枠組条約とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ビジネス > 新語時事用語辞典 > 枠組条約の意味・解説 

枠組条約

読み方:わくぐみじょうやく
別名:枠組み条約
英語:Framework Convention

条約における基本原則大まかな意図規定した条約。枠組条約は主に環境問題などに関する条約締結される場合用いられることが多い。

枠組条約は複雑かつ越境的な地球規模問題に関する条約用いられることが多い。越境的な問題解決にはより多く利害関係者条約参加することが不可欠であるとされる

枠組条約で基本的な原則示した後、詳細記した議定書などが追加締結される2段階の過程を経る場合が多い。枠組条約は、一般的かつ基本的な原則規定されているため、より多く参加見込まれ参加国一度程度囲い込むことができる効果があるとされている。枠組条約によって参加国確保した後、個別詳細規定追加していくことで条約の適用範囲次第拡大していく手段とられることが一般的である。

枠組条約による条約締結2段方式多く利害関係者条約当事者にする可能性がある一方で個別議定書締結進まないなど多くの点で限界もある。例えば、地球温暖化などに対す気候変動枠組条約京都議定書においてはCO2削減という最終的な目標共有しながらもアメリカ議定書批准しないことがあった。

枠組条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/18 07:54 UTC 版)

枠組条約(わくぐみじょうやく)は、まず目的と一般的な原則のみを定めた条約(枠組条約)を締結し、その細目は後に別個の議定書や附属書によって定めこれによって各国を法的に拘束しようとする条約のいち方式で[1][2]海洋環境保護の分野の国際条約に特徴的に見られる条約方式である[3]

意義

現代の環境保護問題に対応するためには損害や危険の防止、損害が発生した場合の救済措置を定めるだけではなく、基準設定・監視・情報交換・予防措置までも規制の対象としなければならない[2]。しかし他の条約方式ではそうした内容の条約締結に時間がかかるばかりでなく、条約の適用範囲も当事国に限られるなど、急速に変化する環境問題に適切に対応することが困難であった[2]。しかし枠組条約方式では枠組条約で定めた一般的義務の履行を後に締結される議定書などによってより継続的に補完することができるため、科学技術の進展にともない各国の義務をより迅速に変化させて枠組条約の実効性をより向上させることが可能となる[1][4]

類型

枠組条約と議定書の役割分担に関して2つの類型が見られる[5]。第一は、枠組条約では具体的に何も定めず締約国会議などといった条約が定める常設機構が議定書を採択し、その後に実際の効果を踏まえて定期的に再検討する方式である(「オゾン層保護条約」と「モントリオール議定書」など)[5]。第二は、とりあえず枠組条約自体で排出量などに関する規制措置の基準目標を定め、締約国会議がその細目について議定書を作成して各国が提供する情報を定期的に検討するという方式である(「気候変動枠組条約」と「京都議定書」など)[5]

限界

枠組条約による国際協力には今なお限界がある[6]。例えば「モントリオール議定書」など、議定書の適用を普及させるため、規制措置を無差別・平等に各国に適用することを諦めて例外的な基準を認めたものがあることである[6]。同議定書では、発展途上国の場合には最大10年間規制措置の実施を遅らせることを認めている[6]。あるいは「気候変動枠組条約」は議定書の改正に同意することができない国は改正の発効から3年後に条約から脱退することができるとしている[6]。また従来とは異なり発展途上国の積極的な参加のために新しい援助制度が必要となった[6]。「モントリオール議定書」では先進国は途上国を技術的・財政的に援助することとされ、こうした援助が適切ではなかった場合には途上国は規制措置を実施できない旨を宣言できることとされた[7]

出典

  1. ^ a b 筒井、96頁。
  2. ^ a b c 山本、673頁。
  3. ^ 杉原、319頁。
  4. ^ 杉原、390頁。
  5. ^ a b c 山本、674頁。
  6. ^ a b c d e 山本、675頁。
  7. ^ 山本、675-676頁。

参考文献

関連項目


「枠組条約」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「枠組条約」に関係したコラム

  • CFDのCO2排出権取引とは

    CO2排出権取引とは、欧州エネルギー取引所やBlue Nextなどで取引されているEUA(EU Allowance)先物に連動する銘柄の取引のことです。CFDのCO2排出権の価格は、「気候変動に関する...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「枠組条約」の関連用語

枠組条約のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



枠組条約のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの枠組条約 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS