サイボーグ・ブルースとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 文学作品 > 小説 > 日本のSF小説 > サイボーグ・ブルースの意味・解説 

サイボーグ・ブルース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/23 05:34 UTC 版)

サイボーグ・ブルース』は、平井和正SF連作短編小説。1968年から1969年にかけて『S-Fマガジン』に発表され、単行本は1971年に発売された。

後年、秋本シゲルにより漫画化された(徳間書店の雑誌『リュウ』に掲載)。

概要

時代は未来、世界連邦が発足していた。各国の軍隊の解体と同時に、クライム・シンジケートに凶悪犯や社会不適合者、超兵器が流出、世界の脅威は増大した。これに対処すべく、サイボーグ特捜官が誕生した。

黒人警官アーネスト・ライトは、同僚に狙撃され殉職したが、サイボーグ特捜官として再生させられた。クライム・シンジケートばかりではなく、腐敗した警察機構をも憎むアーネストは、サイボーグ特捜官(警察機構の一員)である事を嫌悪し、辞職する。

「魂」を持ったアンドロイドとの出会い、不可思議な「ダーク・パワー」との接触を経て、アーネストは、シンジケートと対立する。忘れようとしていた過去との対面を経て、彼はシンジケートと連邦の真実を知らされた。アーネストは、シンジケートの手に陥るが、その時、ダーク・パワーが彼を捕らえた…。

章題

  • 第1章 ブラック・モンスター (S-Fマガジン1968年5月号)
  • 第2章 サイボーグ・ブルース (S-Fマガジン1968年10月号)
  • 暗闇への間奏曲 (S-Fマガジン1969年6月号)
  • 第3章 ダーク・パワー (S-Fマガジン1968年11月号)
  • 第4章 シンジケート・マン (S-Fマガジン1969年2月号)
  • 第5章 ゴースト・イメージ (S-Fマガジン1969年3月号)

※本作はアーネスト・ライトの一人称小説であるが、「暗闇への間奏曲」は三人称で書かれており、アーネスト・ライトは登場しない。

執筆の経緯

8マン』の小説化として構想されたが、設定の一部を除いて別物となった。作者は「8マンへの鎮魂歌」として本作を執筆したと言う(星新一の解説による)。

書誌情報

  • サイボーグ・ブルース(単行本(日本SFノベルズ)、早川書房、1971年)
  • サイボーグ・ブルース(角川文庫、1974年)
  • 平井和正全集9 サイボーグ・ブルース(単行本、リム出版、1991年)
  • 日本SF傑作選4 平井和正 虎は目覚める/サイボーグ・ブルース(日下三蔵編集、ハヤカワ文庫JA、2018年)

8マンとの対比

共通点
  • 殉職警官である。
  • 加速性能を持っている。
  • ナイフを使用することがある。
相違点
8マンとの対比(相違点)
8マン サイボーグ・ブルース
時代 連載当時の現代 未来(早くとも21世紀中盤から後半)[1]
舞台 日本(連載誌が発行されている国) アメリカ
ボディ 電子頭脳を備えたロボットアンドロイド[2] 人の頭脳を持つサイボーグ
性描写 掘り下げた描写はない[3] 「性」はキーワードとなっており、アーネストは「暖かい肉体を持っていない」事をコンプレックスとしている。
組織・同僚 8マンの製造者である谷博士を除き協力者と呼べる同類がいない。 サイボーグ特捜官は組織の一員であり、複数の同僚が存在し、上司の指揮下にある。
上司 直接的な上司ではないが警視庁の田中課長は、人情に厚い。 サイボーグ特捜官を仕切るブリュースター長官は、冷徹な政治家である。

後発作品への影響

本作は一人称小説である。この後、『アダルト・ウルフガイ』シリーズや、『8マン 魔人コズマ篇最終回』も一人称で書かれている。

平井によれば、「生身の体で人間と交われる犬神明は、8マンの憧れ」である。

備考

  • 地域国家は存在している。国家や州によっては、法律が違う。アメリカでは「人間そっくりのアンドロイド」は違法。
  • アーネストはブルース歌手を目指したことがある。「ブルースには魂(ソウル)が必要」であり、サイボーグとして蘇生した彼の声帯では、ブルースは歌えない。ロボット(アンドロイド)にはブルースは歌えない、とアーネストは思っていた(後述)。
  • サイボーグ特捜官の天敵として、殺し屋サイボーグも存在する。サイボーグ特捜官には殺し屋サイボーグが見抜けるが、その逆は不可能という(殺し屋サイボーグによる)。
  • ニューヨークが「古都」的な扱いを受けている。

高性能のアンドロイド

本作には、高性能のアンドロイド(超A級、特A級)が4体登場する。

特A級(1体)
  • 第2章「サイボーグ・ブルース」に登場する黒人の執事。ブルースを歌うことができる(そのことにアーネストは衝撃を受ける)。
超A級(3体)
  • 1体目は第1章「ブラック・モンスター」に登場。描写が短いため詳細は不明。ただし「恐怖を感じる能力があるようだ」とアーネストに推測されている。
  • 2体目は第2章「サイボーグ・ブルース」に登場。セックスも行っているが、誰にもアンドロイドだとは気付かれていない。
  • 3体目は「暗闇への間奏曲」に登場。「自己防衛(自己保存)」の本能(?)を持っており、殺人を行う。

以上4体のうち、特A級はアンドロイドだとすぐに見抜かれているが、超A級は見抜かれていない(ただし、アーネストが出会った超A級は2体目のみ)。「超A級」は、外見や能力・行動からは見抜けないぐらい精巧にできている。3体目の超A級アンドロイドによると、アメリカでは、「人間そっくりのアンドロイド」は非合法、とのことである。

脚注

  1. ^ 世界連邦の発足を「今世紀初頭」とアーネストが述べている。
  2. ^ 8マンは東八郎の記憶を移植されており、精神面から見ればサイボーグと言える。
  3. ^ 掲載紙が少年誌ゆえ

関連項目

外部リンク


サイボーグ・ブルース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/03 04:37 UTC 版)

エリート (漫画)」の記事における「サイボーグ・ブルース」の解説

小型原爆ペンシルバニューム弾)などのSF兵器揶揄するシーンがある。

※この「サイボーグ・ブルース」の解説は、「エリート (漫画)」の解説の一部です。
「サイボーグ・ブルース」を含む「エリート (漫画)」の記事については、「エリート (漫画)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「サイボーグ・ブルース」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サイボーグ・ブルース」の関連用語

サイボーグ・ブルースのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サイボーグ・ブルースのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサイボーグ・ブルース (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのエリート (漫画) (改訂履歴)、超犬リープ (改訂履歴)、アダルト・ウルフガイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS