顕著な主な研究業績の具体的内容
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「川添良幸」の記事における「顕著な主な研究業績の具体的内容」の解説
全電子混合基底法第一原理シミュレーションプログラムの開発と適用 日本では希有な独自の定式化による材料設計用ソフトウェアを開発し、ACCMS等を通じてその普及に努めた。芯電子を含む材料系の精密な電子状態を少ない計算量で求めることが可能で、他では不可能な超微細構造定数の精密算定や化学反応過程のダイナミクスシミュレーションに成功した。材料の発光波長の絶対値算定が可能で、新たな発光材料の理論設計を可能とした。 格子振動の第一原理計算法の確立 従来、モデル計算が主体だった格子振動計算を、電子状態計算に基づく新方法によって可能とするための定式化とプログラム作成を行い、主要な材料系に適用した。このプログラムはPHONONという名称で市販化され、現在、研究方法自体も標準的なものとして広く活用されている。 シリコンフラーレンの予言 炭素で発見されたフラーレン構造がシリコンでも存在し得ることを理論的に示し、それが医療用ナノ粒子として活用可能なことを示した。この予言後に実験的に合成され、特許化も行われた。また、シリコンフラーレンは、それを単位として結合でき、シリコンナノチューブが容易に合成出来ることを予測し、その後実験的に合成され、理論予言の正しさが証明された。 新規水素貯蔵材料設計 エネルギー・環境問題解決の切り札の一つとして期待されている水素を多量に貯蔵し、容易に移送を行え、100℃程度で放出出来る新材料の理論設計に当たり、可能性のある多くの材料の提案を行った。特に、ロシア科学アカデミー無機化学研究所との共同研究として2013年度よりロシア政府から年間約1億円で3年間の研究費を支給されシミュレーション計算による新規水素貯蔵材料の研究を行っている。実施したクラスレート水和物中への水素貯蔵は最もクリーンなエネルギー貯蔵材料として注目されている。 磁性の根源解明 量子力学確立直後から標準的な教科書に記述されて来た、電子の交換相互作用による磁性の説明が全くの間違いであり、多数の電子と原子核の間の複雑な相互作用の総合的な結果であることを精密な数値計算によって示すことに成功した。これにより、研究者は正しい磁性材料設計指針を持つことが出来るため、今後の新規磁性材料設計開発に大きな寄与をなした。 以上同人は、物理の基礎理論に基づいて幅広く計算機シミュレーションによる材料研究を進め、基礎と実用化の両面で顕著な研究成果を挙げてきた。また、科学的研究手法を文科系の研究テーマに適用して新たな研究方策を確立すると共に、情報処理教育の抜本的改善法に寄与した。それらの研究成果を原著論文950件、国際会議発表858件、国内会議発表1388件、講演494件(内、国際会議基調講演及び招待講演50件)、著編訳書80件、公開特許12件、新聞記事151件、テレビ放映5件等で発表・出版し、その研究成果は国内外の研究者から高い評価を得ている。
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