そ‐がい〔‐グワイ〕【疎外】
そがい 【疎外】
疎外
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/30 14:33 UTC 版)
![]() |
この記事は英語版、ドイツ語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2023年9月)
翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
|
疎外[1](そがい、独: Entfremdung、英: alienation)とは、哲学、経済学用語としては人間が作った物(機械・商品・貨幣・制度など)が人間自身から分離し、逆に人間を支配するような疎遠な力として現れること。またそれによって、人間があるべき自己の本質を失う状態をいう。
概要
ラテン語のalienato(他人のものにする)に由来する疎外概念は、経済、社会、歴史的には、客体として存在するようになったものを操作する力を主体が失っている状態のことを指す。たとえば、あるものが私とは無関係であるという場合、そのあるものに対して私は無力なものとして疎外(ないがしろに)されていることになる[2]。この疎外を克服することによって、人間はその本来の自己を取り戻し、その可能性を自己実現できるものとされる[3]。
思想史
マルクスは、この疎外Entfremdungという用語をヘーゲルの『精神現象学』(1807年)から継承し、またフォイエルバッハの、神が人間の善性を客体化した発明である限り、それだけ人間は貧しくなる(「キリスト教の本質」)という思想も取り入れて、経済学用語に鋳直した。
マルクスによる概念
有機的身体と非有機的身体に分かれ、自然に抗う「自然疎外」が起こることで生命が始まったように、近代的・私的所有制度が普及し、資本主義市場経済が形成されるにつれ、資本・土地・労働力などに転化する。それに対応し本源的共同体も分離し、人間は資本家・地主・賃金労働者などに転化する。同時に人間の主体的活動であり、社会生活の普遍的基礎をなす労働過程とその生産物は、利潤追求の手段となり、人間が労働力という商品となって資本のもとに従属し、ものを作る主人であることが失われていく。また機械制大工業の発達は、労働をますます単純労働の繰り返しに変え、機械に支配されることによって機械を操縦する主人であることが失われ、疎外感を増大させる。こうしたなかで、賃金労働者は自分自身を疎外(支配)するもの(資本)を再生産する。資本はますます労働者、人間にとって外的・敵対的なもの、「人間疎外」となっていく。
マルクスは「疎外された労働」が再生産されるこのような社会関係を『経済学・哲学草稿』(1844年)で分析し、『経済学批判要綱』(1857年 - 1858年)や『資本論』(1867年、1885年、1894年)に継承した。
スターリン主義による歪曲
スターリン主義者は、ソ連において社会主義社会が実現したと宣言したにもかかわらず、疎外が存在する現実を否定するために、疎外という概念そのものを、マルクスの青年期に特有のものとして事実上否定せざるをえなかった。スターリン主義者の理論では、疎外とは搾取のことであるとして、疎外概念は葬り去られた。
サルトルによる概念
サルトルは、自由な対自として実存する人間は「自由の刑に処せられている(condamné à être libre)」という言葉を残したが、死については、これが実存の永遠の他有化であるという意味で、これを回復不能の疎外であるとした。
注釈
- ^ ドイツ語であるEntfremdungの訳語としての疎外概念は、他人(fremd)のものにするという意味を持つ。日本語「疎外」には、「うとんじること」(広辞苑より)あるいは「仲間外れにすること」という意味があり、そちらが本来の意味である。経済学や哲学の学者や学生でもない限り、日常的には主にそちらの意味で用いている。ただし、本項は辞書ではなく百科辞典であることを考慮し、哲学用語や経済学用語の「疎外」について解説する。
- ^ フランスの哲学者ルソーは、「譲渡するaliener」ことを、「私と無縁なものetrangerとなる」ことだとしている。
- ^ 自己実現のプロセスとして労働を捉えたヘーゲルを批判的に受け継いだマルクスは、資本主義社会における疎外された労働を問題とした。
関連項目
外部リンク
疎外
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 01:33 UTC 版)
戦後、シンガポールに戻った陳は、国民政府に民主化・改革を要求し、1946年6月16日にクアラルンプールで開催されたNCRGAの祖国奉仕団の帰国歓迎会で、国民政府の処遇を非難した引揚者を支持し、伍伯勝総領事と対立。また1948年1月には『南洋商報』の年頭所感の中で国民政府の民主改革を提唱した。こうした陳の主張はシンガポール華人社会から警戒され、陳は華人社会の保守勢力から疎外されるようになった。1946年12月14日にマラヤ連合構想に応じて華人の参政権を主張するため創立されたマラヤ統一行動会議(PMCJA)はマラヤ民主同盟(MDU)の提案を受けて陳と李光前をその名誉会員に推薦したが、中華総商会連合会が陳ら革新勢力との合作を拒否し、1947年初に陳は推薦を辞退した。 1948年6月からマラヤ共産党による反英ゲリラ活動が開始され、英当局が武力鎮圧を強化すると、陳は非合法なゲリラ活動の停止を呼びかけたが、陳の説得に応じる華人は少なくなっていたとされる。
※この「疎外」の解説は、「陳嘉庚」の解説の一部です。
「疎外」を含む「陳嘉庚」の記事については、「陳嘉庚」の概要を参照ください。
疎外
出典:『Wiktionary』 (2021/08/13 03:59 UTC 版)
名詞
- 疎んじること。仲間外れにすること。
- (哲学:ドイツ語の哲学用語Entfremdungの訳語)あるものから生じたものが、そこから離れて、生じた元と対立関係を生ずること。
対義語
動詞
活用
翻訳
語義2
- デンマーク語: fremmedgørelse
- ドイツ語: Entfremdung
- 英語: alienation
- スペイン語: alienación
- フィンランド語: vieraantuminen
- フランス語: aliénation
- ガリシア語: alienación
- ヘブライ語: ניכור
- アイスランド語: firring
- イタリア語: alienazione
- ノルウェー語(ニーノシュク): framandgjering
- ノルウェー語: fremmedgjøring
- ポーランド語: alienacja
- ポルトガル語: alienação
- ロシア語: отчуждение
- セルビア語: алијенација
- スウェーデン語: alienation
「疎外」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は社会から疎外されていると感じた
- 私が彼女に疎外感を感じさせている。
- 私が彼女に疎外感を与えている。
- 私は彼女に疎外感を感じさせている。
- 彼は社会から疎外されていると感じた。
- 多くの若者は現代社会で疎外感を感じている.
- 彼は自分は人に愛されず, 孤独で疎外されていると思っていた.
- クラスの誰も口をきかなかったので, 彼は疎外感を抱いていた.
- 都会生活者に人間疎外が起こりやすい.
- 彼は仲間に疎外されている
- ユダヤ人は一般に疎外されている
- 彼は僕をわざと疎外した
- 場違いである、または疎外されていると感じさせる
- 彼女自身が一人きりで他人から疎外されていると思っている
- 社会的に不利な立場におかれているまたは差別の対象になっている集団を除外する、疎外するあるいは侮辱すると考えられる表現、行為の使用
- 怒りや社会疎外を表現した、故意に不快な歌詞をもつロックミュージック
- 米国の作家で、人間の疎外感を探求した(1916年−1990年)
- 疎外されている状態
- 自分自身に対して疎外感を抱く
- 仲間から疎外されること
品詞の分類
- >> 「疎外」を含む用語の索引
- 疎外のページへのリンク