完璧主義 原因

完璧主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/12 09:31 UTC 版)

原因

いくつもの原因が要因として考えられている。

一例を挙げれば、条件的な愛(厳密に言えば愛ではなく、自分のエゴの押し付け、とも呼べるようなもの)しか示さない両親などの保護者のもとで育てられた場合に、このような気質になってしまうことが多いことが知られている[7]。すなわち、何かがうまくできた時だけ認めたり愛情を示すが、何かができないと愛さない、というようなあからさまな態度の変化があるような親によって育てられると、子供は自分が何かがうまく実行できるかどうか、ということに(本来人間が自然に持っているおだやかな関心以上に)異常に過敏になってゆく(よって、まっとうな子育て論では、条件付で愛情を示すような親になってはならない、とされている。たとえば子供が自分の思うような結果を出さない時でも、どんな時でもベースとなる愛情を持ちつづけ、それを示しつづけることが大切なのだ、とされている)。

治療

もしも自身の親が「条件付の愛しか示さない親」に当てはまるようならば、親の影響から心理的・物理的に遠ざかるのがひとつの方法である。

上記のような親からは心理的・物理的にすでに離れている、あるいはそもそもそのような親ではないというのに、自身に完璧主義の症候群が出ている場合は、認知療法を受けるのがひとつの方法である。あるいは、専門家のもとで認知療法を行わなくとも、認知療法のエッセンスを記した書物などを読んでそれを実行するだけでも、かなり効果があがる人も多い。ノートと鉛筆(と自分の心)だけを使って、自分ひとりで実行できるような方法が紹介されているものもある。

認知療法が行っていることは、要は、認知のしかた、すなわち考え方の癖やものの見方を変えるということである。完璧主義者は、外部的な行為や条件にばかり意識がゆき、自分の思考の流れや思考形態そのものに意識が向いていない人が多く、自分のものの見方を変える技法を持ち合わせていないことがほとんどである。認知療法では、ものの見方、考え方を自分自身で変えるノウハウが提供されているので、完璧主義者でも大半は考え方を変えることができるようになり、やがて事態が改善してゆくことが多い。

脚注

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  1. ^ Stoeber, Joachim; Childs, Julian H. (2010). “The Assessment of Self-Oriented and Socially Prescribed Perfectionism: Subscales Make a Difference”. Journal of Personality Assessment 92 (6): 577–585. doi:10.1080/00223891.2010.513306. PMID 20954059. 
  2. ^ Flett, G. L.; Hewitt, P. L. (2002). Perfectionism. Washington, DC: American Psychological Association. pp. 5–31 
  3. ^ Yang, Hongfei; Stoeber, Joachim (2012). “The Physical Appearance Perfectionism Scale: Development and Preliminary Validation”. Journal of Psychopathology and Behavioral Assessment 34 (1): 69–83. doi:10.1007/s10862-011-9260-7. 
  4. ^ ((補注)) 例えば、大人を例にとると、会社の仕事を最優先にしそれを完璧に行おうとする人は、残業が多くなりがちで、家庭がおろそかになりがちなる。学生ならば、勉学を完璧にしようとすると、運動のほうは苦手になったり、人付き合いが悪くなったり、様々な実体験が不足したりする。また、知識の習得に限っても、人類の全知識を知っている人もいないし、音楽でも、あるジャンルに精通していれば、他のジャンルは手薄になり不得手になる。さらに、スポーツでも、サッカーに上達しようとそれに集中すると、野球は凡庸になる。ひとりひとりの人間の持っている時間は有限だから全部は完璧にできない。
    また、もっと深い問題もある。たいていの場面で、いわゆるジレンマは起きている。例えば人間関係の対処のしかたを例にとっても、夏目漱石が「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される」と言ったように、どのような態度をとっても、それなりに負の面がつきまとい、問題点がある、ということは人生には多々ある。森鷗外も、エリートコース上にいる自分を守ろうとしたところ、ドイツの女性を見捨てて帰国せざるを得なくなり、ひとりの人間・男としては問題を残し、鴎外の人生は"完璧"ではなかった。だが、その反対の選択をしたとしても、やはり森鴎外の人生は問題が多い人生となったであろう、ということは評論家からしばしば指摘されている。例えば、子供の状態でも、"何でもソツなくこなす子供"は、ある角度からは立派なようではあるが、一方で "かわいげの無い子供"になってしまっているという点で完璧ではなくなる。大人であれ、子供であれ、皆ジレンマの中で生きているわけである。
  5. ^ 例えば、日本高度成長期をなしとげ、日本製品がその品質で世界から高く評価されるまでに至ったのも、適材適所のノウハウを知っている経営者たちが、完璧主義的な性質を持つ職人をうまく活用していた、という面もある。ただし、経営の領域にこのような完璧主義的な(職人気質の)人間を参加させたりすると、ひどい困難にみまわれたり、経営破綻を引き起こすことが多いことは知られている。経営というものは部分的な業務をどれだけ犠牲にしてでも全体がほどほどのレベルで存続できることを選択しなければならない場面が多いからである。完璧主義者には、経営者的な臨機応変の妙技を理解・体得することが困難なのである。
  6. ^ Greenspon, Thomas S. "Is There an Antidote to Perfectionism?" Psychology in the Schools, November 2014: 986-998.
  7. ^ Perfectionism: Causes and Explanations


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