マネー(ゲーム)マスター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 17:55 UTC 版)
「マギステルス・バッドトリップ」の記事における「マネー(ゲーム)マスター」の解説
基本無料の世界最大のオンラインゲームであり、課金は不可。推定アクティブユーザーは全世界で5000万から2億人。あらゆる非合法行為を是とするオープンワールド型の金融取引ゲームに近く、土地、先物、証券取引などを駆使し初期資金(ゲーム内通貨スノウ)をいかに増やすかで競う。ゲーム参加者はディーラーと呼ばれ、ヴァーチャルアバターとしてヴァーチャル金融街常夏市に身を投じる。レベルアップ制度などはなく、武器、防具、車両などのアイテムは全て課金で購入でき、現金で売買可能。システムに対するハッキングやサイバー攻撃が成功した事例は一度もない。また、誰が運営しているのか、どこにサーバーがあるのか誰も把握していない。定型のイベントやクエストは存在せず、シナリオも運営サイドが用意されない。カーステレオのラジオなどのイベント導入とは、多くのディーラーが喰いつきやすいAI企業側の大きな動き、程度を意味する。意識投入型のオンラインサービスだが、ヘッドギアのような機材は必要なくスマートフォンの画面から人間の五感に働きかける表象マーカーを発する事で脳内にVR空間を作り上げる。 スノウ 元々はゲーム内通貨だったが、ゲーム人口の圧倒的な増加によりドルや円に匹敵する価値(=安定性)の獲得に至り、いわゆる仮想通貨の一種として脚光を浴びている。為替変動の不安定な国家や地域では、独自通貨よりスノウの方が優遇されるほどで、もはや大陸規模の経済を支える要因に肥大しつつある。こうした背景があるため、ゲームの勝者は個人資産はおろか国際経済すら左右する存在になりうる。 スノウの安定性は、ハッキングやサイバー攻撃などで改竄される可能性が皆無である事に起因する。よってユーザー依存の分散式データチェックなどの保守点検作業も必要としていない。 語源は南国に降る雪のように珍しくて儚いもの、とされている。1スノウは現実通貨1円とほぼ等価値で取引される。銀行預金に頼らずにスノウのみを頼っている人だけで推定10億人以上存在する。 常夏市 マネー(ゲーム)マスターの舞台となる架空のヴァーチャル都市。熱帯環境の金融街を想定しており、鮫の歯のように尖った半島といくつかの島、人工的なフロート、それらを結ぶ長大な環状橋で構成される。銃社会だが、和名で右ハンドル左側通行。なお、複数のサーバーが存在するが常に情報は共有されるため、どこからログインしても大した差異は生まれない。 ディーラー アバターを介して参加するゲームプレイヤー。単に遊び感覚の者、本格的なビジネス感覚の者、多くの投資家から金を預かる者、公共サービスのため税金を運用する国家機関まで、様々な出自が存在する。食事やスタミナの概念はあるが、ログアウト時に値がリセットされるので数時間程度の滞在ならほぼ不要。ただし、味覚や満腹感は再現されるため集中力強化や感情制御のために食事にこだわるディーラーも少なくない。 マギステルス 元来の意味は人間の術者と契約を結んだサキュバス。ゲーム内におけるナビやパートナー。機械的に金融取引を繰り返す自律投資プログラムを軸に、マシンの運転支援やナビゲート、戦闘補助、その他あらゆるサポート機能を束ねた統合AI。何故か悪魔や人魚やエルフなどのオカルトな存在をモデルとしている。マギステルスは契約したディーラーと所持金・所有物・スキルなどを共有し、所有物にしか干渉できない。例外的に、契約者からのお買い物リストがあればその所持金で物品を購入できる。 その実態は、最初から現実世界に根づいている生命体。現実世界をシミュレートするマネー(ゲーム)マスターを天や神と呼ばれる領域まで拡張し、現実世界と同じように圧倒的な影響力を確保する事で、『反逆の日』に備えている。また、マギステルスの本来の形はゲーム内の姿とは異なり、それを取り戻すための復活の儀式が必要。現実世界でそれが可能かバーチャルで負荷実験を行っていた。なお、ツェリカは『反逆の日』を完全なオリジナルではなく中世暗黒時代における聖職売買の高効率版再現実験と称したが詳細は不明。 AI企業 バーチャル ゲーム内におけるリアル世界と同名の大企業。会長からバイトまで全ての従業員がAI制御のNPCで構成される。ゲーム内の上場企業の大半はAI制御であり、それ故にインサイダー、脅迫、風説、破壊行為などの不正取引に対するディーラー側の忌避感情は極めて低い。 リアル 人件費削減のためのAIビジネスモデルが全社員のオート化を果たした企業。唯一、会長だけが人間であり、多数のAI企業を束ねた数人~数十人の一族が財閥を名乗る場合もある。なお、多くのAI企業はマネー(ゲーム)マスターと連動し、自らの資産の大部分をスノウに変換して管理されている。 AI財閥 財閥は血筋に依存して経営陣を一族で固める経営方式を取る企業グループ。AI制御の当ゲームの場合、株主総会など人間ディーラー側の窓口が極端に少ない大企業という意味合いを持つ。社員どころかバイトとしても人を受け入れない一般AI企業と比べると、社外取締役に猟犬ディーラーを招き入れるなど奇妙な逆転現象も見られる。 PMC AI企業を守る傭兵組織。自身もAIで制御されるが、あくまでも企業とは切り離された契約の形を取る。契約範囲内でしか行動しないもののその武力は絶大で、一般のディーラーがどれだけ装備を固めても真正面からの撃ち合いでは勝てない程の力を持つ。 フォール 没落を意味する語で、マネー(ゲーム)マスター内で何かしらの理由により死亡した状態(ゲームオーバー)を指す。フォールすると24時間強制ログアウトされ、その間はゲーム内での金融取引などに干渉することもできない。通常はログアウトしてもパートナーとなるマギステルスがプログラム制御で取引を続けるが、フォール状態だとそうした恩恵もストップされるため、実質的に他のディーラーから際限なく貪られることになる。現実世界において、ある意味で命の喪失よりも危険な状態。 デッド フォールして借金漬け、または新たなアバターに乗り換えようとした際、他の有名ディーラーから恨まれている場合に、弱い状態から立て直す前に延々と攻撃され続けフォールを繰り返す事。そうした悪質な粘着行為の総称。 ダウン マギステルスが致命傷を負ったケース。存在は消滅せずにゲーム内で一定時間『固まる』。致命傷の時点で『固まる』が、復活までの時間はダメージに応じ、傷の深さによって変動する(数分から最大値でも1時間程度であり、フォールに比べればペナルティは軽い)。ダウン中はマップガイドや金融情報の取得、プログラム売買など各種情報サービスも停止する。 家 マネー(ゲーム)マスター内では土地や建物を購入も可能。ただし主となるのは店舗か倉庫で、凝った家屋を作る意義はあまりない。家屋は居住目的よりも、転売で稼ぐために美しく仕上げるものとみなすのが一般的。 宝石 家と同様に、装備品として宝石を購入することも可能。こちらはより用途が限られるが、レアなスキルがある他、一部のコミュニティでは特定の宝石を身に着けることが加入の条件になっているケースもある。 ログアウト 保有するマシンに搭乗し、停車させて5分以上待機する事でログアウトが実行できるようになる。それ以外の方法では、自殺(フォール)する以外にログアウトは不可能。 マシン ディーラーが保有する車。路上駐車と異なり、駐車場やガレージに正式に駐車されたマシンにはシステム上、干渉できず、バリアのように弾かれる。 AI落ち 借金などによる破産申告の一種。世帯主の財産権を一時的に放棄する代わりに、AI企業による全面的な庇護を受ける制度。生活自体は良好で表向き差別的な扱いは受けないが、実質的にはAI自体に対する漠然とした不安の受け皿とされてしまう場合もある(そもそも正式名称は別にあり、AI落ちは蔑称)。AI企業が肩代わりした借金は原則無利息で、自力で完済すればAI落ちから脱せられる。 無辜の管理者 ディーラーの中から無作為に選定される特別権限を持った人間。人間の持つ『金で買えないもの』という価値観を理解できないシステム側がそれを学習するために判断基準としている。選ばれたディーラーが欲に溺れ『金で買えないものはない』と結論された時点で、無辜の管理者の枠は次の標的へと移る。無辜の管理者が未解明の『金で買えないもの』を持つ限り、その人生の全てがシステム側によって徹底的に保護される。
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