メンテナンス活動とは? わかりやすく解説

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メンテナンス活動(1970-1980年代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:31 UTC 版)

福島第一原子力発電所」の記事における「メンテナンス活動(1970-1980年代)」の解説

1969年2月1号機運転開始備え、本発電所発電準備事務所発足した際、上述のように保安課が設置された。所掌安全管理の諸準備検査使用する機材点検防護具の選定改良測定器校正)、建屋内外放射線管理などである。1号機のみ運転開始している状態であった1973年初頭時点では、総勢34であった。RWP(放射線作業許可書)の発行保安課の業務であった請負業者への保安管理説明講習会もこの課で実施し1973年時点でビデオコーダーを使用した視聴覚教育効率化図っていた。課員達は平均年齢26歳若く毎週勉強会開催して各自研究発表していたという。サーベイ・メーター多く台数があり、1日1台は故障出ていたが、修理には10年選手原子力計画課で2年勤務保安設立時から転属した、第1種放射線取扱主任者取得したベテラン当たっている風景紹介されている。ただし、1978年に『とうでん』で実施した座談会によれば、保修課から見ると作業安全管理は「作業能率といった面からだけ考えますと、やはり相当ブレーキになることもあります」と述べられ着替えの手間が例示されている。 1973年頃には福島第二原子力建設準備事務所広野火力建設準備事務所と本発電所の3事業所で「浜通り情報連絡会議」を毎週開催公害総合本部中心に各所クラス出席し情報交換をしていた。また、本店との情報連絡早急に実施するために、テレファックス導入していた。 本発電所第一発電課(1978年当時によれば2、3号機の例で、運転中実施する検査として毎日実施する物が5種類、週1回実施する物が2530種類、その他、月1回、3か月1回実施する事項などもあり全体では検査の種類はとても多いという。原子力保修課課長1983年当時)の笛木謙右によると保全作業日常点検定期検査区分出来日常点検では主要機器、安全施設・安全保護系の作動確認など、約85種類試験が日、週、月、季等の周期実施されている。 これに対して定期検査当たっては、まず供用から10年毎に定められる10年計画」、運転状況電力供給計画考慮し工程組まれる。 本発電所が6機体制でひとまず完成態となったのを機に目標は「安定運転の確保稼働率の向上」にシフトした。このため1979年、本発電所発電部は組織再編され、発電課と保修課が設置された。目的発電と保修を一体で運営するためであったまた、技術部技術課には安全の総合的責任付与した続いて1980年7月には品質保証担当スタッフ設置された。 佐々木史郎の『精密機械1982年1月号への投稿によれば、6機体となってからは保修課は3課組織されそれぞれ互いに隣接するユニット2機を担当するようになっていた。各科人員6065程度課内は「工務」「原子炉」「タービン」「廃棄物処理」「電気」「計装」の6グループより成る。日常点検定期点検の他、設備改良業務内容含まれていた。 1977年入社後、本発電所保修課計装グループ5年勤務した蓮池透によれば発電所完成によりGE技術者引き上げていった際、各種マニュアル類は軒並み英語で書かれており、定期検査のための手順書や試験書は揃っていなかった。若手社員であった蓮池定期検査のためマニュアル類を和訳し日本語試験手順書を作成当たったこの他通産省立会い検査のため、立会い検査手順書作成した苦労した点は略語多さだという。佐々木史郎マニュアル整備が不十分である点に触れて複数計測機器の誤校正繰り返し生じた場合コモンモード故障引き起こすことが考えられ、非常に重要な要素であり、今後改善余地がある」と述べている。英語と検査書類整備については当時若手社員として本発電所過ごした者の指摘は他にもあり、後に所長として再赴任してきた大出厚(1973年入社)も初任地として保修課に配属され再循環ポンプ点検任された際、仕様書作成から検収まで実施した検査方法定型化されていない中で、英語の仕様書和訳し工事会社の関係者一日じっくりと工事手順確認行ったという。 佐々木史郎によれば良く指摘される外部への請負職種別に分類する機械工溶接工配管工電気工、保温工、板金工などに分けられるという。 佐々木史郎によれば定期点検クリティカルパス一つCRD交換作業で、自動交換装置導入したのは同作業をクリティカルパスから除外することも目的一つであったという。 蓮池によれば、運転員はアメリカで訓練受けた人材多く配置されていたが、メンテナンスに関してはすべてをカバーするまではいっていなかったという。そのため、検査対象には漏れがあり、蓮池発案換気空調系の制御設備点検日本語手順化実施した際には、その部分それまで点検をしていなかったため錆が溜まっていたという。 当時発電所停止に至るトラブル原因は、もっぱら設計製作、施工不良に起因したものが多かったという。中でも機器については輸入品にその傾向強かったこのため納入され機器品質保証強化することにも力点置かれていた。豊田正敏は品質上策として下記4点集約して推進する旨を挙げている。 メーカー工場における品質保証活動機器詳細設計制作管理等 現地施工・保修工事における品質保証活動下請多重構造排除作業者の技能向上、各種品質保証基準整備工事監理員による確認徹底 品質保証関連情報一元収集管理 品質保証関連技術資料管理方式統一コンピュータ管理導入 1982年当時、本発電所技術部技術課長の職にあった榎本聰明は『とうでん1982年10月座談会で、初期9か月運転し、3か月定期検査というのが(トラブルが無い場合の)標準サイクルだったものを、稼働率向上を目的12か月運転、3か月検査新し標準目標するため、試行錯誤を重ねていたという。 笛木謙右が予防保全について述べた記事によると、火力発電所との相違点安全機能維持放射性廃棄物処理設備など、火力発電所に無い設備が加わるため、全設備量で約3倍になるという。具体的には、同社の110kW級の場合下記のようになる熱交換器:約140基 ポンプ:約360台 弁:約3個以上 電動機:約3000計器:約1万個 配管:約1万t(6インチ換算で約250km) 笛木謙右によると直営ではなく請負工事採用する事で「膨大な設備とその点検円滑効率的に実施」「電力元請け工事管理チェック組織としてダブるように配慮出来るとしている。 『とうでん1983年6月によれば単なる機器交換に留まらない設備改善実施されインターロック計装制御系システム設計見直しタービン計装系は多重化したという。 中央操作室は2機一室である。『とうでん』では6号機定期検査を例に、5号機通常運転中当直員のみであるのに対して6号機の方は10名の定期検査グループ監視し燃料崩壊熱除去検査中も継続するための炉心冷却系(及び同系の熱交換器海水を送る残留熱除去系)と炉水浄化装置作動させている場面紹介している。これらの機器定期検査対象だが、2系統以上設備されていることを利用して適時切り替し、片系運転を行っている。 1983年の『とうでん記事によれば定期検査の際は毎週1回請負企業含めて工程調整会議開催されていた。 池亀亮が『エネルギーレビュー』1984年3月号に投稿したところによれば、標準的な定期点検場合、保修工1000名、30億円の費用がかかるとされている。 1984年に『経営コンサルタント』が本発電所取材した際には、当時所長住谷寛(6代目)は注意している点として「安定運転ですね。トラブル絶対に起こさずに、安定した運転を永遠に続けてこうということです。かつては安全運転と言っていたんです。(中略)その安全といった願望達成した今日においては事故によって運転を止めないということなんです」「原子力発電止めるということは何かおかしいではないかということつながってくるんです。人間の心理というものはそんなものなんです」と述べている。ただし、住谷は運開以来年間で八回から十回位の事故ありましたね」と述べ地震での緊急停止落雷による系統からの切断などを挙げている。なお、1978年発生した宮城県沖地震では本発電所揺れ停止信号発信する閾値にまで達しなかったため、運転停止には至っていないという。故障場合はプラントメーカーの技術者補修任せ当時東電では補修技術者育成はしていなかったという。 1993年10月東京電力原子力部、火力部にそれぞれ技術センター設置し定期検査自社要員増員し工事監理能力育成する方針転換した。これに従い原子力技術センターが本発電所内に設置された。 年4回定期的に実施している専用港湾浚渫1989年よりふたばというロボット型作業船で実施されるようになった

※この「メンテナンス活動(1970-1980年代)」の解説は、「福島第一原子力発電所」の解説の一部です。
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