停滞性論とは? わかりやすく解説

停滞性論(ていたいせいろん)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 13:50 UTC 版)

朝鮮の歴史観」の記事における「停滞性論(ていたいせいろん)」の解説

朝鮮の歴史は、日本のような中世封建制がなく、古代のまま停滞しており、日本平安時代レベル止まっているとするもの。黒正巌は、朝鮮の地方経済2000年進歩形跡見られない主張し福田徳三は、朝鮮封建制度欠如により、20世紀初めの朝鮮経済を「借金自足経済」とし、日本欧州より1000年以上遅れているとした。福田徳三は、朝鮮封建制度欠如による植民史観朝鮮語版)を初め唱えて日本侵略正当化した論者として現代韓国研究者から指弾されている。「おそらく近代的な経済史学方法論によって書かれ韓国の経済に関する最初学術論文」と評価される韓国の経済組織経済単位』を1903年1904年発表した。そこで資本主義発展の諸段階封建制度以前の「自足経済」、封建制度時代の「都府経済」、近代国家時代の「国民経済」に分類化する。そして20世紀初期朝鮮経済封建制度以前の「自足経済」の変容的な状態(借金自足経済)の段階属しており、日本例えるなら平安時代ヨーロッパ例えるならフランク王国に当たると主張した。それによると、20世紀初期朝鮮経済は、封建制度時代の「都府経済」にも達しておらず、日本ヨーロッパ比較して1000年遅滞しており、資本主義進展する不可欠必須要件である封建制度経験していないことから、停滞した朝鮮経済がそこから脱するためには、朝鮮自力ではできず、外国国力をもってはじめて可能だとする。この場合外国国力は、ロシア日本考えられるが、ロシア経済は、朝鮮経済同様に停滞しており、相互協力による相互発展難しく日本国力によってのみ朝鮮経済の発展可能だとする。そして論文韓国の経済組織経済単位』を以下の言葉締めくくる韓国における経済単位発展自発的なものでは出来ず伝来のものによらざるを得ない伝来的というのは、別の経済単位発展した経済組織を持つ文化同和することになる。…韓国土地開拓耕作して徐々にこれが資本化できるよう、その価値高め方法知っている者でなければならない。それでは韓国において多く経済的設備施し数千年間交通による了解同情韓人使役慣れ韓人土地事実上私有し徐々に農業経営試み、さらにその生産品である米・大豆最大顧客である我々日本人は、この使命がつくせる最も適した者ではないだろうか。ましてその封建的教育世界で最も完美したもの1つであり、土地に対しては最も集中的な農業者であり、人間に対して韓人に最も欠乏している勇ましい武士精神代表者である我々日本民族は、…封建的教育とこれに基づいた経済単位発展を何も実現していない韓国韓国人に対して、その腐敗衰亡極めた民族的特性根底から消滅させることで、自分同和させる自然的運命義務を持つ優秀な文化重大な使命に臨む者ではないか! これこそが日露戦争直前書かれ論文核心であり、朝鮮対す侵略行為剥き出ししたものであり、朝鮮自力近代化できず、日本同化して日本国力拝借して経済発展行い、それに対して日本朝鮮近代化助力する使命があるという侵略野望露骨に提示しているなどと、現代韓国研究者からは指弾されている。 森谷克己は、朝鮮社会停滞性を克服するために日本植民地になることで朝鮮近代化日本血脈によって実現でき、アジア朝鮮日本国力により停滞悪循環から脱却できること強調した大東亜共栄圏イデオロギーになった現代韓国研究者から指弾されている。朝鮮封建体制存在しない主張した福田徳三とは異なり森谷朝鮮封建体制未熟な形で部分的に存在したが、その未熟な封建体制専制主義官僚主義転換するきざしがなく温存しており、専制主義官僚主義灌漑農業基礎である治水水利村落共同体孤立閉鎖性基づいているため、アジアでは経済的進歩極めて緩やかで停滞的であり、それは専制主義官僚主義基礎である治水水利村落共同体問題起因している。したがって、これらの経済停滞日本除いたアジア植民地半植民地転落させた要因であり、このような植民地半植民地停滞したアジアとは違い封建体制完成させた日本宗主国の下に、八紘一宇精神の基アジア帝国主義から解放され300年来の植民地半植民地隷属から脱して停滞から脱出する躍進の時代となった主張した、と批判されている。 四方博は、戦後の日本社会からは朝鮮植民地支配消極的な良心的な教授」であり、朝鮮社会経済史研究著し業績残した高く評価されているが、現代韓国研究者からは、アジア朝鮮日本国力により停滞悪循環から脱却できるという朝鮮植民史観朝鮮語版)の強調やそこから脱却し近代化するために日本役割強調することで、日本侵略正当化した指弾されている。論文朝鮮における近代資本主義成立過程」『朝鮮社会経済史研究』(1933年)や論文旧来の朝鮮社会歴史的性格について」『朝鮮学報』(1・2・3集、1946年1947年)などで朝鮮社会歴史的な発展みられない停滞社会であり、朝鮮近代化するためには日本資本必要だとして資本主義過程2つ分類する1つヨーロッパみられる自国国力によって資本主義成立するものであり、もう1つ朝鮮のように外国資本によって資本主義展開することである。四方によると、「朝鮮資本主義化は外国資本と、外国人技術能力によって純粋に他律的成立したものであり、その理由開港当時朝鮮内には自生的資本の蓄積も、企業的な精神もなく、資本主義形成希望する事情とそれを実現させる条件を皆欠いていたからだ」として、結果的に朝鮮近代化のための日本役割強調され日本朝鮮近代的な産業インフラストラクチャー学校鉄道などを敷設して朝鮮近代化助けたことになり侵略収奪隠蔽されたとする古田博司は、李氏朝鮮中国の清や日本江戸時代とは異なりイノベーションを嫌い、低レベル実物経済500年間も統治しており、1805年儒学者鄭東愈朝鮮語: 정동유)が著した晝永編朝鮮語版)』は、「(我が国拙きところ)針なし、羊なし、車なし」といっており、朝鮮には羊と車と針が無く、針は衣類穴が開くくらいの粗雑なものでしかなく、針を中国から買っており、木を曲げ技術がないため、李氏朝鮮にはもなく、液体遠方に運ぶことすらできず、中国の清でも日本江戸時代でも陶磁器赤絵があるが、朝鮮には白磁しかなく、民衆衣服が白なのも顔料自給できないからであり、上流階級だけは中国交易する御用商人から色のある布を買っていたほど停滞した時代だったことを指摘しており、「中世については、この間朝鮮中世経済史某氏話した時に、私が『ちょっと言いにくいんだけど、昔、日本では停滞史観といって批判されたけど、どうも僕は、長い間やっていた感触として、李朝インカ帝国似ていないか』と聞いたですよ。そうしたら、彼が『僕もそう思う』と言うんですね。…つまり、李朝というのは並み中世ではないのです。例えば車がない。輪っかがないんです。なぜかというと曲げ物をつくる技術がない。木を曲げることができないかもないわけですよ」「甕は重いでしょうだと楽なんですが、それがないんですよ。だから升に入れて、車がないから、チゲといって全部背中に担ぐ。王朝宮廷地方でとれた蜂蜜届けるんですけれども、そういう時は四角の升です。それを組み合わせて木釘打ったものに蜂蜜入れて背中担いで山越え越えするものですから、着いた時は半分ぐらいないという状況になる。…もっとすごいのは、李朝には商店がないんですよ。御用商人商店が一カ所に集まっている。でも戸が閉まっている。要するに、宮中御用をするだけなんですね。一般民衆はどうかというと、みんな市場買い物をします。北朝鮮同じなんです。開いている商店というと、筆屋とか真鍮食器屋ぐらいですね。両班のうちで使うから筆屋と食器屋はある。…帽子などは地面広げて売ってます。商店というものが全然ないんですね。これは儒教のせいではありません。初めからずっとないのです。北朝鮮も同じで商店がない。闇市しかないわけです」「李朝には顔料ないです。だから、赤絵の壷がないでしょう薄ぼけた赤いのがあることはありますが、ほぼ全部真っ白。赤絵の壷がないというのが大きな特徴です。柳宗悦が『朝鮮の白は悲哀の色』といったのですが、それは本当貧しさ悲哀のことです。…顔料がないのです。コバルトをすこし発色できるだけでしょうか。だから衣も民衆全部白です。…上流はみんな色付きです。中国から取り寄せて上流階級では色の付いたものを着ている。また地方農村両班御用染料屋に衣を染めさせるという記録あります。でも下層は麻や木綿地の白ですよ。それを川辺で棒でたたいて洗濯をするものだから、ますます白くなる」と評している。

※この「停滞性論(ていたいせいろん)」の解説は、「朝鮮の歴史観」の解説の一部です。
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