サリン【Sarin】
【サリン】(さりん)
Sarin
1938年にドイツで開発された有機リン系化合物。極めて重篤な作用を持つ神経毒である。
化学物質としての正式名称は「イソプロピルメタンフルオロホスホネート」。
サリンという名称は開発者4名の名に由来している。
もともと1902年には合成に成功していたが、毒性についてはあまり知られていなかった。
第二次世界大戦時、ドイツ軍は7000tのサリンを貯蔵していたが、戦争やテロリズムに投入される事はなかった。
宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッペルスなど、ナチ党高官は戦地でのサリン投入に前向きだった。
しかし総統ヒトラーは自身の戦争経験から部下の進言を無視したという。
一方、同じ頃のアメリカ軍でもサリンは貯蔵されており、1945年秋に計画されていた日本本土侵攻作戦「ダウンフォール作戦」で使用する計画があったという。
毒性
呼吸および皮膚接触によって吸収され、その後約1分で症状が現れる。
ガスマスクだけでは防護できず、全身をNBC防護装備で覆っていなければ阻止できない。
症状はおおむね以下の通り。死亡例の大半は呼吸停止が原因である。
| 軽症 | 食欲不振、胸部の圧迫感、発汗、唾液分泌過多、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠感、不安感、頭痛、めまい |
| 中等症 | 上記に加えて、視力減退、瞳孔の収縮、顔面蒼白、筋線維性痙縮、血圧上昇、不整脈、言語障害、興奮、錯乱 |
| 重症 | 上記に加えて、失禁、肺水腫、呼吸筋麻痺、意識混濁、昏睡、全身痙攣、体温上昇 |
テロ
サリンは日本において新興宗教団体「オウム真理教」によるテロリズムに使われた。
同組織は教団施設内でサリンを製造し、警察の捜査を混乱させる事のみを目的としてこれを使用した。
サリン
| 分子式： | C4H10FO2P |
| その他の名称： | サリン、Sarin、Methylfluorophosphinic acid isopropyl、Methylfluorophosphinic acid isopropyl ester、IMPF、Methyl(fluoro)phosphinic acid isopropyl ester、GB、Fluoro(methyl)(isopropoxy)phosphine oxide、Methyl(fluoro)(isopropyloxy)phosphine oxide、Methylfluoridophosphonic acid isopropyl、Methylphosphonofluoridic acid isopropyl、Fluoro(methyl)phosphinic acid isopropyl ester |
| 体系名： | メチルホスホノフルオリド酸イソプロピル、メチルフルオリドホスホン酸イソプロピル、メチルフルオロホスフィン酸イソプロピル、メチル(フルオロ)ホスフィン酸イソプロピル、フルオロ(メチル)(イソプロポキシ)ホスフィンオキシド、メチル(フルオロ)(イソプロピルオキシ)ホスフィンオキシド、フルオロ(メチル)ホスフィン酸イソプロピル |
サリン (曖昧さ回避)
(Sarin から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/03/14 06:19 UTC 版)
サリンとは、以下の事項を表す語である。
- 1 サリン (曖昧さ回避)とは
- 2 サリン (曖昧さ回避)の概要
Sarin
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2021/03/20 04:10 UTC 版)
「サリン (曖昧さ回避)」の記事における「Sarin」の解説
化学兵器・神経ガスの一種 - サリン サリン事件松本サリン事件 地下鉄サリン事件 ヘルクレス座デルタ星の固有名 このページは曖昧さ回避のためのページです。一つの語句が複数の意味・職能を有する場合の水先案内のために、異なる用法を一覧にしてあります。お探しの用語に一番近い記事を選んで下さい。このページへリンクしているページを見つけたら、リンクを適切な項目に張り替えて下さい。
※この「Sarin」の解説は、「サリン (曖昧さ回避)」の解説の一部です。
「Sarin」を含む「サリン (曖昧さ回避)」の記事については、「サリン (曖昧さ回避)」の概要を参照ください。
- Sarinのページへのリンク
