マスメディア 経営

マスメディア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/28 23:37 UTC 版)

経営

NHK放送センター。NHKは受信料で運営される

マスメディアの収入源には大きく分けて、情報の発信側から受け取る広告料と、受け手に課金する料金(受信料、購読料など)、そして事業収入などのその他収入がある。この収入の割合はメディアによって異なり、たとえば日本においては新聞社は平均で販売収入が52.7%、広告収入が30.8%(2006年)となっており、どちらからも収入があるが販売収入の方がやや主となっている[44]。これに対し、ヨーロッパやアメリカの新聞社の収入の8割は広告からのものとなっており、広告に依存する収入体系となっている[45]

新聞と異なり、放送は課金手段が様々ある。民間放送にも広告料での運営と受信料での運営の2形態があり、公共放送はBBCやNHKのように受信料のみで運営する局のほか、広告料と受信料の両方受け取る局、政府交付金を受ける局など、国によって収入源が異なる[46](公共放送の項参照)。衛星放送有線放送の場合、ペイ・パー・ビュー方式などで視聴者に課金する局もある[47]

ネットの発達と利用者の増加で、既存メディアは広告や情報の受信手段としての役割をネットと競合するようになり[48]、全体的なメディアの傾向として、収入は頭打ちか減少傾向にある[49][50]。アメリカの新聞社では減少傾向が顕著で、ニューヨーク・タイムズは巨額の赤字を出し、本社社屋の売却などのリストラを進めている[51]ほか、2009年には、クリスチャン・サイエンス・モニター[52]、シアトル・ポスト・インテリジェンサー、ロッキーマウンテン・ニュースが経営難で日刊紙の発行を取りやめた。

メディア産業は、出版がやや小規模の資本でも行えることを除けばいずれも巨大な資本を必要とするため、企業の大規模化が進んでいる[53]。さらに大規模化した企業は同業他社の買収や系列化、他メディアへの進出、さらにはコンテンツ産業であるプロ野球球団)やサッカー、所有不動産の賃貸、まったくの別分野である旅行代理店ホテルなどへの多角化を行い、巨大なメディア・コングロマリットを形成しているところも多い[54]


注釈

  1. ^ マスメディアは正確な内容を伝えているとは限らない。内容は正しいこともあれば誤っていることもある。「マスメディア」は定義のとおり、あくまで、大衆に対して大量に伝えている、というだけである。
  2. ^ 雑誌への投稿は編集部の選別を通る必要があるため一定水準以上の文章を書かなけければいけないという規範が読者に植えつけられるが、SNSは自由気ままに書けるため質が低くなりがちでそれが世論形成にマイナスの影響を与えるという指摘もある[56]
  3. ^ しかし既存メディアは双方向ではなく一方的な報道のため、大衆の意見はこうであろうというマスコミの独断にもとづく視点であり、かならずしも人々が何を考えているのか情報を共有するものではない。

出典

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  78. ^ 小泉進次郎が今年から新聞を読むのをやめた理由(現代ビジネス) - Yahoo!ニッポン






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