現象・伝承
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 23:54 UTC 版)
「マーベル・シネマティック・ユニバースの設定・用語一覧」の記事における「現象・伝承」の解説
惑星直列(Convergence) 5000年に一度発生する、ユグドラシルに内包された九つの世界が一直線に直列する現象。この影響で世界間の境界が不明瞭になり、発生した世界の境目を通過することで、ビフレストや暗黒の魔法を行使せずとも別世界への往来が可能となった。単一の世界に発生する境目は決して一つだけでなく、不規則に複数の境目が様々な場所で発生する。これに加え、地球のグリニッジでは九つの世界の境目が同時に発生するようにもなる。 5000年前には、マレキス率いる“ダーク・エルフ”がこの現象と“エーテル/リアリティ・ストーン”を利用して、この世を闇に包もうとした。 地球暦2013年時に発生した際には、これに乗じた“マローダーズ”をはじめとするエイリアン種族が各世界を侵略しようと暴動を起こし、ダーク・エルフらもエーテルを取り戻して5000年前に成し遂げられなかった野望を達成するために眠りから覚め、アスガルドを攻撃し、グリニッジにも侵攻する。 ラグナロク(Ragnarök) アスガルドがスルトの炎により焼き尽くされ滅ぶという、予言めいた言い伝え。北欧神話の世界においては、神が悪魔と戦い相打ちになって世界が滅び、新たな世代の神の時代が始まるという“終末の日”・または“神々の黄昏”と呼ばれている。 2017年時に、スルトやオーディンはこの言い伝えが既に始まっていると断言し、予知夢を見ていたソーも用心していたが、この時点でその予兆は見られなかった。しかし、アスガルドから得た力で全宇宙征服を成し遂げようとするヘラを倒すために、ソーは皮肉にもこの言い伝えを実行させることを決意。ヘラを打倒したことと引き換えに、スルトによってアスガルドが滅びる予言は成就する結果となる。 “TVA”本部の書庫に納められていた資料には、“ラグナロク(災害レベル7)”・“惑星の完全消失”・“変異エネルギーは非検出”・“死者9719名”など、アスガルド滅亡の詳細が記録されている。 量子のもつれ(Quantum Entanglement) “量子世界”と現実世界が繋がり合う現象。スコット・ラング/アントマンは、ダレン・クロス/イエロージャケット打倒時に、量子世界に突入したことから量子世界内のジャネット・ヴァン・ダインとリンクし、若い頃の彼女になったような夢を見たり、一時的にジャネットの意識が身体に宿るといった事象が起こる。 デシメーション(Decimation) 2018年にサノスによって引き起こされた、“全宇宙に存在する生命の半数が無作為に消滅する”大災害。具体的には、“インフィニティ・ストーン”を6つ入手した者が片手の指をスナップさせることで、6つのストーンの力が最大限に解放され、全宇宙の生命体の半数が一斉に塵となって消滅してしまう現象を指す。 サノスがスナップした直後、ストーンのエネルギーが地球を中心に全宇宙へ放出され、宇宙中の生命体の半数が瞬く間に塵と化して消滅していき、これに伴って地球では交通事故や航空事故などの二次災害が多発。ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウによると各国政府は崩壊してしまったという。 2023年に勃発したアベンジャーズ及び彼らと所縁ある戦士たちとサノスの群勢による最終決戦において、トニー・スターク/アイアンマンも6つのストーンを手にしてスナップを敢行し、サノスとサノスの群勢のみを消滅させる。 タイムトラベル(Time Travel) アベンジャーズによる後述の“タイム泥棒作戦”の際には、量子力学を応用して過去の時代への移動が試みられた。これは量子世界を通り道とし、“ピム粒子”と“量子トンネル”によってトラベルを試みる者を目的の時代へと移動させるものである。ただし、トラベルを試みる者が量子世界の通過に必要な情報やツールが不充分な状態でトラベルを繰り返すと、その人物はEPRパラドックスにより幼児化や老化する事態を招いてしまう。これを突き止めたトニーが“タイムスペースGPS”を開発してタイム泥棒作戦に投入したことで、作戦に参加したヒーローたちは、トラベルによる身体の異変を起こすことなく過去への移動と現代への帰還に成功した。 TVAでは、組織の職員が“タイムパッド”で展開する“タイムドア”を通過することによって、あらゆる時間への移動を易々と行っている。 タイムパラドックス(Time Paradox) ブルース・バナー/ハルクは、タイムトラベルを題材とする有名な映画各種のように、例えばトラベルした過去でサノスを殺害したとしても、2023年のデシメーションの影響で混乱した世界が元通りにはなることは無いと説明した。これは何か事件のあった「A」という未来からタイムトラベルで過去に介入し、「A」の過去を改変して事件を無くしたとしても、改変された時点でその過去世界は事件が無かった「B」という未来につながる平行世界が生まれるだけとなってしまい、事件があった未来の「A」には影響を及ぼさない、というものである。 タイム泥棒作戦でアベンジャーズたちの下から逃亡した2012年時のロキがTVAに逮捕された際に、過去を改変しても未来に影響を及ぼさない理由は、TVA職員による“リセットチャージ”の使用で神聖時間軸の分岐をリセットしているためであることが描写される。 シットコム(Sitcom) ウエストビューで暮らし始めたワンダとヴィジョン(カオス・マジック)の生活を、『ワンダヴィジョン』というタイトルでテレビドラマのように外部へ放送している現象。 ウエストビューからCMBRが放出されており、このことに気付いたダーシー・ルイスの提案で、アンテナ受信式のアナログテレビ等でウエストビュー外部の人間も視聴出来るようにした 1960年代から始まり、70年代、80年代と少しずつ時代背景が新しくなり、それに合わせて画像も白黒からカラーへ、更には画面の縦横比も変化していく。 状況により作りが変わる家屋や明らかに書き割りで出来た背景、更にはBGMや観客の笑い声といった演出も挿入されるが、一部を除いて住人の多くは違和感を覚えていない。 但し、全ての状況が放送される訳ではなく、物語が破綻し掛けるとワンダの時間操作により、不自然な笑い声と音楽を足されて、そのシーンが無理やり終わらせたり、カメラアングルの変更や不自然なカット等を用いて状況を隠そうとする“検閲”が入る。 その時代背景等のイメージは、ソコヴィアにいた頃のワンダが、英語の学習のために家族で鑑賞していたアメリカのシットコムが元になっている模様である。ヘックス(Hex) カオス・マジックによってウエストビューを取り巻いた領域の名称で、命名はダーシー。上空から見ると六角形に囲われている事から付けられた。 不可視のエネルギーフィールドで、人や物体が触れると内部に引き込む。取り込まれたものは外部にいる者には突如消失したように見える。 エネルギーフィールドを通過して内側に入ったものは現実改変により外にいた頃とは形状から用途まで変わってしまい、人物などは記憶まで書き換えられてしまう。また、特に大きな影響があった場合は赤く光る事があり、これはワンダが超能力を使う時と共通している。 内部の違和感に気付いたヴィジョン(カオス・マジック)が外部へ出ようとした結果、危険を察知したワンダが領域を拡大。S.W.O.R.D.の臨時基地や周辺地域ごと飲み込んでしまい、エネルギーフィールド自体の密度もより厚さを増幅した。 後にヴィジョンの喪失により深い悲しみに包まれたワンダが、その力を半ば暴発させる形で作り出したことが発覚した。 だがワンダは、モニカ・ランボーの説得やアガサ・ハークネスとの戦いで自身の力が人々を苦しめている事実に直面したことで改心し、最終的にこの領域を消滅させる。現実改変 ヘックスに覆われたウエストビューで発生した超常現象。ヘックスが展開されたウエストビューに入り込んだ物体や人物はシットコムの背景として想定される年代に合わせて作り変えられてしまう。 変化後となる形状の基準はシットコムの背景年代と思われ、想定される時代が変化すれば、影響下にあるものもまた形を変える。 元々ウエストビューにあったものは勿論、外部から持ち込まれたものも想定される年代に相応しい形に作り変えられる上、その変化は不可逆のものである。一方で改変された物体の中でも、ワンダの周囲に存在するものは、その維持に彼女の心理状態が大きく影響され、ワンダの妊娠・出産時や錯乱時には自宅の家具や壁紙・食料品などが変化したり、激しく動き回ったり、コウノトリの壁画が実体ある生き物となった。 しかし幻覚ではないが完全な置換でもなく、例としてヘックスの外に追い出された時にモニカが着ていた服は取り込まれる直前に着ていたS.W.O.R.D.の防弾ベストと同じ素材になっていた。 人物については衣装だけでなく精神も操作されて洗脳状態となるため、調査のために立ち入ったモニカは自分の素性すら完全に忘れてしまった。一方で完全な改変には至らないのか、モニカはピエトロの話をしたワンダに、半ば無意識的にウルトロンの名前を出してしまった。 放送されている“シットコム”の年代に合わせた物体であれば改変されないと考えたモニカは、一度放送の年代と同時期のドローンを飛ばし、改変を回避している。 また、改変された人物については、緊急事態に適さない挙動をとる者や突然発生した不可解な状況を強引に終わらせる者も稀に見受けられ、生活感を感じ取れるくらいに行動できる者とモブキャラクターのような背景の一部として静止している者まで町中に散在していることから、改変そのものがウエストビュー全域に行き届いていないことや、ワンダ自身もこの現象の実態の全てを把握していないことが示唆されている。更に改変された者たちは、本心では耐え難い苦痛に苛まれており、洗脳が解けかけた彼らはヴィジョン(カオス・マジック)やワンダへこのことを一心不乱に訴えている。 最終的にワンダがヘックスを消滅させたことによって、改変されたウエストビュー全域の物体や人物は元の形状や役割に戻る。 分岐イベント(Nexus) 神聖時間軸を不安定にして、“枝分かれ”するように分岐させる出来事。“変異体”と呼ばれることになる存在が、在り続ける者に定められたシナリオに沿わない事態を起こすことを指す。イベントの概要は、「(変異体と呼ばれる存在が)職場に遅刻する」といった日常的で些細なミスを直接起こすことや、「本来は男性として生まれるはずの人物が女性になって生まれる」・「人間として生まれるはずが他の生物として生まれる」などの変異体が意図せずに関与してしまった常軌を逸する出来事まで多種に渡る。 分岐した“枝”(時間軸)が限界点である“レッドライン”を越えるまで成長すると、イベントそのものをリセットすることができなくなり、神聖時間軸が破壊され、前述のとおり多元宇宙間による再度の衝突を引き起こしてしまう。 分岐を食い止めるには、変異体によってイベントが発生する直前の時間に戻って対処すれば容易と思われがちだが、一度イベントが発生すると時間の流れが不安定になるためイベントの直前には戻れず、分岐した枝が常に成長していることもあって、“実時間”にこないとそのイベントが発生しないと言われている。 また、79年のヴェスヴィオ噴火や前述のラグナロクのような絶滅レベルの大災害の渦中では、「分岐する前に破壊される」ため、どんなことをしても神聖時間軸に影響を与えるイベントは発生しない。このことからシルヴィは、TVAの目を逃れるために歴史上の様々な大災害に身を隠しながら長年逃げ回っていた。
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