進化論から優生学・人種衛生学へとは? わかりやすく解説

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進化論から優生学・人種衛生学へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:19 UTC 版)

反ユダヤ主義」の記事における「進化論から優生学・人種衛生学へ」の解説

詳細は「進化論」、「優生学」、および「人種衛生学」を参照 ネアンデルタール人をフールロットと共同1856年発見した解剖学者シャーフハウゼンは、宗教の高度な思想受け入れることのできない土着民動物近く、またアジアアフリカ土着の人種類似していることから、人類多重起源説主張した1864年の『自然選択理論から導かれる人種起源』でウォレス自然選択説から導かれることとして、精神組織発達した知性の高いゲルマン人のような優等人種増加する一方で劣等人種逐次消滅してきたとし、人間の進化有色人種消滅まで続くとした。 チャールズ・ダーウィンは、異人交配による退化原因交配によって決められる隔世遺伝のせいであると論じ、また『人間由来』(1871)では人種優劣前提していた。イギリスではアーリア主義進化論によって普及していったが、フランスドイツのような反ユダヤキャンペーンとはならなかった。ダーウィン弁護したハクスリーアーリア人芸術科学作りセム人ヨーロッパ宗教基本作ったとした。ハクスリー女性ニグロ解放好意示しながらも双方遺伝的劣等確信していた。 ドイツ生物学者エルンスト・ヘッケルは『自然創世史』(1868)で病弱幼児殺害した古代スパルタ人見られるような人為淘汰肯定したダーウィン従兄弟遺伝学者フランシス・ゴルトンは『遺伝的天才』(1869)で知性血統による遺伝的なもので、白人種ニグロオーストラリア人種よりも優秀で、また人為選択による改良で高度な人種作り出せるとした。ゴルトンは、聖職者独身強要した異端裁判大胆な種子弾圧してきたカトリック教会新教徒弾圧したルイ14世非難する一方でイギリス移民によって利益得てきたとしてロシアからのユダヤ人移民好意的に扱うなど反ユダヤ主義者ではなかった。しかし、ゴルトン共同体良い血統を残すために、わが人種能力弱体化させる習慣偏見対す聖戦宣言する時が来るだろうとした。ゴルトン1883年優生学(Eugenics)を造語した。フランス解剖学者ブローカ雑種現象生物学的に有害としていた。 進化論は、適者生存法則によって人類白人種の下に進化していくとした社会学者スペンサーサムナーヘッケルによって社会進化論へと発展したスペンサーウォレスサムナー優良人種保持自然淘汰によって実現する楽観していた。一方社会主義者優生学者統計学者ピアソンは、アーリア人種キリスト教徒奴隷として見下してきた人々によって押し返され目を覚ますだろうと悲観的に見たイギリスではピアソンロナルド・フィッシャーなどのネオダーウィニズムへと発展していった。 1873年スイス植物学者カンドル遺伝絶大な力を説明するなか、ヨーロッパユダヤ人のみが住んでいれば戦争道徳感覚が傷つけられることも失業なくなり文芸科学前進していくが、自然史法則によって、ユダヤ人理想都市ギリシア人ラテン人、カンタブル人(古代スペイン)、ケルト人ゲルマン人スラブ人末裔によって略奪されるだろうと論じたカンドルは他の箇所では、厳し旧約聖書に対して新約聖書には優しさ思いやり謙虚さがあり、宗教教育だけで育成したイスラエル人暴力的であるとした。哲学者リボーは『遺伝-心理学的研究』(1873) でユダヤ人種は文明への憎悪満ちており、悪徳宗教のように愛しており、彼らの最大野心キリスト教徒から盗むことであると論じたニーチェは、プラトンアリストテレスが「理想国家」にとって無用な者の遺棄肯定し古代ギリシアでは不具新生児遺棄は普通であったことから「不具の子供を生かしておく方がもっと残忍なことだ」と書いた。 進化論社会ダーウィニズムは、ドイツ帝国アングロサクソン諸国で力の福音説かれる際に権威となったトライチュケ諸民族生存競争によってしか繁栄できないし、また戦争永久になくなってしまえば人間の魂の至高の力が減退しエゴイズム支配する論じたドイツジャーナリストベータは『ダーウィンドイツおよびユダヤ人、またはユダヤ-イエズス会』(1876)で寄生的なセム人生産的なゲルマン=アーリア人との間での生存競争に対して反ユダヤ法公布要求しゲルマン民族精神退化させる「寄生生物の根絶」を主張した農業家アレクサンダー・ティレは社会進化のために醜い人間結婚禁止すべきだ説いたアメリカ大統領セオドア・ルーズベルト(任期1901-9)は絶え生存闘争語った1899年遺伝学者人類学者ヴァシェ・ド・ラプージュは、フランス革命破産権力者金髪長頭人から短頭人に代わったためであり、民主主義進展によって短頭人種下層階級権力集中していき、フランス偉大さ作った長頭人種アーリア人消滅し生まれながら奴隷である短頭人種のように自分主人探すためアーリア人がいないところでは中国人ユダヤ人支配下生きるとした。そして、20世紀には頭指数が高いか低いかのために数百人々殺し合い大量虐殺目の当たりにするだろうと予言した。ラプージュは「悪貨は良貨を駆逐する」のグレシャムの法則援用して「悪い血良い血を駆逐する」とも述べた。ラプージュは反ユダヤ主義者というよりもアーリア主義者であり、劣等短頭人種を「アルプス人」とし、長頭人種アーリア人を「ヨーロッパ人」と定義し短頭人種長頭人種混血避けるために優生学による断種政策提唱した法学者でもあったラプージュは遺産相続遺伝について考察し父権否定しながら、近親交配遺伝の力をひきあげるし、優れた人種死ねば国家死滅するとし、子に去勢を強いる父である神とキリスト教否定して太陽男根崇拝する宗教提唱したヴィルヘルム2世はラプージュを「フランス唯一の偉人」と称賛した人種衛生学人類学者オット・アモン、優生学者アルフレート・プレーツ、シャルマイヤーらが展開した1892年にはスイス精神科医オーギュスト・フォレルが民族衛生学観点から精神障害者女性に対して断種手術施し1897年にはドイツ婦人科医エルヴィン・ケーラーが遺伝病女性断種手術(卵管切除)を行った法律家アドルフ・ヨストは『死への権利』(1895)で、不治の病人は安楽死への権利をもつし、不治精神病患者の殺害本人意思表示がなくとも医師の判断によって可能とした。 優生学者アルフレート・プレーツはカウツキー社会主義やフェリクス・ダーンの人種主義融合した『我々の人種能力弱者保護人種衛生学社会主義的理想研究』(1895)において、遺伝子次元での不適切要素除去することによって適者生存社会主義調和図りアーリア人種保護するための人種衛生学提唱した。ただし、ユダヤ人アーリア起源とした。彼は人種感覚鈍らせた原因としてキリスト教民主主義批判した1904年プレーツ社会学者A・ ノルデンホルツや動物学者L・ プラーテらと世界初優生学専門誌人種社会生物学』を創刊し第二次世界大戦前後には攻撃的な生物学思想主要機関となった1905年プレーツ人種衛生学会を作りヘッケルヴァイスマンゴルトン加わった1907年には北方協会Ring der Norda)を創設した社会学者マックス・ヴェーバーによって1910年第一回社会学者大会招待されプレーツ講演人種概念社会概念」で、社会発展鈍化原因社会的弱者保護政策生存闘争に基づく自然淘汰低減にあるとし、民族衛生学的な解決策として性的淘汰によって劣悪な遺伝子継承を防ぐこと、そして究極的な解決策として生殖細胞淘汰による劣等生細胞消滅(後の遺伝子操作)を提唱したヴェーバープレーツ人種概念曖昧であり、民族生物学固有の問題実質的な限界踏みはずしてならない批判した。ただし、ヴェーバー黒人インディアンにも知的な上層部がいるが白人種混血多く、また知的に未熟な黒人を「半ども」と表すように白人種優越認め一方で外見白人なのに黒人との混血重視するアメリカ人批判した。またヴェーバーは「職業としての学問」(1917)では重態患者精神障害者家族安楽死嘆願した場合でも医師患者の命を保持しようとするが「生命保持値するかどうか」は医学の問うところではないとした1908年にはイギリス優生教育委員会1910年にはアメリカで優生記録局が作られた。アメリカでは優生学者ダベンポート1911年には『人種改良学』を発表したゴルトン優生学では常習犯隔離精神障害者生殖の制限主張されアメリカでは1907年以降各州断種法制定され移民排斥法や禁酒法などにも影響見られた。

※この「進化論から優生学・人種衛生学へ」の解説は、「反ユダヤ主義」の解説の一部です。
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