コンフィデンスマン
「コンフィデンスマン」とは・「コンフィデンスマン」の意味
「コンフィデンスマン」とは、日本ではドラマや映画のタイトルとして広く知られている言葉だが、実在する表現であり、「信用詐欺師」という意味を持つ。ただ、日本で頻繁に使用される言葉ではないため、作品のために新しく用意された和製の造語だと誤解されることも珍しくはない。コンフィデンスマンは、英語の「confidence man」をカタカナで表記したものだ。「confidence」は、「信用」という意味を持ち、「man」は「男性」や「人」を表す単語である。その2つを組み合わせた「confidence man(コンフィデンスマン)」は、「信用詐欺師」という特殊な意味となる。信用を利用して、他者を欺く人という意味合いである。「confidence man」は、男女を問わずに詐欺師を指す言葉であるため、「man」は「男性」ではなく「人」という意味合いが強い。
「confidence man」は、「信用できる人」という意味にはならない。また、「confidence」には「自信」という意味もある。そのため、「confidence man」は、「自信家」という意味だと誤解されることもある。しかし、そのような意味は存在しない。「confidence man」は、英語圏で、「詐欺師」や「ペテン師」といった意味で一般的に知られている表現である。ただ、「confidence man」ではなく、「confidence」を「con」と略した「con man」の形で使用されることが多い。
日本で広く知られているコンフィデンスマンは、2018年に放送されたtvドラマシリーズと、そこから派生したスペシャルドラマと劇場版の用語である。ドラマと劇場版はいずれも、小説や漫画などの原作は存在しない。脚本家である古沢良太が、自ら手掛けたオリジナルのストーリーである。コンフィデンスマンシリーズは、信用詐欺師が、敵から金をだまし取るというストーリーである。そして、ダー子、ボクちゃん、リチャードという3人の信用詐欺師が、ストーリーの中心となっている。作中には他の詐欺師も登場するが、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人が、主要なコンフィデンスマンとして扱われる。
3人のコンフィデンスマンは、大金を稼ぐ人を相手に詐欺を働き、金を巻き上げる。彼らはターゲットを「オサカナ」と呼ぶ。「オサカナ」となるのは、反社会的組織のトップや、悪質な手段で大金を稼ぐ人など、悪党ばかりである。コンフィデンスマンは、自らの潜入技術や、「子猫ちゃん」と呼ばれる手下を使い、難度の高い多種多様な詐欺に挑むというあらすじである。彼らは、悪党からだまし取った金銭を、弱者に分け与えることもあり、義賊のような立ち位置として活躍する。
コンフィデンスマンには、3人の信用詐欺師が登場する。そのため、英語の文法を重視するのであれば、複数形の「コンフィデンスメン(confidence men)」とするのが正しい。しかし、日本では、ヒーローもののドラマを始めとして、対象が複数人いたとしても、単数形の「マン」を使用することが多い。コンフィデンスマンも例外ではなく、単数形のタイトルを用いた形である。
また、主要キャラクターであるダー子、ボクちゃん、リチャードは、仲間でありながら、自身の安全が最優先だというルールを定めてある。さらに、お互いの素性も知らず、実質的にはそれぞれが独立した詐欺師である。よって、あえて単数形のコンフィデンスマンが使用されている可能性もある。
コンフィデンスマンシリーズの、作品としてのジャンルは、コンゲームである。コンゲームとは、「con game」、「confidence」の略である「con」を用いた言葉だ。登場人物が、お互いに騙し合うストーリーが特徴のジャンルである。コンフィデンスマンが放送された、フジテレビ系列の月9枠ではコンフィデンスマンが製作されるまで、コンゲームをテーマとした作品は存在していなかった。したがって、月9枠に初めてコンゲームを取り入れた、冒険的な作品と言える。
ストーリーとしては、悪党が登場する上に、主人公が詐欺師ということで、人間の闇が見え隠れする。しかし、あくまでもコメディタッチで仕上げられているため、全体的な雰囲気は明るい。さらに、斬新なコンゲームのドラマということで、大勢の注目を集めた。その結果、tvドラマで完結することなく、スペシャルドラマや劇場版へと発展することとなった。
tvドラマシリーズであるコンフィデンスマンの特徴は、ストーリーと時系列が繋がっていない点である。ストーリーは当然、1話から最終話まで、順を追って視聴するように作られている。しかし、時系列は、第10話から始まり、第1話と第2話に繋がり、その次に第6話が来るという風に、散り散りである。そのため、意味不明なままで視聴したという人や、「結局ドラマ 何話まで?」という疑問を抱きながらストーリーを追いかけた人も少なくない。
さらに、tvドラマシリーズだけではなく、後に続くスペシャルドラマと劇場版も同様である。時系列が、劇場版第1作目である「ロマンス編」の中間に、tvで放映されたスペシャルドラマ「運勢編」が食い込む形となっている。そのような複雑な時系列になっている理由としては、シリーズコンセプトの「騙し」であることが考えられる。
コンフィデンスマンシリーズでは、詐欺師が大勢の人を騙すが、制作陣が視聴者を騙すこともコンセプトのひとつとなっている。そして、ストーリー上で、視聴者の予想を裏切る展開が数多くある。そのように、視聴者を騙して振り回すために、あえて時系列を散り散りにした可能性が高い。
「confidence man(コンフィデンスマン)」に近い意味持った言葉としては、「pretender(プリテンダー)」が挙げられる。コンフィデンスマンシリーズでは、劇場版第1作目「ロマンス編」の主題歌に「プリテンダー」という楽曲が使用された。そのため、日本では、コンフィデンスマンと深い関係性がある言葉として扱われることが多い。
「pretender(プリテンダー)」の意味は、「詐称する人」「詐欺師」であり、コンフィデンスマンとほぼ同義である。ただ、コンフィデンスマンと比べると、細かな意味合いが違う。プリテンダーは、何らかのふりをするという意味合いが強い。権力者や、詐欺のターゲットの身近な人などに成り代わって、犯罪行為をする人を指す。コンフィデンスマンのように、人の信用を利用するかどうかは重要視されない。また、プリテンダーは、仮病など、犯罪行為以外でふりをする際にも使用される言葉だ。それに対して、コンフィデンスマンは原則として、詐欺を行う犯罪者を指すという違いがある。
「コンフィデンスマン」の熟語・言い回し
コンフィデンスマンjpとは
「コンフィデンスマンjp」とは、フジテレビ系列の月9枠で放送された、tvドラマの正式名称である。コンフィデンスマンという言葉が、日本で広く知られるきっかけとなった作品だ。「jp」は、「日本」を意味する「japan」が略されたものだ。そして、日本で作られた作品であることを意味している。コンフィデンスマンjpシリーズには、中国版の「コンフィデンスマンcn」や、韓国版の「コンフィデンスマンkr」といったタイトルも存在する。それらと区別し、日本の作品に限定するために、コンフィデンスマンjpという言葉が使用されることもある。
コンフィデンスマンjpは、tv放送が終了した後、スペシャルドラマと劇場版が作られた。そのスペシャルドラマと劇場版を含めた、シリーズ全部をまとめて、コンフィデンスマンjpと表現することも多い。作品を個別に指す場合、スペシャルドラマは「運勢編」、劇場版は「ロマンス編」「プリンセス編」「英雄編」のいずれかが、コンフィデンスマンjpの後に付けられる形となる。
コンフィデンスマンjpの「jp」は、あくまでも日本版であることを指している。劇場版では、「ロマンス編」は香港、「英雄編」はイタリアが舞台である。しかし、作品のタイトルが「コンフィデンスマンhk」や「コンフィデンスマンit」のように、舞台となる国名や地域名の略称を使ったものに変わることはない。
コンフィデンスマン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 10:08 UTC 版)
「コンフィデンスマンJP」の記事における「コンフィデンスマン」の解説
様々な手口を使い、悪徳な方法で大金を稼ぐ者から巨額のカネを騙し取る詐欺師達。但し、決してただの悪党や犯罪者ではなく、「オサカナ」は弱者に不利益をもたらす悪徳商法の他、反社会的組織の人間と結託した違法行為等で巨額の富を築いたトップがほとんどであり、基本的に一般人には手を出さない。また、騙したターゲットに潰された店等に手に入れたお金を寄付する等、義賊的な一面も持つ。 3人の中の掟として、「万が一、命の危機に陥る事態が起こっても助け合わない」というものがあるが、結局は事前に仕掛けていたトリック等で助け合っている。 また、多くの「子猫ちゃんたち」と呼ばれる手下を抱えており、手に入れた金の一部を報酬として受け取る代わりに、ターゲットの情報収集からエキストラ、直接近付いての入れ知恵等、様々な形でサポートをする。が、手に入れたお金は経費及び子猫ちゃんたちへの支払いを優先としているため、規模や期間によっては元締めであるコンフィデンスマン達の取り分がわずかや赤字になるケースも多い。 ダー子 演 - 長澤まさみ(幼少時: 溝口咲來) 本作のメイン主人公。天才的な頭脳と抜群の集中力で、どんなに難解な専門知識も短期間でマスターし、様々な役柄の人物に簡単になりきる事が出来る。さらに、ある程度その筋の人間を騙し切れる程度に高いレベルで会得できる。一方でハニートラップの才能は全く無く、ボクちゃんからも色気についてはエロババア呼ばわり等、酷評されている(第4話にてターゲットの俵屋に誘惑しようとするもバイである彼に見向きもされず、挙句の果てには男のボクちゃんにも敗北してしまった)。普段の振る舞いはエキセントリックそのものであり、その振る舞いにボクちゃんは振り回されがちである。ただし、大人しくしていれば美人であり肌の質も美のアスリートが認めるレベル。 過去の経歴、本名は一切不明だが、時折自分が天涯孤独であるような発言もしている。但し、1話でボクちゃんとは幼馴染でリチャードとも幼少の頃から知り合いである由の話をしている。時に金よりも正義や良心に左右されがちなボクちゃん、良識人として冷静な感覚を持つリチャードに対し、常に金が第一優先であり、相手の心情よりも、奪い取れる金の方を優先する発言の数々に、ボクちゃんが叱責する事も多いが、一方で過去の経験やトラウマが元で、悪事に手を染めているターゲットに対しては、大金と引き換えではあるものの、そのトラウマを乗り越えるような形で更生させている等、決して「相手のことを思いやれない人間」でもない。 普段は高級ホテル「Gondorff」のスイートルームに居を構えており、実質的に3人のアジトとなっている。高級食材に駄菓子を取り合わせて食べたり、はんぺんにマヨネーズをかけるなどといった変わった味覚の持ち主。 各話及び映画の冒頭ではその話のテーマにあった偉人や作品の名言を読み上げている。 ボクちゃん 演 - 東出昌大 主人公の一人。ダー子・リチャードと共に行動する詐欺師。電信柱みたいな長身の優男。計画の全貌を教えてくれない等、いつもダー子やリチャードに振り回される上、お人好しで小心者故に、ターゲットに深入りしてしまう等のケースも多い。性質的には詐欺師や犯罪者よりも堅気に近い思考の持ち主で「いかなる理由があろうと人を騙すことは良くない」と考えたり、報酬が少ない上に命の危機を感じていることもあり、いつも2人と決別して真っ当に働こうとするが、知らず知らずの内にダー子が仕掛けた罠で戻ってくるよう仕向けられる、詐欺の報酬で堅気の知人を救おうとしても思ったような結果にならないなどの理由で、結局は2人の元に戻って来てしまう。女性に惚れ易い一面もあるが、全て散々な形で振られている。そもそも、彼が見込んだ善人が受けた被害に対する報復としてダー子に詐欺を持ちかけるなど、根はすっかり詐欺師である。 リチャード 演 - 小日向文世 主人公の一人。ダー子・ボクちゃんと共に行動する詐欺師。超一流の変装技術を持ち、ダー子同様、様々な役柄で潜入する。普段は品の良さを活かしたジェントルマンな風貌であり、ダー子とも気が合っている。一方、意外にも女性には弱い一面もある。 ターゲットを騙すためにかかった経費や、その儲けを計算して2人に伝えており、コンフィデンスマン達の経理担当の面も持ち合わせている。 チョビ髭 演 - 瀧川英次(第1話・第2話・第9話・SP) 3人の詐欺師の部下。様々な役柄に扮し、3人を助ける。「スポーツ編」では自身の怨みをきっかけにターゲットを用意した。 五十嵐(いがらし) 演 - 小手伸也 神出鬼没な腕利きの詐欺師。元々は弱者も騙す正真正銘の悪徳詐欺師だったが、ダー子に出会い、心酔したことによって改心した。 リチャードとは以前から面識があったが、「協力者がいる」程度の情報しか得ていなかったボクちゃんは「リゾート王編」の成功パーティまで彼の素性を知らなかった。そのため、1話よりも前の時系列であるコンフィデンスマン編では、展開の裏で登場こそしてもリチャードやボクちゃんの前には現れなかった。 仕事ではターゲットやその周辺の組織に潜り込み、コンフィデンスマンたちのお膳立てを主に担当。一方、回が進むにつれ損な役回りなどコメディリリーフ的立ち位置にもなっていくが、仕事はきっちりこなしており実力は本物。また、他の3人が毎回別の名前を用意しているのに対し、彼だけは常に五十嵐と名乗っているなど、極めて印象に残さないタイプの詐欺師である。いつの間にか部屋に入ってきて話題に参加してはリチャードやボクちゃんに「いたのか」と驚かれるのが恒例。 モナコ 演 - 織田梨沙(SP) 劇場版の「ロマンス編」にて仲間になった子猫。チョビ髭や五十嵐と同様に、3人のサポートを行う。「ダー子の一番弟子」としてダー子を「師匠」と呼び、尊敬している。 元々はジェシーの子猫で、ダー子たちの情報を流す内通者として利用されていたが、途中からジェシーのやり方に疑問を抱くようになったことに加え、最初からスパイであることに気付いていたコンフィデンスマンたちに将来性を買われていたことから、ジェシーを騙しきった後に逃亡しようとする彼についていかなかったことで正式に仲間として認められた。 劇場版第二弾「プリンセス編」ではダー子の指示でロンドンにて大衆演技を売り込む仕込みを任され、途中からフウ一族相手の仕事に合流する。 劇場版第三弾「英雄編」ではダー子らの三つ巴バトルにてダー子に加勢する。 バトラー 演 - Michael Keida、Alex J.D ダー子達のアジトである高級ホテルのスイートルームの執事。ダー子達の食事の取り寄せから、詐欺のための資料収集までこなす。 元々は「コンフィデンスマン編」で登場した鉢巻秀男の部下。バッグから銃を出した際に暴発し足を負傷し、使えない人間として風呂場に捨てられる。だが、実際に暴発したのは事前にすり替えられた「血のりが発射される銃」だったため無傷であり、鉢巻が撤収する際に置き去りにされた後、ダー子達の計らいで3人の専属バトラーとして雇われる。
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