現象の説明としてのピー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 15:36 UTC 版)
ピーは様々な現象を説明するために用いられる。国、村、個人の盛衰、不幸、病気、天災などはピーに関わるものとして理解される。例えば村の守護霊への供物の不足は、守護の低下をもたらし、村外の悪霊を村の中に招き入れることになる。そのために天災、不幸な事故、悪疫の流行をもたらすと考えられている。 また家においても、その不運、病気の発生などはピーに由来するものと考えられた。北タイの祖先霊は、家内での不和、不貞を罰する役割を持つ。そのため、米倉の米の腐食、家内の病気などは祖先霊の怒りとして理解される。 植物が腐ったり、人間などが病気になったりすることを「霊が入る」(ピー・カオ:ผีเข้า)と表現することもあるが同類の悪霊と考えられている。特に病院にいても直らない病気はピーによるものと考えられ、憑依儀礼や薬師による治療の対象とされる。悪夢もピーの仕業と考えられている。夢魔(ピーアム:ผีอำ)は、家の梁にぶら下がっており、北枕にして寝ていると胸の上に落ちてきて、呼吸を止める。 他にも、人の生死に関わる説明にもピーは関わっている。人は生まれるときに天上に住むメーテーン(母テーン)、ポーテーン(父テーン)と呼ばれる夫婦の霊が鋳型を使って人間の子供をかたちどり、地上に降ろしているという信仰がある。このテーンは人間の寿命の説明とも関連している。テーンに愛された幼児は天上に召し上げ、早逝する。蒙古斑のない幼児がその寵愛の徴とされる(斑はテーンを煩わせ、尻をたたかれた痕だとされる。)。また長寿を願うソン・テーンと呼ばれる儀礼があり、その際にはテーンに供物を奉げることで、寿命を伸ばすことを願うのである。 また、タイではかつて双子はタイの年功序列の社会秩序を乱す縁起の悪いものとして嫌われた。そのため双子はピー・フェートと呼ばれることがある。
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