条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/24 23:39 UTC 版)
条約と国内法の関係
学説の対立
国内法と国際法の関係については二元論や一元論などが主張されている[4]。
- 二元論(dualism)
- 一元論(monism)
- 一元論は国際法は国内的にも適用される法規範であるとする立場[4]。
- 国内法優位論
- 国内法は国際法に優位するとする立場。
- 国際法優位論
- 国際法は国内法に優位するとする立場。
- 等位理論
- 国際法と国内法は等位の関係にあり、各国は義務の抵触を調整する義務を負っており、その解決は各国の裁判所等に委ねられているとする立場[4]。
条約の国内的効力
国際法のうち、英米法の国では慣習国際法については国内措置をとらなくても国内法としての効力を認めており、日本でも「確立された国際法規」(日本国憲法第98条2項)は特別の変型手続が無くても国内法としての法的拘束力を認める[4]。
これに対し、一般の条約の国内法秩序への編入方式には、国際法に直接的な国内的効力を認めず国内法での別個の立法措置を必要とする変型方式(イギリス、カナダなど)と、国際法にそのまま直接的な国内的効力を認める一般的受容方式(アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、日本など)がある[4]。
日本国憲法第73条第1項第3号は、条約を締結することを内閣の職務としており、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とするとしている。日本国憲法第73条第1項第3号にいう条約(国会承認条約)とは、法律事項を含むもの、財政事項を含むもの、その他政治的に重要であり、それ故に発効のために批准を必要とすることが締約国の間で合意されている国際約束をいう[10][1]。また、日本国憲法第98条は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」としている。日本国憲法第98条第2項にいう「条約」は、日本国憲法第73条第1項第3号にいう「条約」よりも広く、日本が締結した全ての国際約束をいう[10]。締結した条約は、天皇が国事行為として公布を行う(憲法第7条)。
条約の優劣
国内法秩序における条約の優劣は各国で異なる。
- 一部の条約に憲法に優位する効力を認めている国(オランダ、オーストリア)[4]
- 条約に憲法に対しては劣位、法律に対しては優位する効力を認めている国(日本、フランスなど)[4]
- 条約を法律と等位の効力とする国(アメリカ、スイス、韓国など)[4][11]
- 条約は憲法や議会制定法に抵触しない限り国法上の効力を有するとする国(ナミビア、南アフリカ)[4]
注釈
出典
- ^ a b 長谷部恭男(2008)395頁。
- ^ a b c d e 經塚(2004)
- ^ 中内 康夫(参議院常任委員会調査室・特別調査室・外交防衛委員会調査室) (2020年11月). “国会の承認を要する「条約」の範囲 ― 現在の運用と国会で議論となった事例の考察 ―”. 参議院. 2024年6月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 衆議院憲法調査会事務局 (2004年4月). “「憲法と国際法(特に、人権の国際的保障)」に関する基礎的資料”. 衆議院. 2017年3月3日閲覧。
- ^ 国際法事例研究会(2001)5頁。
- ^ 家正治、「1970年代における国際連合」 『神戸市外国語大学外国学研究』 2巻 p.113-133, 1976-03-31, NAID 120005657364, 神戸市外国語大学外国学研究所
- ^ a b 国際法事例研究会(2001)15頁。
- ^ 参議院会議録情報 第055回国会 外務委員会 第16号
- ^ 衆議院会議録情報 第126回国会 外務委員会 第7号
- ^ a b 国際法事例研究会(2001)10頁。
- ^ “韓国法から考える、近年の日韓関係の齟齬について”. www.jicl.jp. 2021年10月8日閲覧。
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