LRAD
音響兵器
(LRAD から転送)
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音響兵器(おんきょうへいき、英: sonic weapon)は、音波を投射することにより、人の行動能力・判断能力を奪うことや聴覚器官や脳にダメージを与えたり、物体を破壊することを目的とする兵器である。ただし、出力を調整すると兵器としてだけでなく音響装置(スピーカー)としても利用可能な物もあり、どこまでが音響兵器に当たるか若干曖昧な場合がある。
- ^ 米軍がイラクに投入する新たな非殺傷兵器は「音」 WIRED.jp 2004年3月8日
- ^ 丸紅情報システムズ|LRAD(防災行政無線・ラインアレイスピーカー・長距離音響発生装置)
- ^ シー・シェパードに「音のビーム」 捕鯨船が海賊対策の装置を初使用 MSN産経ニュース 2009年2月7日
- ^ Chicago Police Sound Cannon: LRAD ‘Sonic Weapon’ Purchased Ahead Of NATO Protests (VIDEO). The Huffington Post. TheHuffingtonPost.com, Inc., 2012年5月16日.
- ^ City of Pittsburgh Settles G-20 Lawsuits. American Civil Liberties Union of Pennsylvania. 2012年11月14日.
- ^ WEB特集 中東の派遣先に行ってみた! - NHK
- ^ 丸紅情報システムズ|LRAD導入事例
- ^ 被災地や戦場で利用、遠くまで明瞭な音を伝える音響装置2005年9月5日 WIRED VISION(日本語)
- ^ 「マイクロ波」という見えない兵器 外交官の不調と関係は 朝日新聞(2018年10月8日)
- ^ 米、キューバ外交官を追放 産経ニュース(2017年8月10日)
- ^ 米大使館職員の体調不良、原因は「音響兵器」 ロシアなど第三国が実行か キューバ 産経ニュース(2017年8月11日)
- ^ Sonic Torpedo Defense Slashdot Mon Oct 10, 2005(英語)
LRAD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 18:11 UTC 版)
現用のものでは、LRAD Corporation製の長距離音響発生装置であるLRAD(Long Range Acoustic Device)がイラク駐留米軍に配備されるとの報道が2004年にあり、メーカー発表によると300台以上配備されている。米軍が大量に配備している他、世界各国の軍隊・警察・消防機関に導入されている。 この装置はモデルによるが、直径80cm程度の椀型か四角形、あるいは六角形をしており、重量は30kg前後で、有効範囲にある対象に向け作動させる事で、攻撃の意欲を無くさせる効果もある。これは暴動などの際に催涙ガス(催涙弾など)を使用すると呼吸器疾患のある者が重体となったり死亡する危険性があるため、これに代わるものとしての利用が期待されている。ただしその一方で、断続的に強力な音波を照射された場合、聴覚障害の危険性があることも示唆されている。このため運用面では、制圧目的の場合には一度に数秒程度とし、連続照射を前提としていないことがメーカー側から示されている。 この装置は、指向性を持っているため距離の離れた限られた範囲内に音声メッセージを明確に伝えることにも利用でき、例えば災害発生時に相手側に無線受信機がなくても被災者に適切な指示を伝えたり、群衆の中の特定集団にのみ指示を出す(周囲の人間の妨げに成らない)事も可能である。 兵器の戦場での運用や成果は一般に報道されにくいものだが、2005年11月5日、エジプトからケニアへの航海途上にあった米国の民間・商用豪華客船がソマリア沖で武装海賊の襲撃を受けた際、LRADで海賊を撃退したことが報じられた。 また、2009年2月7日に報じられたところでは、日本の調査捕鯨船団が、調査捕鯨船に過激な妨害活動を行っているシー・シェパードに対し、2009年2月からLRADを用いて同団体の接近を阻止した。水産庁側は、事前に警察庁などと協議して国内法、国際法のいずれにも抵触しないことを確認し、「違法性は無い」とした。抗議船の船長は「この装置により妨害活動に集中することが困難になったことを認めざるを得ない」とコメントしたため、期待された効果を発揮しているようである。 2009年9月には、ピッツバーグ市警によって、アメリカのピッツバーグで開催されたG20サミットへの抗議デモに対しLRADが使用された。これはアメリカ国内で警察が使用した初めての例とされ、その後もしばしば使用されている。ピッツバーグでの2009年の実施では見物人が聴覚障害を被り、市は72,000ドルの賠償を行なった。 2020年、中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動のために派遣されたたかなみには約1kmの射程を有するLRADが搭載された。 前述のように、武装が難しいがスペースに余裕のある民間の大型船が、テロリストなどの接近を妨害するため搭載している例がある。この他にも避難勧告やスポーツ会場での呼びかけ用として自治体などが導入している。
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