小麦粉 小麦粉の概要

小麦粉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 09:38 UTC 版)

小麦粉。ふすまを含まないもの。

原料に使用する小麦の性質、使用する部位、挽き方によりさまざまに分類されており、適した用途も異なる。強力粉・中力粉・薄力粉、全粒粉、グラハム粉、セモリナ粉などに分類される。

歴史

古代エジプトの壁画にも小麦の収穫の模様が描かれるほど、人類と小麦の歴史は古く、人類初の作物のひとつとされる。

パンを作るため小麦粉と水でつくった生地をこねる人(古代エジプト、紀元前2494年から紀元前2345年ころの像)

収穫された種子は基本的には粉にして小麦粉として使われる[2]。初期のコムギはのようにして食べられていたが、穀粒が硬く軟らかくするのに長時間加熱しなければならなかったこと、小麦粉の生地には特有の粘りと弾力性があり食感が好ましかったこと、表皮のふすま(麩・麬=コメでいう)が硬いため取り除こうとすると内側の胚乳部が砕けてしまうことから粉食が基本になった[2]

紀元前3,000年頃の古代エジプトでは、既に無発酵のパンが食べられていた記録が残っている[2][3]

産業革命以降、蒸気機関の利用により、製粉はより大規模となり、世界に流通し、19世紀には、現代でも使用されている製粉機が誕生し、効率・品質ともにより向上した[4]

日本での歴史

日本列島では縄文時代石皿磨石を用いて植物や堅果を粉砕し食すという、粉食習慣が行われていた。弥生時代稲作農耕が開始されると石皿・磨石が消失し、米や大麦雑穀などの穀物は粒のまま食する粒食に変化した。小麦は弥生時代以降には日本列島に伝来し、古代には麺類も貴族の間で食されている。中世前期には、こね鉢・すり鉢などの加工具が再び出現し、さらに中世後期には石臼も出現し、僧や武士、庶民の間でも粉食習慣が復活した。江戸時代にはうどん・蕎麦などが食されている。

近代には、戦時色が強くなった1940年9月から業務用が、1941年4月からは家庭用の小麦粉が配給制度の対象となった。配給される量は2人-3人家庭で100匁(2か月分)とされていた[5]。 戦後の食糧不足時には、アメリカの小麦戦略から余剰分を援助物資として供給され[6]、学校給食でパン食が取り入れられたことなどからパン食の食習慣が広まった[7]

小麦粉、白、無添加[8]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,523 kJ (364 kcal)
76.31 g
糖類 0.27 g
食物繊維 2.7 g
0.98 g
飽和脂肪酸 0.155 g
多価不飽和 0.413 g
10.33 g
ビタミン
ビタミンA相当量
18 µg
チアミン (B1)
(10%)
0.12 mg
ミネラル
リン
(15%)
108 mg
マンガン
(32%)
0.682 mg
セレン
(48%)
33.9 µg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

栄養の特徴

ふすま類を取り除いて製粉したものと、ふすま類も含めて製粉したものでは栄養の特性が異なる。

(ふすま類を取り除いて製粉したものは)成分の7、8割をデンプンが占め、タンパク質も約1割含んでいる。主なタンパク質はグリアジングルテニンで、これらはを吸収すると、粘りのあるグルテンとなる。このグルテンが独特の料理を生み出し、様々な食品に生まれ変わる。グルテンの量が多くて質の強いものから順に強力粉、中力粉、薄力粉と分類されている。なおグルテンの量は品種の他に、開花期・収穫期にが降るかどうかによっても変動する。この時期に雨が多いと小麦はグルテンを形成しにくくなるためである。

一方、ふすま類なども含めて製粉した全粒粉のほうには、食物繊維が多く含まれており、"普通の" つまりふすま類などを含まない小麦粉100gに含まれる食物繊維は2.7gなのに対し、全粒粉には11.2gも含まれている(つまり粉の、実に1割以上が食物繊維[9])。食物繊維は腸の調子を整える作用がある[9](たとえば便秘がちで悩んでいる女性などには好適)。全粒粉は、普通の小麦粉に比べ、ビタミン、ミネラルを豊富に含んでおり、ビタミンとしては特にB1・B2・B6が多く、ミネラルでは特に鉄分カリウムカルシウムが多いという特徴がある[9]

グラハム粉は、全粒だが精製法が通常の全粒粉と違い、表皮と胚芽の部分が粗挽きであり、血糖値の上昇が緩やかになり健康的である。(特に健康に配慮したことを前面に出したクラッカー・ビスケット・シリアル食品などでしばしば用いられている)。


  1. ^ #メリケン粉とうどん粉の違い参照
  2. ^ a b c d e f 吉田宗弘. “うどん類の歴史と分類”. 関西大学. 2020年11月8日閲覧。
  3. ^ 小麦粉の歴史・文化、小麦粉百科」日清製粉グループ、閲覧2017年5月30日
  4. ^ 粉砕部分に着目した製粉機の分類、製粉の歴史」木下製粉株式会社、閲覧2017年5月30日
  5. ^ 家庭用小麦粉にも実施(昭和16年4月11日 朝日新聞(夕刊))『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p120 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  6. ^ 学校給食の歴史、学校給食について」全国学校給食会連合会。閲覧2017年5月30日
  7. ^ 「コメよりパン」になった日本人の食卓」ニッポンドットコム。閲覧2017年5月30日
  8. ^ [どれ?]米国農務省食品成分データベース (英語)
  9. ^ a b c [1]
  10. ^ a b c 長尾精一 『粉屋さんが書いた小麦粉の本』三水社、1994年。ISBN 4-915607-68-2 
  11. ^ 東京都火災予防条例
  12. ^ ジェフリー・ハメルマン 2009, pp. 36–38.
  13. ^ 長尾精一編 『小麦の科学』朝倉書店、1995年、p.62。ISBN 978-4-254-43038-7
  14. ^ グルテンを分離するには、こねた生地を水につけて洗い流すのだが、この水に浸かっている状態は沈粉(じんこ)という。一方、生地から分離したグルテンのほうはなどの原料として使われる。
  15. ^ 長尾精一編 『小麦の科学』 朝倉書店、1995年、pp.187-188、ISBN 978-4-254-43038-7
  16. ^ 豊田実「最近の麺事情について」『調理科学』24巻 1号 1991年 p.36-42, doi:10.11402/cookeryscience1968.24.1_36
  17. ^ プレミックスとは?」日本プレミックス協会。閲覧2017年5月30日
  18. ^ 『広辞苑 第五版』岩波書店、1998年。ISBN 978-4000801119 
  19. ^ 第10回 メリケン粉、洋菓子の世界」日本洋菓子協会連合会。閲覧2017年5月30日
  20. ^ 小麦・小麦粉の商品知識、小麦粉のおはなし」製粉振興会。閲覧2017年5月30日
  21. ^ 小麦粉のはなし、小麦と小麦粉のはなし」木下製粉株式会社。閲覧2017年5月30日
  22. ^ a b c 藤原 逸樹. “粘土遊びの指導法に関する一考察”. 安田女子大学. 2019年11月11日閲覧。


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