときはクライアントとして動作し、プリンターに直接画像を送るときにはホストとして動作する。
他の無線方式との比較
規格名 | Wireless USB Specification Rev. 1.0 |
IEEE 802.11 a/b/g/n/ac | Bluetooth 5.0(HS) |
---|---|---|---|
周波数帯域 | 3.1GHz~10.6GHz | 2.4GHz/5.0GHz〜5-1GHz | 2.4GHz |
伝送速度 (通信距離) |
最大60Mbps (3m) , 14Mbps (10m) |
最大6933Mbps (100m) |
最大4Mbps (1m~100m 出力に依存) |
変調方式 | MB-OFDM | DSSS、DBPSK、DQPSK、 CCK、OFDMなど |
GFSK |
CCK: | Complementary code keying | EDR: | Enhanced data rate |
DBPSK: | Differential binary phase shift keying | GFSK: | Gaussian frequency shift keying |
DQPSK: | Differential quadrature phase shift keying | MB-OFDM: | Multiband-OFDM |
DSSS: | Direct sequence spread spectrum | OFDM: | Orthogonal frequency division multiplexing |
各国の無線周波数比較
CWUSB (Certified WirelessUSB™)
Cypress Semiconductor社は "WirelessUSB™" という2.4 GHzのISMバンドを使用したプロトコルを発表しているが、これは上述の "Wireless USB" とは関係ない。WirelessUSBの通信範囲は10~50メートルで、入力デバイス向けに設計されている。現在、ベルキン、ロジテック、バーチャルインクより製品が提供されている。
CWUSB (Certified WirelessUSB™) のロゴ使用及びCWUSBの製品発売(市場投入)は、USB-IF (USB Forum, Inc.) の試験、認可が必要で、認可されたCWUSB製品は、USB-IFの公式サイトで確認することができる。 Certified WirelessUSBリスティング製品(認可承認された製品)は、下記USB-IFのURLに掲載公開されている。
現状
一時期は「Bluetoothを統合してワイヤレスUSBが標準規格となる」という市場予測もあったが、Windows標準でサポートされない事(ハブに対し、別途ドライバやユーティリティのインストールが必要)や、Wireless USBと競合関係にあるWireless USBより長距離の通信に対応した無線LAN対応USBデバイスサーバーやUSBデバイスサーバー搭載無線LANルーターの存在などにより、2017年現在、ワイヤレスUSB対応PCも、ワイヤレスUSB対応USBハブも発売されることはなくなっている。
現在では、メーカー独自規格のワイヤレスUSBレシーバーと、ワイヤレス対応周辺機器をワイヤレスで直接接続する事が主流になっており、マウスやキーボードなどで多数製品が発売されている。
脚注
- ^ 日経エレクトロニクス 2007/10/8
関連項目
- 超広帯域無線(UWB)
- ユニバーサル・シリアル・バス (USB)
- Bluetooth
- 無線LAN
- Personal Area Network
Wireless USB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 06:28 UTC 版)
「ユニバーサル・シリアル・バス」の記事における「Wireless USB」の解説
詳細は「Wireless USB」を参照 Wireless USBは、2005年5月に発表された。無線通信によるデバイス接続をサポートする。Agere Systems(現:LSIコーポレーション)、HP、インテル、マイクロソフト、NEC、フィリップス、サムスン電子の7社により策定された。有線USB規格と接続性を考慮しているが、それらとは独立した規格として作成されている。
※この「Wireless USB」の解説は、「ユニバーサル・シリアル・バス」の解説の一部です。
「Wireless USB」を含む「ユニバーサル・シリアル・バス」の記事については、「ユニバーサル・シリアル・バス」の概要を参照ください。
「Wireless USB」の例文・使い方・用例・文例
- 私はVMの画像をUSBメモリーにコピーしたから君に送るよ。
- 暑さに対処するため,多くの会社員がパソコンのUSBポートにつなぐと動く小型の扇風機に頼っている。
- 東京・新宿のビックカメラでは,価格が1000円程度のUSB扇風機がよく売れている。
- コンピュータ付属品メーカーのエレコムでは,4~5月のUSB扇風機の出荷数は前年の同時期に比べて1.8倍だった。
- 佐藤は雪平に会いに来て,彼女にUSBフラッシュメモリを渡す。
- 警察や犯罪者を含む多くの人々がUSBメモリを手に入れるために雪平の後を追う。
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