デモ活動 デモ活動の要素

デモ活動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 21:36 UTC 版)

デモ活動の要素

デモ活動では、特に目立ったトラブルもなく、社会の注目を集められれば一応の成果といえる[誰?]。更に加えてそれら主張が周囲に認識され、それらが他人にも受け入れられたのであれば、目的を果たしたといえる[誰?]

主張

主張は、そのデモ活動を行う集団にもよってまちまちである。しかしあからさまに反社会的な主張は、これを見た者の怒りないし不快感や冷笑を得ることはあっても、受け入れられることはない。例えるなら「人種差別を合法化せよ」という主張をすることがこれに当たる。

また、主張と行動の内容に不一致が見られると、これも同様に不信感を被ることもある。例えば環境保護はたいていの場合においてほかの支持を得やすいテーマだが、この主張を掲げながら活動し終わった後がごみだらけだという場合は、台無しになる。自然保護活動に際しては、ただ集団で主張を掲げるというだけではなく、主張を掲げつつ集団で所定区間のごみを拾う活動を行う団体もしばしば見られる。

また主張が一方的であるとか、独善的な場合も同様である。例えば銃社会の問題が深刻な地域で、自衛のために銃が必要だとして、銃の所持と販売の更なる容認・緩和、つまり銃規制撤廃を訴えた場合がこれに相当するだろう。

このため、多くの場合では他人に示した場合に賛同が得られるか、あるいは賛同されないまでも拒絶もされないものを示し、またそれらのテーマに沿ったアピール方法を選択し、主張を示すにしても一定の注意が払われ、常識的に妥当な理由が示される。

こういったデモ活動において掲げるテーマが選ばれたケースとしては、1991年には日本で暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)の制定に絡んで暴力団員を含む支持者団体がデモ活動したケースもあるが、この際には「憲法で保障された結社の自由を侵害する」や「暴力団構成員にも家庭があるが行動を禁止されると子供を養えない」など、別の視点・理由によるものや同情を呼ぼうとした主張が掲げられた。結局、同法は「暴力団が集団として存在すること」ではなく「違法な行為で市民生活を妨害したり金品を得ること」を規制する性格の法律であったため、違憲問題に関しては合憲との判断が成されている。

時と場所

デモを成功させるのには、それが行われる時と場所が重要である。誰も見ていないところで、誰もいない時間にいくらデモをしても意味がなく[2]、より効果的に行うために適した日・時間としては、デモの参加者が集まりやすく他人にも示しやすい休日が選ばれることが多い。

またよりデモを意義あるものにするため、例えば反核運動では8月6日(→広島市への原子爆弾投下)を、イラク戦争を非難するのに3月20日(米英連合軍が侵攻した日)を、原子力撤廃を訴えるのに3月11日(→東日本大震災福島第一原子力発電所事故)を、反ロシアを訴えるのに8月9日満州ソ連軍が侵攻した日で反ソ連デー)を選ぶなど、デモに関係する記念日を選ぶことがある(10月21日の「国際反戦デー」関連は有名だった)。また場所は、大人数を収容できる広場やその行進に適した道幅の広い大通りが選ばれる。また、デモに関係する土地施設の前で行われることも多く、例えば所定の国の政府政策に抗議するために、その国の在外公館前でデモを行うなどがみられる。

しかし、ただ人通りが多い場所や日時を選べばよいというものではない。交通量の多い通りのいくらかの車線を封鎖したり、普段から混雑する広場や歩行者専用道路を用いてデモを行うということは、多くの人に自らの主張を伝えられる一方、渋滞や混雑、騒音などで直接的な不利益を被った者は不快感を、そして時には主張そのものに反感を覚え、さらには直接的な衝突に発展することもある。これを回避するため、治安当局はデモの主催者に開催場所や日時の変更を指導したり、許可を降ろさないこともあり、デモ隊には多数の警察官警備に当たることがある。

デモの非暴力と暴力

中国の人権問題に関するデモ

一般にデモは非暴力による有効な戦略の一つであると考えられている。しかし時にそのデモはエスカレートし、国旗を燃やしたり、周りにあるものを壊したりなどの暴力的な手段に発展することがある。場合によってはデモの主張とは関係のない、ただ暴れたいだけの暴徒までが寄って来て収拾がつかなくなる。

そのような参加者らが暴徒と化した場合、警察などが出動し、例えば参加者に対する放水催涙ガスゴム弾といった非致死性の武器を使って鎮圧を試みようとする。こういった状況は、デモ参加者との応酬に発展する場合もあるほか、非殺傷性武器を使ってなお、至近距離弾で死傷者も出すなど熾烈さも増し、非暴力のデモ行進から暴動に発展する事態を、デモ計画者側が警戒する場合もある。

なお警察側にしても、鎮圧のために死傷者が発生するのは本意ではなく、高圧放水銃や非殺傷性の音響兵器のような装備の利用を行うケースも見られる。

またデモ側が非暴力であったとしても、国策の遂行に反対するデモなどは、国家によっては無条件に武力で鎮圧される場合があり、その際その国の治安維持部隊は、強権的な手段に訴えることもある。過去の例としては完全非暴力を掲げながら銃火にさらされたインド塩の行進や、デモに参加した労働者らに向け無差別発砲の起こったロシア血の日曜日事件、アパルトヘイト政策であるパス法に反対する群衆に発砲を行ったシャープビル虐殺事件

またデモ側が暴力である場合、政府はより強い力で市民の安全を守っていける。胡耀邦の死亡に懸念を持って解釈を求め天安門広場を座り込みで占拠した学生らの一部が学生代表達の非暴力主張を無視し警備担当をしてた軍隊のタンクを奪い、さらに出所不明でタンクの運転さえできる「学生」と併せて武力行使を控えてる軍人を銃やタンクで殺害しさらに事件が拡大化、事態を鎮めるために軍の武力弾圧で終わる中国天安門事件、最近では香港において逃亡犯条例の議会通過を阻止するべく香港の立法会周辺や占拠した一部の街区と大学に集まった自作の銃とガソリン爆弾を持つ学生やデモ反対の一般市民の老人に油と火を付ける暴徒団体などに対し警察が発砲した事件などがある。


  1. ^ 広辞苑』(第六)岩波書店。 
  2. ^ 青島幸男はこれに抗するために、国会議事堂前で「民主主義の敵、金丸を許すな」と書いたプラカードを掲げて、独り座り込みを続けた事がある
  3. ^ 1995年、「ネーション・オブ・イスラム」の呼びかけによりワシントンD.C.に100万人の黒人が集結した例がある。いわゆる「100万人大行進」。
  4. ^ 破壊活動防止法(昭和二十七年七月二十一日法律第二百四十号)
  5. ^ 人事院規則一四—七(政治的行為)(昭和二十四年九月十九日人事院規則一四—七)
  6. ^ 自衛隊法施行令(昭和二十九年六月三十日政令第百七十九号)
  7. ^ 日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年五月十八日法律第五十一号)
  8. ^ 国立公園集団施設地区等管理規則(昭和二十八年十月二日厚生省令第四十九号)
  9. ^ 国民公園、千鳥ケ淵戦没者墓苑並びに戦後強制抑留及び引揚死没者慰霊碑苑地管理規則(昭和三十四年五月六日厚生省令第十三号)
  10. ^ 世相風俗観察会『増補新版 現代世相風俗史年表 昭和20年(1945)-平成20年(2008)』河出書房新社、2003年11月7日、15,39頁。ISBN 9784309225043 
  11. ^ 米よこせデモ コトバンク
  12. ^ 「団塊世代の戦後史」p247,三浦展,2007年
  13. ^ 「団塊世代の戦後史」p274,三浦展,2007年
  14. ^ 「団塊世代の戦後史」p249,三浦展,2007年
  15. ^ 「団塊世代の戦後史」p251,三浦展,2007年
  16. ^ a b 「団塊世代の戦後史」p253,三浦展,2007年
  17. ^ a b 外山恒一「学生運動入門 2.歴史篇
  18. ^ 外山恒一「21世紀に残したくない曲
  19. ^ 「団塊世代の戦後史」p273,三浦展,2007年
  20. ^ 激化する「排外」デモ。新大久保で「反排外主義」のカウンターデモと激突 週刊SPA!
  21. ^ 「在日は帰れ!」「レイシストは帰れ!」4.21新大久保反韓デモとそのカウンターを直撃取材 1/5(全5ページ)エキサイトレビュー
  22. ^ 「再稼働反対」叫ぶ20万人の洪水 機動隊車両が官邸突入防ぐ 田中龍作ジャーナル2012年6月30日
  23. ^ 再稼動ノーだ / 官邸前 空前 しんぶん赤旗2012年6月30日
  24. ^ なお、催しにもよるが、主催者発表というのは実数より多く公称されることがある。もっとも、「6・11脱原発100万人アクション」と銘打ち全国に呼びかけられていたこの日のデモは、各地で他の脱原発デモも行われたため、総参加者数はさらに増え、合わせて7万9千人とも伝えられた。またこの前後にも4月10日に高円寺で1万5千人、9月19日に明治公園で6万人規模の脱原発デモが行われた。なお諸外国では数万人規模のデモも頻繁に起こる。例えばイタリアジェノヴァサミットの時に起きた時は25万人の参加者が居た。福島第一原発事故に際しても、ドイツではベルリンなど国内4都市合計で25万人が参加した。『朝日新聞ドイツで反原発25万人デモ 福島事故受け「停止を」 2011年3月26日23時37分
  25. ^ 震災3カ月、各地で脱原発デモ 福島・新宿・フランス… asahi.com(2011年6月11日23時47分)
  26. ^ 大江健三郎さんら脱原発訴え 都心で6万人参加デモ asahi.com(2011年9月19日22時41分)
  27. ^ 6・11脱原発デモ、48%が初参加 ネット・口コミ7割 asahi.com(2011年10月19日12時2分)
  28. ^ さよなら原発「17万人」集う 酷暑の中 最大規模”. 東京新聞 (2012年7月17日). 2013年9月8日閲覧。
  29. ^ 「冷笑主義」に向かう日本人。|RISKYBRANDのプレスリリース
  30. ^ 政治デモ参加者に「近づきたくない」 日本と中国で突出:朝日新聞デジタル
  31. ^ 若者に投票を呼びかける一方で、社会運動への参加は叩く日本の風潮(室橋祐貴) - 個人 - Yahoo!ニュース
  32. ^ 東浩紀が時代の節目に自らを振り返る――「平成という病」 | 特集 | Book Bang -ブックバン-
  33. ^ Fast food workers plan biggest US strike to date over minimum wage Dominic Rushe、ガーディアン2014年9月2日経済面
  34. ^ a b The rapid success of Fight for $15: 'This is a trend that cannot be stopped' S. Greenhouse、ガーディアンアメリカ関連面2015年7月24日
  35. ^ a b California and New York sign into law bill raising minimum wage to $15-an-hour A. Justice, International Business Times, 5 Apr 2016
  36. ^ 米首都、高校生の呼び掛けで数十万人が銃規制要求デモ 過去数十年で最大”. AFP (2018年3月25日). 2018年6月17日閲覧。
  37. ^ 米各地で外出制限に抗議デモ、ミシガンではトランプ氏支持の右派集結”. AFP (2020年4月17日). 2020年4月22日閲覧。
  38. ^ 自宅待機命令への抗議デモ、参加者に医療従事者が対峙”. CNN (2020年4月21日). 2020年4月22日閲覧。
  39. ^ 【コラム】葛藤と分裂の大韓民国”. 朝鮮日報 (2018年11月18日). 2018年11月20日閲覧。
  40. ^ 100万人カタルーニャ独立要求”. 産経新聞 (2018年9月12日). 2019年10月27日閲覧。
  41. ^ バルセロナ、5日目の抗議デモに50万人 衝突激化 ゼネストも”. AFP (2019年10月19日). 2019年10月27日閲覧。
  42. ^ バルセロナで大規模デモ、35万人が平穏に行進 急進派のデモでは警察と衝突”. AFP (2019年10月27日). 2019年10月27日閲覧。





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