進化論と宗教とは? わかりやすく解説

進化論と宗教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 12:02 UTC 版)

進化論」の記事における「進化論と宗教」の解説

詳細は「創造論」を参照 創造論聖書クルアーンといった経典内の創造主による創造主張する創造論については多くの説があるため、項目参照のこと。 「生物進化する」というテーゼは現在では学会科学的仮説として受け入れられているが、宗教や国によっては信仰的社会的に受け入れられているとは限らずアメリカには進化論裁判の例がある。アメリカ合衆国南部などいくつかの州では、プロテスタント一部根強い聖書主義立場から進化論否定されている。ケンタッキー州には、進化論否定する創造博物館建てられている。 カトリック教会では1996年10月ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が、「進化論仮説上のもので、肉体進化論認めるが、人間の魂は神に創造されたもの」だと述べた。つまり、人間精神活動源泉たる魂の出現は、進化論的過程とは関係ないとする限定つきで、進化論キリスト教矛盾しないものと認めた1950年回勅「フマニ・ゲネリス」(en:Humani generis)でも、生物として肉体起源研究ある限り許容されているが、この回勅時点では、進化論は未証明学説とされ否定的に扱われており、進化論を既に実証されたものとして扱う立場批判されている。1958年刊行されフランシスコ会訳『創世記』解説では、進化論誤りであることが明らかになった、という記述なされている。その後ヨハネ・パウロ2世次の教皇ベネディクト16世は「進化論全ての問い答えていない」と否定的な認識示した。しかしさらに次の教皇フランシスコは「神は、自然の法則に従って進化するように生物創造した」と進化論創造論矛盾しない見解示した近年アメリカ合衆国いくつかの州において、創造論明確に学校教育持ち込まれようとしている。1980年代には裁判創造論理科教育への持ち込み禁ずる判決出された。そのために、「神による創造科学的に解明する運動創造科学として湧き上がった。しかし創造科学創造論同様に科学ではなく宗教であるという連邦裁判所判決下された。米世論調査企業ギャラップGallup)が2010年2月11日発表した調査結果によると、進化論信じていると答えた米国人40%であり、過去10年間に行われた調査においても、44-47%の人が、神が過去1万年ほどの間に、人間現在のような形で創造した信じていると答えている。 詳細は「インテリジェント・デザイン」を参照 その後創造科学運動は、宇宙生命設計し創造した存在認めインテリジェント・デザイン説(ID説)を公教育取り入れようとする動きがある。インテリジェント・デザインでは、極めて精妙生物細胞器官のしくみを例に挙げて、「複雑な細胞からなる生体組織進化によってひとりでにできあがったとは考えられない。従って創造に際しては『高度な知性』によるデザインが必要であった」といった主張なされている。また創造科学同様に創造論科学的根拠持たせよう試みているが、運動の中心は「くさび戦術」と呼ばれるのである。これはインテリジェント・デザイン科学的妥当性立証するではなく進化論不十分な点、まだ説明できない生物現象強調するジョージ・W・ブッシュは「平等のために進化論のみならずインテリジェント・デザイン学校理科時間教えるべきだ」と述べたが、翌日報道官撤回した2005年11月カンザス州教育委員会多数決結果ID説立場を採り、進化論を「問題の多い理論」として教え科学教育基準採決した。この決定にあたりID説支持する創造科学者たちを批判するために作られパロディ空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団」が登場しネット世論大い沸かせた。インテリジェント・デザインペンシルベニア州ドーバー学区における裁判で、宗教であり科学ではないと指摘された。 保守的なイスラム教でも進化論否定されるイスラーム原理主義方針をとるアラブ イスラーム学院ウェブサイトには進化論否定する文章掲載されている。実態変態に近いと言えるポケットモンスター進化ハラーム扱いを受け、カード交換して収集するポケモンカードゲーム遊び方イスラム禁じられる賭博にあたるとされたことも併せて保守的なイスラム諸国ではポケモンゲームやグッズの販売制限が行われるに至った詳しくポケットモンスター#関連事件・批判の「イスラム諸国」の参照トルコエルドアン政権2017年公立学校義務教育課程進化論教えないことを決めた。「進化論理解には哲学的な素養が必要で、児童・生徒には難し過ぎる」との理由挙げているが、世俗主義者からは批判出ている。 なお、イスラム新宗教バハイ教のアブドゥル・バハーも書簡の中で進化論否定している。 エホバの証人明確に進化論否定している。 創造論においては生物遺伝による変化認められている。たとえば、色の黒い人からは黒い子供生まれ、背の高い人の子供は背が高くなることが多いとか、トラライオンは共通の先祖持ち一方は縞のある個体群分かれ一方たてがみをもつ個体群分かれたので、両者は姿が似ており、先祖は同じであろうとか、その程度考え方認めている。(つまり創造説を取るが、現生生物数百種が一度創造されたのではなくある程度は共通の先祖さかのぼりうるとしているのであるエホバの証人は、全ての陸上生物ノア時代大洪水によって全て滅びた信じており、ノアの箱舟乗せられ一つがいずつのみが生き残った信じている。その場合、哺乳類だけでも4000種以上もある、全ての陸上動物一種類ずつ、大型タンカー程度大きさ箱舟乗せることなど、物理的に不可能である。よって、すべての種を一つがいずつ乗せたではなくある程度の共通の先祖にあたる動物たち数百種を一つがいずつ乗せたのであるとしていて、現生動物はそれらの子孫たちであるとしている。ただしその場合、たかだか5000年のうちに任意の数百一つがいずつの動物たちが、現在見られるだけの多様性個体数増えていることになり、むしろ進化論以上に速い速度での種の変化支持している事になる。)ただしそのような変化は「進化」ではないとし、例えば、魚類両生類に、爬虫類鳥類になるといった構造器官根本から変わるような進化否定している。(ただし、そのような変化進化境界線明確にはしていない。) 法輪功では、進化論否定中国共産党批判と結びつけて展開されており「大紀元時報」には進化論否定する記事掲載されている。 このようにアブラハム系を中心として諸宗教からの反対受けてきた歴史のある進化論であるが、オカルトニューエイジ分野では教義そのものへの取り込みが行われてきた。意識霊性進歩・向上を「進化」と呼称するのが代表的な例である。ルドルフ・シュタイナーブラヴァツキー夫人のように、著書のなかで神秘学的な教義基づいた人類進化過程記した人物もいる。 生物学者中には敬虔な信仰を持つものもおり、その一部生物進化を神の創造過程見なしている。この中には遺伝学者テオドシウス・ドブジャンスキー現代では分子生物学者フランシス・コリンズなどが挙げられる。また他の一部理神論信じ生物進化信仰両立させている。

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「進化論と宗教」を含む「進化論」の記事については、「進化論」の概要を参照ください。

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