進化論と社会科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 12:02 UTC 版)
19世紀後半にハーバート・スペンサーは自然選択説を社会に適用して、最適者生存によって社会は理想的な状態へと発達していくという社会進化論を唱え、ヘッケルは国家間の競争により、社会が発達していくという社会進化論を唱えた。スペンサーは生物は下等から高等へと進歩していくというラマルクを高く評価していたと言われており、進化に目的や方向性はないと考えるダーウィニズムではないと思われる。その主張は優生学とも異なる。その例によくあげられるナチズムは進化論の原理原則とは対立しており、関連付けるのは不可能である。 以下のナチズムの主張は進化論とは全く相容れない。 人為的に他民族を絶滅し、固定化する→分化、多様性や変異の否定 優等人種であるアーリア人と劣等人種であるユダヤ人の生殖では前者の形質が後者に劣ってしまう→適者生存の否定 進化の原動力は意志→適応や順応などの否定 20世紀後半には、エドワード・オズボーン・ウィルソンがその著作『社会生物学』(1975)のなかで、進化論的社会生物学が将来、人間についての社会科学に大きな影響を及ぼすだろうという展望を述べて、大論争をひきおこした。その初期の批判のなかには、ウィルソンや社会生物学の主張をナチズムにむすびつけたものもみられたが、論争を通じて、そうした批判は誤解にもとづくものであることが次第にあきらかになった。この論争の経緯については、社会学者ウリカ・セーゲルストローレがその著作『真理の擁護者たち』(邦訳『社会生物学論争史』)のなかで詳細かつバランスよくまとめている。
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