非致死性兵器とは? わかりやすく解説

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非致死性兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/16 03:09 UTC 版)

催涙スプレーのデモンストレーション

非致死性兵器(ひちしせいへいき)とは、相手を死傷させることなく無力化する兵器である。ノン・リーサル・ウエポン (non-lethal weapons) とも称される。死傷者の発生により非致死性兵器とされたものが、低致死性兵器 (less-lethal weapons) に置き換わる場合もある。

概要

暴動鎮圧などで警察軍隊が民間人に対して発砲して殺傷することが社会問題化し、殺傷せず鎮圧する方法が求められて考案された。重大な後遺症を生じない非致死や致傷性のものは、警備会社や民間人が自衛手段に用いる場合がある。

非致死性兵器による死傷事故も報告され、1980年代に南アフリカの反アパルトヘイト闘争で起きた暴動で、ゴム弾が至近距離で発射された場合に死傷者が発生した。日本で、安保闘争三里塚闘争で発射された催涙弾の直撃を受けた者が死傷する東山事件があった。1990年代から広く利用されて後遺症が残らないとされるスタンガンも死亡事故は発生し、2007年に空港で暴れた男性が警備員にテイザー銃(電極発射式のスタンガン)で撃たれて死亡した[1]

モスクワ劇場占拠事件で使用されて人質129名が窒息死したKOLOKOL-1無力化ガスと称していたが、実際に使用しないと人体の反応が判然としない物質もあり、使用実績のある催涙ガスも、嘔吐物が気道を閉塞して窒息する危険性も指摘される[2]

軍事評論家の江畑謙介は、死に至らしめる可能性が完全に排除された字義通りの非致死性兵器はほぼ存在しない、と1995年に述べる[2]

アメリカ合衆国の警察組織は、非致死性 (non-lethal) ではなく、低致死性 (less-lethal) の語を用いている[3]

2018年ジュネーブで、法執行機関の低致死性兵器使用で死傷者を生じないためのガイドライン『2018 Geneva Guidelines on Less-Lethal Weapons and Related Equipment in Law Enforcement』が定められた[4][5]

種類

[6][7]

  • スカンク (兵器)
  • 脚注

    1. ^ “一瞬のすれ違いで生じた悲劇、ポーランド人移民がカナダ警察に撃たれ死亡”. AFPBB. https://www.afpbb.com/articles/-/2312847?pid=2361553 2016年8月8日閲覧。 
    2. ^ a b 江畑謙介 (1995). 殺さない兵器―新しい時代の新しい兵器. 光文社 
    3. ^ McNab, Chris (2009). Deadly Force: Firearms and American Law Enforcement, from the Wild West to the Streets of Today. Osprey Publishing. p. 229. ISBN 9781846033766 
    4. ^ katharina.kiener-manu. “Crime Prevention & Criminal Justice Module 4 Key Issues: 5- The Use of “Less-Lethal” Weapons” (英語). www.unodc.org. 2023年2月23日閲覧。
    5. ^ 2018 Geneva Guidelines on Less-Lethal Weapons and Related Equipment in Law Enforcement 作成日:1 October 2018 サイト:Geneva Academy of International Humanitarian Law and Human Rights英語版
    6. ^ 映像 - YouTube
    7. ^ 映像 - YouTube

    関連項目

    外部リンク


    非致死性兵器

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 01:30 UTC 版)

    指向性エネルギー兵器」の記事における「非致死性兵器」の解説

    詳細は「非致死性兵器」を参照 1997年開かれたTECOM技術シンポジウムでは非致死性兵器につき、「傷害致死可能性人体実験強く限定する」ことを主な理由とし、「人体への目標影響決定することは、テストを行う組織対す大きな挑戦である」と総括したまた、指向性エネルギー兵器中枢神経系目標として神経生理学的な障害引き起こすが、これは1980年特定通常兵器使用禁止制限条約犯す可能性がある。非軍事的意図越えて過剰な傷害、または不要な苦痛」を引き起こす兵器は、1977年ジュネーブ協定プロトコルIも犯す可能性がある」とした。 非致死性電磁兵器が及ぼす、生体対す一般的効果いくつかには以下が含まれる呼吸困難 方向感覚の喪失 吐き気 疼痛 空間識失調 他、全身不快感 呼吸妨害は最も重大で致死的な結果起こす。 光や反復的な視覚信号てんかん発作誘発する擬似運動感覚乗り物酔いが起こることもある。 クルーズ客船海賊撃退のためにLRADのような音響兵器を使うことが知られている。

    ※この「非致死性兵器」の解説は、「指向性エネルギー兵器」の解説の一部です。
    「非致死性兵器」を含む「指向性エネルギー兵器」の記事については、「指向性エネルギー兵器」の概要を参照ください。

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