ホスゲンとは? わかりやすく解説

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ホスゲン【(ドイツ)Phosgen】

読み方:ほすげん

一酸化炭素塩素反応させて得る、刺激臭のある無色窒息性ガスポリウレタンなどの合成原料とする。毒性強く毒ガスとしても使用化学式COCl2 塩化カルボニル


ホスゲン

分子式CCl2O
その他の名称ホスゲン、二塩化炭酸、オキシ塩化炭素塩化カルボニル、クロロホルミルクロリド、Phosgene、Dichloro ketoneCarbonyl chlorideCarbon oxychloride、Carbonyl dichloride、Chloroformyl chloride、カルボニルクロライド、カルボニルクロリド、Carbonic aciddichloride、二塩化カルボニル
体系名:ジクロロメタノン、カルボニルジクロリド、ジクロロケトン、炭酸ジクロリド


ホスゲン

毒性の非常に高いガスで、化学兵器として使用されてきた。これは、致死濃度ガス吸入してもすぐには刺激がない、潜行性の毒である。(The Merck Index, 11th ed, p7304)

名前Phosgene
ホスゲン

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ホスゲン(COCl2)

ホスゲンは無色気体です。非常に毒性強く吸入により催涙呼吸困難などの急性症状呈し数時間後に肺水腫生じて死亡するといわれています。工業的にポリウレタン染料合成原料などとして使われています。

ホスゲン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/23 12:53 UTC 版)

ホスゲン[1]
識別情報
3D model (JSmol)
ECHA InfoCard 100.000.792
EC番号
  • 200-870-3
RTECS number
  • SY5600000
国連/北米番号 1076
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 CCl2O
モル質量 98.92 g/mol
外観 無色気体
匂い 青草臭または木材や藁の腐敗臭
密度 4.248 g/dm3 (15 ℃)
1.432 g/cm3 (0 ℃)
融点

−118 °C, 155 K, -180 °F

沸点

8.2 °C, 281 K, 47 °F

への溶解度 加水分解
構造
平面、三角形
1.17 D
危険性
GHS表示:
[2]
Danger
H314, H330[2]
P260, P280, P303+P361+P353+P315, P304+P340+P315, P305+P351+P338+P315, P403, P405[2]
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 1: Normally stable, but can become unstable at elevated temperatures and pressures. E.g. calciumSpecial hazards (white): no code
4
0
1
引火点 不燃性
作業環境許容濃度 (TLV) 0.1 ppm (1 ppm = 4 mg/m3)
致死量または濃度 (LD, LC)
  • 500 ppm (ヒト, 1 分)
  • 340 ppm (ラット, 30 分)
  • 438 ppm (マウス, 30 分)
  • 243 ppm (ウサギ, 30 分)
  • 316 ppm (モルモット, 30 分)
  • 1022 ppm (イヌ, 20 分)
  • 145 ppm (サル, 1 分)
  • 1 ppmは4 mg/m3
[4]
LCLo (最低致死濃度)
  • 3 ppm (ヒト, 2.83 時間)
  • 30 ppm (ヒト, 17 分)
  • 50 ppm (哺乳類, 5 分)
  • 88 ppm (ヒト, 30 分)
  • 46 ppm (ネコ, 15 分)
  • 50 ppm (ヒト, 5 分)
  • 2.7 ppm (哺乳類, 30 分)
  • 1 ppmは4 mg/m3
[4]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 0.1 ppm (0.4 mg/m3)[3]
REL
TWA 0.1 ppm (0.4 mg/m3) C 0.2 ppm (0.8 mg/m3) [15-分][3]
IDLH
2 ppm[3]
1 ppm = 4 mg/m3
安全データシート (SDS) [1]
関連する物質
関連物質 チオホスゲン
ホルムアルデヒド
炭酸
尿素
一酸化炭素
クロロギ酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ホスゲン (: Phosgene) とは、炭素酸素塩素化合物二塩化カルボニルなどとも呼ばれる。分子式は COCl2 で、ホルムアルデヒド水素原子2つを塩素原子で置き換えた構造を持つ。毒性の高い気体であり、毒物及び劇物取締法によって毒物に指定されている[5]1812年イギリス化学者ジョン・デービー英語版(同じく化学者であるハンフリー・デービーの弟)によって発見された[6]

用途

化学工業分野で重要な化合物であり、1812年に初めて合成された[7]一酸化炭素塩素から多孔質の炭素触媒として合成される。ポリカーボネートポリウレタンなどの合成樹脂の原料となる。

有機合成分野でもホスゲンはアルコールと反応して炭酸エステルを、アミンと反応して尿素あるいはイソシアネートを、カルボン酸と反応して酸塩化物を与えるなど用途が広い。ただし猛毒の気体であるホスゲンは実験室レベルでは使いにくく、近年では炭酸ビス(トリクロロメチル)(通称 トリホスゲン)が代用試薬として用いられるようになった。この試薬は安定な固体だが、トリエチルアミン活性炭の作用で分解し、in situ で3当量のホスゲンを発生する。ホスゲンに比べて格段にハンドリングが容易なため、近年使用例が増えている。

また、フロン類(クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン)が加熱される事でも発生するので、特に冬季など暖房器具を使用する時期には中毒事故が発生しやすかった。室内の空気に塩素を含む有機性のガス、あるいは塩素と有機性のガスが存在する場合に、放電式の空気清浄機を使用すると、中毒事故が起こる可能性がある。 フロン類は、エアコンの冷媒、冷蔵庫の冷媒としても用いられているので、冷媒の配管への衝撃や劣化などによる配管のひび割れにより、漏出することがあり、それもまた 危険である。また、スプレー缶の噴射剤として使われる有機溶媒も塩素やフッ素を含む場合には、それを密室で散布した後に、コンロなどの裸火による燃焼や、空気清浄機の放電、喫煙行為などによりホスゲンが生成されると、呼吸に伴い呼吸器官を冒して呼吸器の機能を劣化させてしまい、最悪死に至るリスクがある。

毒性が強く、化学兵器毒ガス窒息剤)とされている[8][9]第一次世界大戦では大量に使用された[10]。旧日本軍では「あお剤」と呼称している[11]。現在の日本では化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律の第二種指定物質・毒性物質であり、同法の規制をうける。詳細は化学兵器禁止条約を参照。

2025年には、三井化学大牟田工場(福岡県大牟田市)のウレタン原料の製造工程からホスゲンを含む化学物質が流出する事故が発生。工場の周辺住民らが健康被害を負った[12]。2025年4月にも毒性のある何かのガス漏れ事故が発生し5人が救急搬送されているが、三井化学大牟田工場はイソシアネート合成プラントで使われるホスゲンガス漏洩(副生成物の塩化水素ガスなど)との関連を完全に否定している。[13]

性質

20 ℃ では気体である。沸点は 8 ℃ で、純粋なホスゲンは独特の青草臭であるが[7]、毒ガスに使われるような低純度なもの、希薄なものは木材や藁の腐敗臭がするといわれている。

があると加水分解を受け、二酸化炭素塩化水素を生じる。

びらん剤 神経ガス
窒息剤 無力化ガス 嘔吐剤 催涙剤
焼夷剤 対物剤 化学兵器規制 関連項目

ホスゲン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:21 UTC 版)

オウム真理教の兵器」の記事における「ホスゲン」の解説

1990年秋より研究開始した。ホスゲンプラント計画もあった。しかし同年国土法事件熊本県警強制捜査が入るとの情報得たため、製造装置解体し中断した捜査した熊本県警は、まさか毒ガス製造装置があるとは思わず発覚することはなかった。その後1994年新実智光らが坂本弁護士一家殺害事件オウム追及していたジャーナリスト江川紹子宅に散布し江川全治2週間傷害与えた江川紹子ホスゲン襲撃事件)。

※この「ホスゲン」の解説は、「オウム真理教の兵器」の解説の一部です。
「ホスゲン」を含む「オウム真理教の兵器」の記事については、「オウム真理教の兵器」の概要を参照ください。

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