雉真(きじま)家の人々
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「カムカムエヴリバディ」の記事における「雉真(きじま)家の人々」の解説
作中における表記は映像上一貫して「雉眞」である(るいが大阪での就活時に書いた履歴書を除く)。ここでは 公式サイト の表記等に従い便宜上これに準じた表記で統一する。 雉真千吉(きじま せんきち) 演 - 段田安則 安子編・るい編(大阪編)に登場。 雉真繊維の社長。稔と勇の父で安子と雪衣の舅。るいと昇の父方祖父。ひなた・桃太郎姉弟と昇の曽祖父。剣の高祖父。同社を一代で立ち上げた地元でも知られる実力者。跡継ぎの長男・稔(後述)と事業の更なる拡大を目指している。 当初、稔を銀行の副頭取の娘と政略結婚させようとしたため、安子との結婚に反対するが、安子の幼馴染である次男・勇の強い説得と、安子の人柄を知り考えを変え、非礼を詫びた上で結婚を認める。 稔の戦死後は、安子を追い出そうとする美都里の心情や安子の将来を考慮し、安子に別の男性との再婚を勧めるが、この勧めは安子母娘が家出する原因となる。それから2年後、密かに大阪に住む安子母娘を訪ね、るいの養育環境を心配して2人を連れ帰ろうとするが、そのことに悩んだ安子は、自転車でおはぎを配達中に前方不注意で交通事故を起こし、母娘とも負傷した。勇の説得で安子母娘が雉真家に帰宅後、るいを連れておはぎの営業販売をする安子に対し、体裁を気にして孫を巻き込むことに猛反対する。彼のこうした雉真家の世間体を気にするあまりに取った安子への度重なる干渉と、安子をないがしろにする様なるいへの溺愛は、結果として二人の関係を引き裂く一因になり、晩年の病床で自分が安子とるいを引き離そうとしなければと悔やんでいた。 るいが岡山を離れる少し前の1962年3月に死去。亡くなる直前、勇に雉真繊維の出発点となった足袋は作り続けてくれるよう遺言し、勇は足袋を作り続けることを約束する。それから約40年後、ハリウッド映画「サムライ・ベースボール」の小道具に採用される事になり、それをひなたから聞かされた勇は、千吉の気持ちを思って嬉し涙にくれる。 雉真美都里(きじま みどり) 演 - YOU 安子編(岡山編)に登場。 千吉の妻。稔と勇の母で安子と雪衣の姑。るいの父方祖母。ひなたと桃太郎の曽祖母。剣の高祖母。良家のお嬢様育ちでプライドが高く、いつも華やか。 稔が安子との結婚を望んだ際には身分違いとして最後まで強く反対し、安子に陰湿な嫌がらせをして雉真家から遠ざけようとしたが、出征を控えた稔の気持ちを思い遣り、渋々認める。 稔の戦死で精神的に不安定に陥り、息子の死は安子のせいだと決めつけて「疫病神」と罵り追い出そうとする。安子母娘が家出した直後は孫を誘拐されたと警察に行こうとしたが、たまりかねた勇に自身のそのような態度が義姉さん(安子)を追い詰めていたのがわからないのかと諭される。 帰宅した際は戻ってきたことに感謝を述べ、以後孫娘るいの存在に癒やされていくが、ある時るいが目の前でラジオのスイッチを入れて「カムカム英語」を聴き始めた際には突然スイッチを切り、息子を殺した国の言葉は聞きたくないと漏らした。戦地から復員した算太が安子を訪ねて来た際は、実の息子のように抱きしめた。安子は算太を受け入れてくれた彼女に感謝を述べ、これで二人は真に和解する。雉真繊維の野球部で頭角を現した勇を稔と共に最高の息子と安堵し、英語と違って野球には寛容だった。翌年のクリスマスが近づく頃静かに息を引き取る。 演じるYOUは2021年11月16日放送の『あさイチ』にゲスト出演した際に視聴者に向けて直前放送分での「安子いじめ」を謝罪し、今後の展開として「最後まで嫌な感じ」と言及していたが、安子母子が岡山に戻って以降は亡くなるまで穏やかに過ごしていた。 雉真稔(きじま みのる) 演 - 松村北斗(SixTONES) 安子編(岡山編)と、ひなた編(岡山編)の後半に登場。 千吉の長男で、後に安子の夫。るいの父で、昇の伯父。ひなたと桃太郎の祖父。剣の曾祖父。 家の跡取りとして育ち、1939年時点では大阪の商科大学予科(現在の大学教養課程)に在学。雉真繊維の製品の販路を海外に広げることを目指し英会話を熱心に学んでいる。ジャズを愛し、受験勉強中は「自宅で勉強すると勇に邪魔されるから」との理由で喫茶店「Dippermouth Blues(ディッパー・マウス・ブルーズ)」に頻繁に通っていた縁で、店を経営する柳沢親子と親しい。 安子と相思相愛となり、紆余曲折の末学徒出陣で出征する前に結婚した。戦後に勇が復員した後、戦死公報が届く。 ひなた編では、1994年の終戦の日にるいが観た幻という形で再登場する。るいに「どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聴ける。自由に演奏できる。るい、お前はそんな世界を生きとるよ」と声をかける。 雉真勇(きじま いさむ) 演 - 村上虹郎(幼少期:藤原詩音、老年期(ひなた編):目黒祐樹) 全編通して登場(るい編(大阪編)では冒頭、ひなた編では後半にそれぞれ登場)。 1925(大正14)年4月1日(水)生まれ。千吉の次男。るいの叔父で、ひなたと桃太郎の大叔父。兄の稔を尊敬している。 安子の小学校からの同級生で大の野球好きであり、高校時代は甲子園を目指していた。幼少期から安子に好意を抱いていたが素直に優しくできず、彼女を「あんこ」と呼んでしばしばからかっていたが、稔と安子が相思相愛になるとそうしたことはなくなる。稔が一度は安子との結婚を諦めた際には、怒りを抑えられず大阪の下宿に乗り込んで稔を殴り付けた。その後は父を説得するなど二人の後押しをする。二人の結婚後は想いを抑え、安子を「義姉さん」と呼ぶようになる。るいの名前の由来を、勝手に野球用語の「塁(base)」だと思い込んでいる。 召集により出征し、終戦から約4か月後に復員した。両親がるいを安子から引き離そうとしていることを知り、安子に当座の生活資金を与えて密かに母娘を大阪に逃がす。数年後、おはぎを配達中の母娘が交通事故に遭うと、安子を説得して雉真家に戻らせる。その後安子にプロポーズするも回答がないうちに彼女がロバートと会っているのを目撃したことで関係を問い質すが、その際の安子の取り乱しようから二人の関係を察し、酒場で自棄酒をあおった末に喧嘩をして帰宅した。この時彼を介抱した女中の雪衣と結婚して長男昇をもうけたが、安子がるいを捨てて渡米した真の理由を知らず、その後も彼女に未練を抱き続ける。 安子が渡米してから11年後の1962年、病床の千吉に代わって雉真繊維の社長に就任している。ほどなくして千吉が死去。その葬式当日の朝、ドラマ鑑賞に夢中の妻や勉強に専念する息子に呆れてため息をつくが、直後に自身も旭川の河川敷でるいと笑顔でキャッチボールを楽しんだ。その際にるいから雉真家を去る決意を聞かされ、彼女のために積み立てていた金を渡そうとするが、かねてから雉真家との縁を切りたかったるいには、以前から密かに古本屋のアルバイトで貯金していたからと断られている。 1994年夏、32年ぶりに帰郷したるいと再会する。岡山を出た日を最後に、るいにはもう二度と会うことはないと覚悟していたが、夫と二人の子を連れて帰郷してきたことを心の底から嬉しく思っている。るいからは、安子と連絡を取り合っていないか尋ねられたが、渡米後は全く連絡を取っていなかったと明かし、自分たち大人がるいを苦しめてしまった事を深く詫びる。それから数年後、大阪で行われた商工会の集まりの帰りに「大月」を訪れ、あとから帰って来たひなたに、雉真繊維製の足袋が「サムライ・ベースボール」のために使われることを告げられると感極まり、ひなたからの報せを喜ぶ。2003年の12月には妻・雪衣を亡くすが、雪衣には妻でいてくれたことへの深い感謝を贈る。同年12月25日に岡山で開催されたクリスマス・フェスティバルに来場し、健一、和子、木暮、桃太郎と同じテーブル席に座る。るいがひなたに背負われてやって来た安子と52年ぶりの再会・和解を果たした姿を目の当たりにした際は、満面の笑みを浮かべて喜ぶ。 2004年には、再び日本に戻ってきた安子と改めて再会し、二人で岡山の神社を訪れる。安子から「アニー・ヒラカワ」の名前が、平川唯一の苗字と「あんこ」から付けたということを聞かされ、彼自身は公開初日の一番に「サムライ・ベースボール」を観賞しに行った事を話す。 桃太郎とは野球好きという共通点もあり、すぐに意気投合。初恋が実らなかったと話す桃太郎に、「女性を好きになったら先延ばしをしないこと。先延ばしをすると絶対に報われない」と、自身の失恋体験に基づいた助言をしながらキャッチボールを楽しむ。 村野タミ(むらの タミ) 演 - 西川かの子 安子編(岡山編)に登場。 雉真家のベテラン女中。常に明るく雉真家の人々の日常を支える。1948年に退職し、息子夫婦と同居するために雉真家を去った。 雉真雪衣(きじま ゆきえ) 演 - 岡田結実(老年期(ひなた編):多岐川裕美) 全編通して登場(安子編(岡山編)では後半から、るい編(大阪編)では冒頭、ひなた編(岡山編)では後半にそれぞれ登場)。 タミの後任として雉真家で働く若い女中。控えめな性格だがよく気がつく働き者。 安子とるいが大阪で生活中より、タミに代わり雉真家で働く。勇に恋愛感情を持っていたが、その気持ちを抑えて淡々と家事をこなし、おはぎ販売などで外出する安子に代わりるいの面倒を見る。勇が安子と結婚するよう千吉から言い付けられているのを耳にした後、算太に対して雉真家に居候状態の彼と安子への不満を爆発させ、財産狙いと思われてもおかしくないと暴言を発して勇に叱責される。安子にプロポーズして拒絶された勇が街で酒を飲み喧嘩をして深夜に帰宅した際、怪我の治療をする。彼の愚痴を冷たく突き放したが、直後に勇に引き寄せられ、彼の思いがなおも安子にあることを知りながら男女の関係を結ぶ。その数日後に妊娠が発覚し、勇と結婚した(結婚前のクレジットは名前のみであり旧姓は不明)。千吉の葬式当日(昭和37年3月30日)の朝は連続テレビ小説「娘と私」の最終回に夢中だった。安子に対する不満とは対照的にるいの事は女中時代から親身に世話をしており、入学式当日にるいが失踪した際も必死に探し続けていた。前述の葬式当日に勇からるいの居場所を尋ねられた際には表情を曇らせている。 1994年夏にるいが一家を連れて帰郷した際に、1951年に算太が突然失踪した真相を話し、算太の失踪は自分のせいと後悔を口にする。また、この時安子が大阪まで急いで向かったのも、算太を捜すためだったとるいに話す。るいに「ロバートさんに会いに行くため(母は大阪に行った)というようなことは?」と尋ねられると、安子とロバートの関係については「私も勇さんもよくわからない」とだけ答えたうえで、当時の安子が「たちばな」を再建するというその一心で生きていたことも明かす。 2003年に体調を崩して入院。桃太郎からの連絡で病院に駆けつけたるいに、9年前には語らなかった安子に対する負い目を初めて明かし、安子とるいが離別する一因となった、幼少期のるいに対する発言に対しての後悔も打ち明ける。その上で、勇と結婚してからも気持ちが晴れることはなかったという思いや、生きているうちに安子に謝りたかったが、それももう叶いそうにないという安子への贖罪の思いを口にする。るいには「自分を責めないでください。みんな間違えるんです」と、それまでのことを許す言葉をかけられ、勇からは「一緒になってくれてありがとう」と感謝される。 るいが岡山を去って以降は、勇と共に橘家の墓をずっと守り続けており、るいの使っていた部屋もそのまま残していた。NHK連続テレビ小説を見ることを日課としており、第1作目の『娘と私』以降、作品を欠かさずに見続ける。最期は勇と共にこの当時放送されていた作品を毎朝鑑賞し、劇中で「見上げてごらん夜の星を」が流れた日の夜に死去したことが城田のナレーションによって語られる。 雉真昇(きじま のぼる) 演 - 谷川生馬 るい編(大阪編)冒頭のみ登場。安子編の時点で出生前のため雉真家の人物の中で唯一安子編に登場しないほか、ひなた編ではその存在が語られるのみで直接登場しない。 勇と雪衣の長男。稔の甥でるいの従弟・ひなたと桃太郎の従叔父にあたる。父親と違い野球には興味がなく、勉強熱心。千吉の葬儀の朝には、準備を急かす勇に対して葬式が始まったらできないからと、葬儀に興味を示す様子はなく勉強に取り組む。 1994年時点では、雉真繊維の跡を継ぎ、会社のそばにマンションを借り、妻子と共に住んでいる。
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