イタリア料理 名称と定義

イタリア料理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/27 04:31 UTC 版)

名称と定義

オリーブ・オイル

日本では「イタリアン」「イタ飯(イタめし)[注 1]」等の呼び名で親しまれている。

日本で認識されている特徴としては、オリーブ・オイル、麺類、トマトを多用することが挙げられる。しかし、これはあくまでもナポリなどの南イタリアの都市で食される料理の特徴であり、北イタリアでは隣接するフランススイスと同様にバター生クリームを利用した料理が多い。イタリア東部ではオーストリアスロベニアの影響が見られる。また、シチリアなどの北アフリカに近い地域ではアラブ人ベルベル人の料理の影響を受けており、クスクスアランチーニスプリなどの料理が食べられている。

概要

バルサミコ酢

総体としては、素材を生かした素朴な料理が多い。

地中海に面する地域には魚介類を用いた料理が多く、沿岸諸国以外のヨーロッパの国々で食べられることのないタコイカも食材として使われる。しかしその一方で、北部や内陸の地域では乳製品を使った料理も多く食べられる。

このようにイタリア料理は地方ごとに特徴があるため、「イタリア料理などという料理は存在しない」とする見方もある[1][2]。これは、南北に長いイタリアは地理的にも多様な特徴があることや、イタリア王国による統一まで多数の独立国家があり、その国ごとにまったく特徴の異なる、例えばナポリ料理ジェノヴァ料理といった具合に郷土料理が発達しているためである。

その一方でパスタはイタリア各地で好まれ、様々な形で調理されている。

トマトの多用も特徴の一つであるが、トマトはラテンアメリカ原産であり、イタリアに広まったのは16世紀以降である。それ以前の特徴としてはアンチョビの形で魚醤を多く用い、見た目も質素であった。トマトの流入でヴァリエーションも増え、色彩も鮮やかになったが、反面それ以前の特徴の多くが失われたとの指摘もある[誰によって?]トマトソースに用いられるサンマルツァーノ種をはじめとするイタリアのトマトは日本のトマトとは異なり、酸味が強く生食に向かない品種である。日本のトマトは加熱調理に向かないため、日本ではトマトの缶詰をイタリアから輸入している。

歴史

アピキウスDe re culinariaリヨン:セバスチャン・グリューフィウス、1541年)

現代イタリア料理の基盤はたいへんに古く、古代ローマ帝国にまでさかのぼる。ローマ人たちは当時から食事にかける時間をとても大切にし、1日3食の構成をとっていた。そして1食をコース料理にし、2 - 3時間もかけて食事する習慣があった。彼らは満腹になると鳥の羽で咽喉を刺激して作為的に嘔吐をし、空腹になるとまた食べたという。ルキウス・アンナエウス・セネカは、「ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べる」と評している。さらに裕福なローマ人たちの間で、腕利きの料理人を呼んで料理を客に披露することが流行だった。料理人たちはそれぞれ競って腕を磨いて新しい料理作りに励んだことで、周辺の国々の追随を許さない優れた食文化が誕生し、これがローマ帝国の発展とともにヨーロッパ各地へと広がっていった。具体例をいくつかあげると、ローマ軍の遠征兵士のスタミナ源として携帯されたことが契機となり、同様に欧州各地に広まったチーズメロン牡蠣などもそうである。

イタリア料理は、フランス料理の原型でもある。1533年、フィレンツェの名門貴族であるメディチ家のカテリーナ(後のカトリーヌ・ド・メディシス)がフランスアンリ2世に嫁いでパリに移り住む際、大勢のイタリア人料理人や香料師を連れてイタリア料理や氷菓ナイフフォークの使用といったものをフランスに持ち込んだ。それをきっかけにして、当時粗野だったフランスの宮廷料理やテーブルマナーが洗練された。ちなみにフォークの爪は4本だが、これはナポリ王国国王・フェルディナンド4世の宮廷で、パスタがよく絡んで食べやすいように爪の数を増やしたとされている。

このように、西洋を代表して世界三大料理に数えられているフランス料理は、イタリア料理の影響を受けて成長した。ローマ時代から続くイタリアの食文化が西洋料理の母的存在と言われるのは、こうした歴史によるものと言える。

スパゲッティソースやピザソースに使われるトマトはメキシコ原産であり、トマトがヨーロッパに持ち込まれたのは16世紀からとされ、食用に一般的に利用され始めたのは18世紀に入ってからになる。それ以前のスパゲッティはチーズなどで食されていた。


注釈

  1. ^ マガジンハウス発行の女性雑誌『Olive』1982年7月3日号が俗称として名付けた。
  2. ^ イタリア語ではリストランテ (ristorante) と呼ぶ。語源は英語の "restaurant" と同じである。

出典

  1. ^ 西村暢夫 著、地中海学会 編「イタリアの地方料理」『地中海文化の旅(2)』、河出書房新社、216頁、1990年。ISBN 4-309-47194-3 
  2. ^ 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』白水社、2007年、45頁。ISBN 978-4-560-09202-6 “料理も『イタリア』と呼べるものはあまり存在しない。”
  3. ^ 川上文代『イチバン親切なイタリア料理の教科書』新星出版社、2007年7月。ISBN 4-405-09152-8 
  4. ^ 澤口恵一(2012)「日本におけるイタリア料理の産業史とコックのライフ・ヒストリー研究:その序論的考察」『大正大学研究紀要』97: 143-154
  5. ^ 木戸星哲(1988)「イタリア料理」『世界大百科事典平凡社
  6. ^ 【ファッションフードの平成史】“イタ飯”が日本人にウケた本当の理由 | citrus(シトラス)”. citrus. オールアバウトナビ. 2021年5月5日閲覧。[リンク切れ]





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「イタリア料理」の関連用語


2
アンティパスト デジタル大辞泉
94% |||||

3
コントルノ デジタル大辞泉
94% |||||

4
リストランテ デジタル大辞泉
94% |||||

5
トラットリア デジタル大辞泉
78% |||||

6
ボンゴレ デジタル大辞泉
78% |||||


8
アクア‐パッツァ デジタル大辞泉
70% |||||

9
イタ飯 デジタル大辞泉
70% |||||

10
カチャトラ デジタル大辞泉
70% |||||

イタリア料理のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



イタリア料理のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのイタリア料理 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS