現象の認識
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中間財貿易を伴う諸現象の認識も、きわめて新しい。木村福成は、2003年に、国際貿易理論の「新たな潮流」として(1)フラグメンテーション(工程の細分と国際間分担)、(2)アグロメレーション(同種産業の地理的集積)、(3)企業(多数国にまたがる企業の生産活動)の3点を挙げている。これらはいずれも、近年、重要な現象として注目されているが、(1)と(3)は、かならず中間財貿易を伴っている。これらの現象については部分的な「理論化」が進んでいるが、一つの理論として統一されているものではない。とくにヘクシャー・オリーンの理論では、扱えない現象である。 中間財貿易がなぜ増大するかについて、ジョーンズたちは生産の分担化あるいはフラグメンテーションと捉えた。ここでジョーンズたちは、生産ブロックとサービスリンクという概念を立てた。フラグメンテーション理論は、Jones, R. W., & Kierzkowski, H. (2005)の第1表に代表される。これは加工費等が与えられたときの分析装置としては良いが、世界全体にいかなる価格・賃金率体系が生まれるかを与えるものではない。その意味でジョーンズたちのフラグメンテーションの理論は、アドホックな部分理論に過ぎない。 中間財貿易という認識はなかったが、日本は、明治初期から貿易立国・加工貿易を経済政策の主要な柱としてきた。加工貿易は、原材料を輸入して加工・製作の上、再輸出することであり、中間財貿易・投入財貿易の別の呼び名・名称に他ならない。 いなる生の原材料といえるようなものでも、原産国で採掘・精錬等の加工が加わっている。農業を含むほとんどすべての現代的生産は外国からの輸入財を投入に依存している。外国からの輸入財は、それか最終財として消費者や政府などに消費される以外は、すべて中間財であり、投入財である。現代経済にとって中間財貿易が重要なことは、これらの点から言うまでもない。
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現象の認識
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「地球フライバイ・アノマリー」の記事における「現象の認識」の解説
過去の主な地球スイングバイとアノマリー探査機日付速度増加異常値*観測値経験式†mm/smm/sガリレオ 1990-12-08 3.92±0.3 4.12 ガリレオ 1992-12-08 −4.6±1.0 −4.67 NEARシューメーカー 1998-01-23 13.46±0.01 13.28 カッシーニ 1999-08-18 −2±1 −1.07 ロゼッタ 2005-03-04 1.80±0.03 2.07 メッセンジャー 2005-08-02 0.02±0.01 0.06 ロゼッタ 2007-11-13 有意でない < 1 ロゼッタ 2009-11-13 有意でない ジュノー 2013-10-09 有意でない 7‡ * 双曲線無限遠点速度に換算したときの速度増加の異常値。† アンダーソンによる経験式を当てはめたときの予測値。‡ この値のみ近地点における予測値。 惑星間に飛び出した太陽系探査機などの人工天体にとってスイングバイ(重力アシスト)、すなわち惑星など自分よりはるかに大きな質量を持つ天体に接近し運動エネルギーを受け取る(もしくは与える)ことで軌道変更を行う方法は、欠くことのできない重要な操縦技術である。 望ましい軌道変更に成功するためには、スイングバイを行う探査機がその惑星のそばへと正確に接近する必要があり、そのため接近前後の探査機の位置と速度は地上から継続的に追跡されている。 探査機速度の視線方向成分を知るためには、探査機からの電波のドップラー偏移が測定される。 計算値と一致しないアノマリーはこのドップラー偏移で最初に見出された。 最初のアノマリーは、木星への入り組んだ長い旅の過程にあったNASAのガリレオ探査機が1990年12月に地球でのスイングバイを初めて試みた後に認められた。 このスイングバイはほぼ成功したものの、記録されたドップラー・データを詳細に分析すると、接近後、観測値と計算値との間にわずかな食い違いがあることが判明した。 この食い違いは地球から十分離れたときの探査機の速度に換算すれば 3.92 mm/s だけの余分な増大を意味していた。 エネルギーにしてこれは100万分の1程度の小さなズレであったが、誤差は十分小さいと見積もられたため、このズレに関しジェット推進研究所 (JPL) などで調査が行われた。 しかし満足な説明を与えるような原因は見出されなかった。 2年後の1992年12月にガリレオ探査機は2度目の地球によるスイングバイを行った。 しかし、このときには高度およそ 300 km という低い軌道での接近であったため、上層大気での抵抗による減速で覆い隠され当初こうしたアノマリーは明確に認められなかった。 ところがその後、小惑星の探査を目指した NEARシューメーカー が1998年1月に行った地球スイングバイで 13.46 mm/s の大きな増大が観測され、このとき以来、地球フライバイ・アノマリーは現実の問題としてクローズアップされることになった。 さらに、欧州宇宙機関の彗星探査機ロゼッタの2005年3月のスイングバイでも 1.8 mm/s 程度の増大が見られたことが報告された。 説明のつかない食い違いはドップラー・データと同様に、探査機との電波の送受信の時間を精密に測定するレンジング・データでも認められ、何らかの見かけ上の誤りではない可能性が高まった。 一方で、1999年の土星探査機カッシーニによる地球スイングバイでは、接近時に行われたスラスター噴射の影響もありこの現象ははっきりせず、2001年の彗星探査機スターダストにおいても同様であった。 さらに2005年8月の水星探査機メッセンジャーの分析からはこうした有意な速度のズレはまったく認められなかった。 また、2007年11月と2009年11月のロゼッタによる地球スイングバイでも有意なズレは観測されなかった。 なお2006年現在、日本のはやぶさ等に関しての分析は報告されていない。 現在のところこうした食い違いが見つかっているのは地球に対するスイングバイにおいてのみである。 他の惑星や衛星で同様のことが起こっているかどうかは、観測精度やモデルの精度の問題があり明らかではない。
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