作品内の固有名称・組織
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「スカーレット・ウィザード」の記事における「作品内の固有名称・組織」の解説
感応頭脳(かんのうずのう・シンパシィブレイン) 戦闘機を含めた宇宙船に必ず搭載されている人工知能の一種。乗員の安全確保や生命維持、探知機、動力関係、跳躍システムといった主要なシステムを管理している。命令を出す権限を持つ者が複数いる場合は、上位者の命令を優先するように設定されていて、大抵は最上位者が艦長あるいは船長クラスの人間である。 型番を基にした愛称が付けられており、呼びかけると合成音声で応答する。年々新しい物が開発されており、作中中盤頃の最新型である「フェリクス」は音声による応答も割とスムーズで、違和感が少ない。 戦闘機や軍艦はその特性のために民間用とは異なる設定を施した感応頭脳を用いているが、民間船では、乗員の安全を確保することが最優先の設定であるため、不法な「アレンジ」を施さなければ海賊船として利用できない。その後のシリーズである『クラッシュ・ブレイズ』の頃になると、経験則や船長命令などから、ある程度優先度の設定を変更できる型が登場する。 門(ゲート) 宇宙空間に自然に発生する、大きな磁場の歪みのようなもの。重力波エンジンを積んだ宇宙船でその作動タイミングを合わせて飛び込むと、違う場所に出る(これを跳躍、あるいは跳ぶと表現する)。一種のワープポイントだが、その移動距離はまちまちで、数百光年しかない短距離のものから数千光年以上を移動できる長距離のものまで存在する。中には惑星のような公転軌道型の門、入口は1つで出口が数個ある多岐型片道一方通行の門(ミニヨン連星というところにあるので、ケリーとダイアナには「ミニヨンのルーレット」と呼ばれていた)など、変わり種の門もある。門に飛び込むことを「門突入(ゲート・イン)」、反対側の門に出ることを「門突出(ゲート・アウト)」と称する。 門探索人(ゲートハンター)などによって見つかった門は、連邦に届け出ることで、その出口と共に宙図(チャート)に記され、共和連邦の共有財産となる。また、状態によっては駅が建設され、民間でも利用できるようになることもある。発見料としてそれなりのお金を連邦からもらえるため、門探索人は職業として成立している。さらに、駅が建設された場合、利用料の一部が発見者に還元される。なお、門を発見するのには「ゲート・キャッチャー」と呼ばれる機器を宇宙船に取り付ける必要があるが、この機器の効果範囲はせいぜい1000kmと狭いので、いろんな方向から何度も探した場所から門が見つかることもあるらしい。 新規登録された門には発見者が名前をつけることが出来る。それ故にちょっと妙な正式名称の門とそれに付随する駅も存在する(「わが愛しのヒルディア」(通称「ヒルディア」)など)。 利用には「安定度」という基準があり、一般に「安全に飛べるのは90以上の場合」とされるが、海賊や門探索人たちの中には、かなり安定度が低くても瞬間的な安全圏を見つけて跳ぶ者もいる。ただし、それでも「安定度80」が最低ラインらしく、ダン・マクスウェルが、アレクに「安定度82の門を跳んだが非常に危険だった」と言っている(この後、「君のお父さんは安定度47の閉鎖されている門を、クーア・キングダムで跳んだ」と言われ絶句している)。 自然現象のようなものなので、太陽風などの影響で、ふとした時に「嵐」と呼ばれる長期的に安定度が下がったり、乱れてしまう状態になることもあり、その際は回復するまで使用不能となる(飛ぶために駅に待機していた宇宙船は足止めされる)。妨害装置を反対側に置くことで意図的に閉鎖することも可能。 宇宙海賊は、各々逃走用などに連邦に届けられていない「未知の門」を多数知っており、その数も強さの基準となる。 作中で門以外のワープ方法である「ショウ駆動機関」が開発され、一般に普及すると、門とそれに付随する駅は一部を残して破棄されるが、門の周囲の宙域は不安定な状態であることが多く、特定の航路では駅を破棄した後も門を利用する航法が取られている。 次作『暁の天使たち』以降はショウ駆動機関が主流となったが、辺境を中心に門を利用してワープする方法で航行する宇宙船操縦者が完全にいなくなったわけではなく、彼らを「門跳躍者(ゲート・ジャンパー)」と呼ぶようになる。 駅(ステーション) 常に安定度の高いゲートの両側に設置される。門への出入りを管理する施設の総称。基本的に、船への誘導波を出すことでゆっくりとした速度で門に進入させ、半自動的に船を跳躍させる。かつて重力波エンジンが無くとも門を通れるようになった、ウィノア星系とベレナ星系間を結ぶ門などの特殊な門や、周辺の宙域が研究対象の場合などは、研究施設が置かれることもある。 重力波エンジン 門に共鳴して空間跳躍を行うための駆動機関。扱いがとても繊細なため、手動で使用するにはかなりの技術を必要とする。 連続稼動ができず、また通常空間で起動しても何も起こらず、門から半端にはずれた位置で使用すると船体が空間に引き裂かれる等の事故につながるため、ゲートに完全に重なった瞬間に稼動させる必要がある。 宇宙船の速度はある程度抑えても秒速4000kmに達するが、門の直径はせいぜい5kmのため、そこに重なった瞬間に機関を起動するには並はずれた技術か、ゆっくりと慎重な操作で突入するかのどちらかとなる。そのため、重力波エンジンの取り扱い能力はそのまま宇宙船乗りの能力評価にも繋がる。 ショウ駆動機関(ドライブ) 作中後半でクーア財閥の研究者・ショウ博士が(「オブライエン博士(姿を変えたダイアナ)」と共同で)開発に成功したシステム。これを積んでいる宇宙船は、宙図に記されている現在の座標と、到達する予定の座標を指定するだけでワープすることが可能。ジャスミンが眠り、総帥の座に就いたケリー直々にダイアナと実験を繰り返した結果、移動距離は長距離の門に劣るが、その分を断続的に使用することで補うことも出来、門の状態に左右されることなく目的地にたどり着けるので、幾度か改良された後で民間向けに量産されることになった。 操縦者の腕と駆動機関の設定しだいでは門を利用するより早く目的地にたどり着けるため、これ以降、運送業が発展を見せるようになる。 クーア・コーポレーション かつては宇宙生活者だったマックス・クーアが起業した会社で、現在では共和宇宙でもトップクラスの勢力を誇る複合大企業。マックス一代で現在のレベルまで成長させたため、一般には「クーア財閥」と呼ばれる方が多い。門や、宇宙船に関する技術のほとんどは、この財閥が開発した駅、クーア・システムなどの製品があってこそ使うことが出来る。本社があるのはマックスの生まれ故郷である惑星アドミラル。 クーア・キングダム クーア財閥所有の120万トン級超大型宇宙船。「空飛ぶ宮殿」とも呼ばれる財閥総帥専用船である。感応頭脳はフェリクス。艦長よりも上位の優先権を持つ者として総帥の配偶者であり、副総帥の地位にあるケリー(第2位)と総帥であるジャスミン(最上位)が設定されている。 内部には、憩いの場として中庭や大型図書室などがあり、別の区画には関係者の居住区などが存在する。防御力は一般の戦艦と同等かそれ以上ある。 また、ジャスミンの愛機クインビーの練習用だったという、模擬操縦席とそれに付随するシステムの設置された区画もあり、航行中の初代クインビーが故障した際、ケリーが、航行中のクインビーにリンクさせたそれを使って、遠隔操縦で地表に着陸させるという離れ業をやってのけたこともある。 建造時に、マックスの提案で主砲として超大型の250センチ砲を積んでみたが、1発を撃つのにほとんどのエネルギーを使ってしまうのと、あまりにも非常識な存在故に普段は隠されており、ごく一部の関係者しかその存在は知らなかった(本来は倍の500センチにしたかったが、工場関係者が残らず発狂しかけたので、半分の大きさで我慢したらしい)。 次作『暁の天使たち』では3代目総帥ケリーの死後、アドミラルの軌道上に上げて博物館にされたことが判明。 この他に、財閥所有の護衛艦として戦闘艦「メルクリウス」と「パラス・アテナ」を登録している。 クーア・システム(永久内燃機関) マックス・クーアの開発した完全核融合炉。KSとも略される。外洋型(重力波エンジンないしショウ駆動機関を備えた他星系への移動可能な)宇宙船には動力源としてほぼ必ず組み込まれている。メンテナンスさえ怠らなければ、燃料補給の必要がない動力炉である。『紅蓮の夢』では、大気圏内を長時間飛ぶ豪華客船にも例外的に搭載されていることが判明。 小型化に関して問題があり、3万トン以上の宇宙船でなければ積めない。例外としてクインビーに積まれている。 クインビー 「女王」ジャスミンの愛機。真紅に塗られた小型外洋宇宙船で戦闘機。全長約40m。防御と居住性を犠牲にした速度と戦闘性能を持ち、感応頭脳の代わりに電算機を積んでいる、という非常識さから関係者に「空飛ぶ棺桶」と呼ばれることも。ジャスミンは計器のみでこれを巧みに操る。 ジャスミンの要望で独自に小型化したクーア・システムと重力波エンジンを積んでいるので、門を飛ぶことも可能。これ一機だけで新型の戦闘機が数機買えるというとてつもないコストがかかるので、量産化は不可能ではないが難しく、上記に見られる操縦方法の困難から扱える存在は限られている。装備は主砲の二十センチ砲と機銃。後方へ発射するレーザーのような武器もある(ちなみに二十センチ砲はこの世界においても、本来であれば巡洋艦や駆逐艦に装備されるべきサイズの砲)。 作中で1度、航行中に電算機がウイルスによって壊れたため一切減速できなくなるという事態に陥り(当時ジャスミンは妊娠中)、電算機の研究者(ユーリカ・コーエン)による応急処置とダイアナの援護、ケリーの遠隔操縦によって何とか無事に地表に着陸したものの、損傷が激しく破棄された。現在のクインビーは2代目である。 ガーディアン ハワードが惑星開発費を転用して長年開発してきた、球形の移動要塞。その外見からジャスミンらには「黒玉」と呼ばれる。中は居住区と戦闘区に分かれていて、独立した人工頭脳に管理されている。新たに開発された「アダムズ装甲」5層に包まれていて、重力波エンジンを積んでいる。戦闘面ではクーア・キングダムの防御システムを改良したものや20センチ砲、50センチ砲などを搭載しているほか、300機の無人戦闘機もある。その上、これらはそれぞれ異なる人工頭脳によって管理されている。売り文句は「連邦軍の艦隊より強い」。 ダニエル奪還作戦の際、クーア・キングダムの一撃で戦闘区の一部に大穴が開いて、砲門も一部使用不能になったが、高速回転することでそれを補った。 総帥の座に就いたケリーがショウ駆動機関を実用化することを決定した際、戦闘能力をなくしたこれを補給・休憩施設「オアシス」として航路の付近に置くことも決めた。 トリジウム 非常に稀少な鉱石。通称「魔法の金属」と呼ばれ、エネルギー関連においてその価値は計り知れない物となっている。1トンの岩石に20グラム含まれていれば最優良鉱山と言われるまで採掘量が少ないのだが、ケリーはそれが大量に採れる惑星への門を知っているとして、様々な勢力に目を付けられている。 なお、その門というのは、ミニヨン星系第7惑星であるガス状惑星の液体水素の海の中にある公転軌道型門であり、人並み外れて神経が太く、試したがり屋のケリーと、一般の感応頭脳とは一線を画しているダイアナを搭載した宇宙船でなければまず行くことができない場所にある(帰りは別の場所にある片道一方通行型門から出る)。 共和宇宙連邦(きょうわうちゅうれんぽう) 惑星セントラルに本部を置く執政機関。委員会制であり、そのトップは「主席」と呼ばれ、作中ではマヌエル・シルベスタンが務めている。 ボンジュイ ラー一族の住む惑星。船乗りの間では「視認できるが探知機に映らず、降りることができない幽霊星」として有名。しかも、惑星の姿は見る人によってそれぞれに違う。 ケリーはガイアの好意で地上に降り立ち、さらに足元に咲いていたスミレの仲間である花を持ち帰ることを許された。ガイアの好意で地上に降り立った人間はケリーより前にもいたらしいが、口止めされていたにもかかわらずそのことを周囲に話した為、記憶を消されたらしい。
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