現象の解説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/07 09:37 UTC 版)
ウーゾ効果が発生するのは、エタノールのように水と混和する溶媒にアネトールのような強疎水性の精油を溶解させ、さらに少量の水を加えることでエタノール濃度を低下させたときである。水・エタノール溶液に精油を加えるなど、これ以外の方法ではウーゾ効果は観察されない。 水中油滴型エマルションは一般に不安定であり、油滴は自然に合着して巨視的レベルでの完全な相分離に至る。微量の界面活性剤を加えるか、高いせん断速度を与える(強く撹拌する)ことで油滴は安定化する。水の割合が高いウーゾ混合液では、機械的な撹拌や分散剤・界面活性剤を用いずとも油滴の合着はほとんど行われない。油滴は液液核生成により生じ、安定で均一な分散液を作る。油滴のサイズは中性子小角散乱法(英語版)により測定され、μmのオーダーであることがわかっている。 シトニコワらは動的光散乱法(英語版)によりエマルション中の油滴の径を測定し、それらが油滴同士の合着ではなくオストワルド成長(英語版)によって粗大化していることを示した。彼らの研究では、油滴は混合から数日のうちにμm程度の直径に達し、そこで成長を止めて数か月にわたって安定な状態を保つ。初期のオストワルド成長速度はエタノール濃度とともに低下する。 多成分混合系の熱力学理論によると、この種のエマルションは相図上でバイノーダル線とスピノーダル線に挟まれた準安定状態にあり、核生成によって相分離が行われる。しかし、エタノール濃度の増大がオストワルド成長の鈍化をもたらす微視的なメカニズムは完全に理解されてはいない。
※この「現象の解説」の解説は、「ウーゾ効果」の解説の一部です。
「現象の解説」を含む「ウーゾ効果」の記事については、「ウーゾ効果」の概要を参照ください。
- 現象の解説のページへのリンク