サイボーグ
「サイボーグ」の基本的な意味
サイボーグとは、サイエンス用語における「改造生命体」である。サイボーグは、素体となる人間や昆虫といった生命体に特殊な機能を持った機械を組み込むことで異なる環境下に対応できるようにした「人工生命体」である。例えば魚が水中で生きていけるのは、泳いでいる間に水中に含まれている酸素を肺に取り込みつつ余分な水はエラを通して排出する「エラ呼吸」ができるからだ。しかし陸上に住む人間には水を排出する器官がないため、陸で酸素を吸ってから水の中に潜らないとすぐに酸欠となってしまう。そして肺に溜め込める酸素の量も限られているため、訓練で鍛えたとしてもせいぜい1時間程度しか潜ることができない。陸の自然環境の悪化など人間が水中で生きていく必要性が生まれたと仮定した場合、水中でも長期間滞在ができるように酸素を供給できるようになる必要がある。そこで肺だけでなく、魚のように水中の酸素を取り込んで余分な水分を排出する機械を手術で取り付ければ人間は水中でも生きていける。このように異なる環境下で生きていけない生き物が、機械の力を借りることで生命活動ができるようにするのがサイボーグである。
これまで空想世界の技術と思われていたサイボーグだが、その実用性が広まることで研究が始められている。その研究によって誕生したのが、昆虫のゴキブリを改造した「サイボーグゴキブリ」である。ゴキブリは特殊な酵素を生み出すことで病原菌に強いだけでなく、狭い場所でも移動できるように体が平たくなっている。その性質を利用してレーダー機器を搭載することにより、がれきの中でも支障がなく行動ができることから災害時の救助の助けになると期待されている。
「サイボーグ」の語源・由来
「サイボーグ」の語源は、英語における人工知能を意味する「cybernetic」と組織を意味する「organism」を組み合わせたのが由来である。「サイボーグ」と「アンドロイド」の違い
「サイボーグ」と似た存在として「アンドロイド」があるが、双方には明確な違いがある。サイボーグは、水中や宇宙空間など異なる環境で生きていけない生命体が機械の力を借りることで足りない部分を補って生命維持をできるようにしている。アンドロイドは水中や宇宙空間など異なる環境で生きていけない人間が、その異なる環境下でも問題なく働いてもらうために機械で構成されている存在のことである。「サイボーグ」を含む様々な用語の解説
サイボーグ009(漫画)とは
サイボーグ009(漫画)とは、漫画家「石ノ森章太郎」が描いたSF漫画である。今作における主人公の島村ジョーは少年院を脱走後に、世界で暗躍するテロリスト「ブラックゴースト」に拉致される。そこでは人体実験など非人道的な実験が行われており、世界各国から身寄りのない少年少女を拉致し実験をしている。
島村ジョーは強制的に実験の内容の一つ「サイボーグ手術」を受け、人間と機械が融合した「009」になってしまう。度重なる実験で精神を病みかけたが、同様に連れてこられた被検体と意気投合し脱出する機会を探る。そんなある、サイボーグを行ったギルモア博士に脱走計画を持ち掛けられ、連れてこられた被検体と一緒に脱出することに成功した。脱出後は自由の身となったが、このままブラックゴーストを野放しにすれば自分たちと同じような被害者が出ると考え、サイボーグ能力を生かして8人の仲間たちとブラックゴーストと戦うというのがサイボーグ009の概要である。
サイボーグクロちゃん(漫画)とは
サイボーグクロちゃん(漫画)とは、月刊コミックボンボンにて連載されていた横内なおきによる日本の漫画である。雑種の黒猫のクロは、ある日ドクター剛によって改造手術を施されてしまい、人間の言葉を話せるだけでなく意思を理解できる機械とガトリングガンなどの武装を取り付けられてしまう。
クロはなんとか脱出し、逃亡生活をする中で老夫婦に助けられる。クロは手術によって人間の言葉を理解できるため、善意を感じ取ったクロは助けてくれた老夫婦のために手助けをすることを決心する。そんな生活をしながら、町で起きる個性ある人間たちと波乱万丈な生活を送るというのがサイボーグクロちゃん(漫画)の概要である。「サイボーグ」の使い方・例文例文として、「このままでは事故による影響で肺が機能しなくなり、命維持が難しくなるため、肺と同じ機能を果たす人工機械に組み替えるサイボーグ手術をすることで事なきを得た。」などとなる。
サイボーグ
(Cyborg から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/19 13:33 UTC 版)
サイボーグ(cyborg)は、サイバネティック・オーガニズム(Cybernetic Organism)の略で、広義の意味では生命体(organ)と自動制御系の技術(cybernetic。サイバネティックス)を融合させたものを指す。具体例として、人工臓器などの人工物を身体に埋め込むなど、身体の機能を電子機器をはじめとした人工物に代替させたものがある。日本では石ノ森章太郎の漫画『サイボーグ009』の出版以降、一般に知られるようになったため、人間や動物が身体機能を補助、強化された場合を言うことが多い。
- ^ Manfred E. Clynes and American scientist and researcher Nathan S. Kline. “Cyborgs and Space, in Astronautics (September 1960)”. 2018年7月11日閲覧。
- ^ Brown, David (2006年9月14日). “For 1st Woman With Bionic Arm, a New Life Is Within Reach”. ワシントン・ポスト 2006年9月14日閲覧。(英語) - 世界初の筋電義手装着女性、クローディア・ミッチェル
- ^ “神経がつながった義手”. Design News Japan. (2006年2月) 2008年12月8日閲覧。 - 史上初の筋電義手装着者、ジェシー・サリバンとその機構
- ^ SoCal Innovation Stefan Vos' Monthly Column 第2回 患者に希望を!ブレーン・マシーン・インターフェースの起業・投資ポテンシャル
- ^ 深部脳刺激療法(DBS)について - 名古屋市立大学脳神経外科
- ^ 「脳ペースメーカー」で鬱病治療. WIRED.jp. 2000年.
- ^ “再充電可能な「サイボーグ昆虫」、理研らが開発 太陽電池や無線を搭載 寿命続く限り長時間活動”. ITmedia NEWS. 2022年9月6日閲覧。
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- ^ 豊田有恒『あなたもSF作家になれるわけではない』徳間書店、昭和54年11月10日初版発行、7頁。
- ^ WEBアニメスタイル TOPICS
- ^ 前述の『仮面ライダーカブト』には、『仮面ライダー THE FIRST』からのゲストとして、サイボーグの本郷猛らしき人物が登場している。後述の『仮面ライダーG』と同年に制作された『仮面ライダーディケイド』でも同様の技術の存在が劇中で語られている。『仮面ライダーオーズ/OOO』では登場人物が改造人間を主人公にした映画(劇中劇)を制作するというエピソードがある。
- ^ “立花隆 最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える”. NHK. 2021年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月3日閲覧。
- 1 サイボーグとは
- 2 サイボーグの概要
- 3 サイボーグを主題にした作品
- 4 関連書籍
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