鏡明とは? わかりやすく解説

鏡明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/09 01:20 UTC 版)

(かがみ あきら、1948年1月2日 -)は、日本小説家SF作家翻訳家、音楽・SF作品・漫画等文芸方面の評論家、広告ディレクター。電通顧問(元・執行役員)。

初期は岡田英明名義を使用した。

経歴

山形県生まれ。東京都立新宿高等学校を経て早稲田大学第一文学部に進む。大学時代はワセダミステリクラブや、伝説的なSFファンの集まり「一の日会」に参加。またSF同人誌「宇宙気流」「SF倶楽部」などに関わる。

早稲田大学英文科を全優で卒業(指導教授には修士課程に進むことを切望される)後、電通に勤務。上司に小田桐昭、同僚に関三喜夫がいた。ジョージ・ルーカスを起用したパナソニックのCMなどで知られ、ACC賞カンヌ国際広告賞、アジア太平洋広告祭をはじめとする国内外の広告賞を多数受賞。2002年、アジア太平洋広告祭(アドフェスト)でアジア人初の審査委員長、2009年のカンヌ国際広告祭では東アジア初の審査委員長を務め、2012年のアドフェストでは「ロータス・レジェンド」として表彰される[1]。2013年、第33回東京広告協会 白川忍賞を受賞[1]。株式会社「ドリル」エグゼクティブ・アドバイザー、全日本シーエム放送連盟国際委員会委員長などをつとめた。

1970年、『蜃気楼の戦士』(A・メリット)で翻訳家としてデビュー。また同年、短編「オム」を『季刊NW-SF』1号に発表し、作家としてもデビュー。『英雄コナン』シリーズ(ロバート・E・ハワード)などのヒロイック・ファンタジー作品の翻訳を、荒俣宏と共に行う。他に、1973年に紀田順一郎、荒俣が創刊した雑誌『幻想と怪奇』に、瀬戸川猛資とともに編集同人として参加した。

また、岡田英明名義でロック評論、レコードの対訳及び解説(ザ・クラッシュ等)も行う。

『本の雑誌』1997年3月号において、日本のSFが商業的に成功していない当時の状況へのいらだちから、「ここ十年のSFはみんなクズだ!」と題して高橋良平と対談し、いわゆる「SFクズ論争」の口火を切った。

2013年に開始した星新一賞の創設にもかかわった。日本SF作家クラブ会員。

人物

一の日会」「宇宙気流」「SF倶楽部」での仲間である、SF作家横田順彌と仲よし。鏡が190センチメートルあるのに対して、横田が150センチメートル程度と小柄なので、身長のことでよく2人は比較された。また、鏡の妻も「一の日会」でのSF仲間であり、横田・鏡とともに、平井和正の「一の日会」関係者を登場人物のモデルとした小説『超革命的中学生集団』に登場している[2]。平井は他の小説や原作を手がけた漫画にも、「鏡明」あるいは表記を変えた「加賀美明」の名前をたびたび用いている。

寡作で知られ、非常に長期にわたってコラムを連載している『本の雑誌』誌上では、1987年からずっと、評論『アメリカの夢の機械』の刊行が予告されているが、いまだに発行されていない(雑誌・第二次『奇想天外』1976年11月号21回連載して未完となっていたもの[3])。

また、毎年『本の雑誌』誌上で、自身の前年のSFベスト10を発表しているが、ファンタジー系のレーベルや、ライトノベル系の作品などにも目配りしており、その守備範囲は非常に広い。少女雑誌『りぼん』昭和61年(1986年)8月号から掲載が始まった『ちびまる子ちゃん』(アニメ化は1990年)にもメジャー系の評論家としては早い時期に評価をしていた。

多忙な本業の中、洋書を含めてそれだけ多くの本を読めるのは、本を読むスピードが非常に速いせいらしい。中学3年生のころまでに、1日3冊のペースで本を読み、学校図書館、貸本屋など手近の本はよみつくす[4]。また高校1年生のころに洋書を読み始め、辞書もひかずに読んでいるうち、10冊目ごろには英語の小説が読めるようになった[5]

2017年のインタビューで、アルジス・バドリス『無頼の月』をアトリエサードから刊行予定で翻訳中と語っている[6]

連載

著書

  • 『太陽が消えちゃう : 気絶悶絶三つ巴リレーSF』(岡田英明名義、いんなあとりっぷ社) 1977 - 川又千秋, 横田順彌とのリレー小説
  • 『不死を狩る者』(徳間書店) 1981
  • 『不確定世界の探偵物語』(徳間書店) 1984、のち復刊(創元SF文庫) 2007
  • 『シンボーズ・オフィスへようこそ! Part1』(南伸坊, 関三喜夫共著、角川文庫) 1985
  • 『シンボーズ・オフィスへようこそ! Part2』(南伸坊, 関三喜夫共著、角川文庫) 1986
    • 『シンボーズ・オフィスへようこそ!【完全版】』(フリースタイル) 2003 - 80年代の伝説的雑誌『バラエティ』誌に連載された対談集。南伸坊、鏡、関三喜夫の3人がホストで、毎回ゲストを呼んでバカ話をした。
  • 『日本SFの大逆襲』(編、徳間書店) 1994
  • 『二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』(本の雑誌社) 2010 - 「本の雑誌」連載の「連続的SF話」の単行本化
  • 『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた』(フリースタイル) 2019 - 『フリースタイル』連載の「マンハントとその時代」の単行本化

翻訳

解説

脚注

  1. ^ a b 第33回「東京広告協会 白川 忍賞」は鏡 明氏(ドリル)に決定”. PR TIMES (2013年12月19日). 2022年11月30日閲覧。
  2. ^ 横田順彌『ヨコジュンのびっくりハウス』(角川文庫)P.289
  3. ^ 『伊藤典夫評論集成』(国書刊行会)P.1321(巻末対談の備忘録:高橋良平
  4. ^ 『ナイトランド・クォータリー』vol.09 インタビューP.8
  5. ^ 『ナイトランド・クォータリー』vol.09 インタビューP.8
  6. ^ 『ナイトランド・クォータリー』vol.09 インタビューP.11

関連項目

外部リンク


鏡明

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経絡秘孔」の記事における「鏡明」の解説

手が破裂しそのまま崩れ去る

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