主な研究業績
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仁田の研究業績の主なものとしては、つぎのようなものがある。理研で有機化合物のX線回折を西川から薦められて始めたことは前述したが、そのとき選んだテーマは、有機化学の基本的なファント・ホッフの仮説を実験によって証明しようというものだった。当時はペンタエリスリトール結晶のX線回折から、この結晶の構造の全貌を知ることは技術的にできない相談だったが、後に大阪大学で、水素原子以外のすべての原子の位置座標を決定することができ、炭素原子の原子価が正四面体の頂点の方向に結合の手を伸ばした形であることを見えるかたちで示した。この研究は有機化学の基礎を固めたという意味で、いまから振り返っても、最大の業績である。 もう一つの野心的な研究は、構造未知の有機化合物の構造をX線回折法だけで決められないかという問題であった。有機化合物は普通いろいろな試薬と反応を使い、ときには紫外線、可視光線、赤外線の吸収などを測定して、推論で原子の繋がり方を求める。これに対して、もしX線回折の方法だけで分子の構造が決定できれば、単に原子の繋がりがわかるだけでなく、立体的な形(いろいろな異性体を含む)とともに原子間の距離や、結合と結合の間の角度まで求めることができる。もしこれが実現すれば、有機化学の研究手段が一つ増えるというだけでなく、有機化学の研究のかなりの部分が画期的に変貌する可能性がある。現在は構造決定の方法として、質量分析や核磁気共鳴(NMR)など有力な方法が軒を揃えて店開きしているが、仁田がこんな途方もない問題に取り組もうとした1950年頃にはこれらの方法はまだ簡単に使える状態にはなかった。仁田が目をつけたのは1953年に海仁草(カイニンソウ)から単離されたカイニン酸だった。これはC10H15NO4の組成の回虫駆除薬で、構造がわかれば合成でき、薬学へのX線結晶学からの貢献として大きなものが期待された。有機化合物としては比較的小さな分子であるが、X線解析の立場からはかなり大きな分子に属する。しかもC、N、Oという電子数が近い(12、13、14個)原子を区別するのはかなり難しいことも予想された。そこで予備的にカイニン酸の亜鉛塩(2水和物)と取り組んだ。これは亜鉛原子はX線を散乱する能力が強いので、これを目印に使う目的である。カルボキシル(COO)-の部分の構造はすでに多数のカルボン酸塩について蓄積があった。ところが、仁田研究室でこの研究が進行している間に、有機化学的な方法で構造決定が先に完了してしまったので、未知構造への挑戦とはならなかったが、後に亜鉛塩でなくカイニン酸そのものについて行ったX線解析の結果も含めて、有機化学的な構造を裏付けることができた(1957年)。 有機化学的にも未知の構造への再挑戦は、仁田が関西学院大学へ移った後、名古屋大学の平田義正教授(有機化学)の研究室との共同研究の形で行われた。その対象となったのはフグ毒成分であるテトロドトキシンであった。 これの構造決定を名大(有機化学的方法)と関西学院大(X線解析)とで独立に行い、その結果を比較検討するというかたちで行われ、X線解析で未知構造を解くという野心的な試みは成功裡に終わり、両者べつべつの論文および共同論文として発表された(1963年以降)。平田研究室との共同研究はその後も続いた。 熱物性、電磁気物性などと構造とのリンクについては、結晶の相転移現象が適切な研究対象であった。相転移というのは、結晶の温度を上げていくと、ある温度(転移点)で構造が変化する現象で、結晶の中で分子や原子団の運動が激しくなるために起こるものと考えられる。したがって、転移点を境にしてX線回折の様子が変わり、同時に熱容量が激しく変化する。核磁気共鳴(NMR)の吸収線幅が転移に伴って狭くなることが多い。これらの物性の変化と構造の変化とを総合的に解析することによって、転移点よりも高温側で結晶としての状態を保ったまま、その中の分子が回転運動を始めるものが多数みつかった。このような場合、結晶でありながら柔らかく、手でおさえると形が変わる(ショウノウはその一例)。回転転移はたくさんの転移のタイプの一つであって、多くの研究が物性物理学の分野で行われるようになり、現在でも大きな研究課題である(超伝導など)。 仁田が27年におよぶ大阪大学理学部在職中に学部、大学院で研究室で卒業研究などで指導した学生は総計102名にのぼる。学生定員がずっと少ない時代で、半分は戦争中であったことを考えると、これは非常に多い。仁田は来るもの拒まずの方針だったので、学生のほかに全国から、指導を受けに長期、短期に滞在する研究者の方が多いときもあって、研究室で30名以上が毎日実験をしていることも稀ではなかった。静かなときを選んで、夜間や正月に実験する人も多く、24時間営業の様相を呈した。そのほか毎週火曜日に開かれる研究室のコロキュームに参加する近隣大学の教員もあって、研究室はいつも活気にあふれていた。
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主な研究業績
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「事後強盗罪における窃盗の機会継続性」(ジュリスト1247号166頁) 「過失犯の共同正犯論(1)(2・完)-共同正犯論序説-」(法学協会雑誌121巻1号77頁・10号1657頁) 「国際的な汚職の規制(1)」(神戸法学雑誌54巻4号235頁) 「賄賂罪」(法学教室306号55頁) 典拠管理WorldCat VIAF: 729146997400318892672 この項目は、学者に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(PJ:人物伝/P:教育)。 この項目は、法分野に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:法学/PJ法学)。
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主な研究業績
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培養神経細胞間に形成されるモデルシナプスを用い、神経終末のタンパク質機能を阻害するペプチドや遺伝子を導入して、神経伝達物質の放出を制御するタンパク質群の機能を電気生理学的に解析。 1999年、猿橋賞を受賞。
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主な研究業績
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日本中世の建築生産の研究 室町時代の建築工匠の研究 民家史の研究(摂丹型民家の形成背景を明らかにした。) 京都府を中心とする民家の調査研究 京都府、京都市を中心にして社寺建築の調査研究。 近世の集住大工(淡路島浦村、西播磨木津村に集住する大工集団)の研究 近世大坂における居職型大工工房(宮大工鳥井氏)の研究 長崎唐人屋敷に関する都市・建築的研究 日本中世建築工匠に関する基礎的研究 禅宗寺院の建築と境内地構成に関する研究 京都東山の景観構造に関する研究 禅宗寺院の伽藍および塔頭建築に関する総合的研究 民家の復原的研究 長崎蔵屋敷の研究
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主な研究業績
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「長谷川晃 (物理学者)」の記事における「主な研究業績」の解説
プラズマ中のBuchsbaum-Hasegawa共鳴現象の発見 Kinetic Alfven波の発見 光情報伝送に関する基礎方程式の導出、および光ソリトンの発見とその超高速通信への応用 地磁気の共鳴発生現象の解明 プラズマ乱流を記述する長谷川―三間方程式および長谷川―若谷方程式の導出、およびプラズマ中の帯状流の発生現象の発見 双極子磁場を用いたプラズマ閉じ込め装置の発明 など。
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主な研究業績
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「アリー・ウォーシェル」の記事における「主な研究業績」の解説
ウォーシェルの主な業績には、 生体分子の構造機能相関に関してコンピュータ・モデルを導入したこと。 生体分子の機能特性について、直交座標系に基づく力場プログラムを用いた、コンピュータによる詳細な研究の計画・手法・基本的コンセプトを独自にあるいは共同で開拓したこと。 酵素反応をシミュレーションするために統合された、量子化学/分子力学的手法 (Quantum Chemistry/Molecular mechanics method) の研究。 生物学的プロセスに関して、分子動力学的シミュレーションを初めて行なったこと。 蛋白質に関する、微視的な静電気モデルの研究。 蛋白質における自由エネルギー摂動法の研究。 などがある。これらの研究により、ウォーシェルは2013年にノーベル化学賞を受賞した。
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主な研究業績
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出版論文 Shunki Sugai, Noriyuki Kurosawa, Yusuke Kato, Driving force on flowing quantum vortices in type-II superconductors with finite Ginzburg-Landau parameter, Physical Review B, 104, 064516 (2021) 学会発表の要旨 須貝駿貴、黒澤範行、加藤雄介「TDGL方程式による単一磁束フローの境界値問題」『日本物理学会講演概要集』第73巻第2号、日本物理学会、2018年9月、 1114頁、 doi:10.11316/jpsgaiyo.73.2.0_1114、 NAID 130007734720。 - 日本物理学会「学生優秀発表賞」受賞 『周波数可変なマイクロ波表面インピーダンス測定装置の開発』 - 卒業研究レポート(研究室保管)、一高記念賞受賞
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