最高裁判所判決
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「高田事件 (法学)」の記事における「最高裁判所判決」の解説
最高裁判所1972年12月20日大法廷判決では、免訴の判決をした第一審を支持し、第二審を破棄し、検察官の控訴を棄却した。 1964年頃に被告人団長および弁護人から大須事件の進行とは別に本件の審理を再び開くことに異議がない旨の意思表明が裁判所側に対してなされたこと、検察官から積極的に審理促進の申出がなされた形跡が見あたらないこと、名古屋地裁が長期間、審理を再開できなかった合理的理由がないことなどを挙げた上で以下のように判断した。 「審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判の保障条項によつて憲法がまもろうとしている被告人の諸利益が著しく害せられると認められる異常な事態が生ずるに至つた場合には、さらに審理をすすめても真実の発見ははなはだしく困難で、もはや公正な裁判を期待することはできず、いたずらに被告人らの個人的および社会的不利益を増大させる結果となるばかりであつて、これ以上実体的審理を進めることは適当でないから、その手続をこの段階において打ち切るという非常の救済手段を用いることが憲法上要請されるものと解すべきである。」 天野武一裁判官は「審理遅延の主たる原因とその遅延から受ける被告の不利益の有無やその程度に関する事実関係についてもっと調べるために高裁に差し戻すべき」とする反対意見を出した。
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最高裁判所判決
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最高裁判所昭和44年10月15日大法廷判決は以下の趣旨により、被告人の上告を棄却した。 「…芸術的・思想的価値のある文書であつても、これを猥褻性を有するものとすることはなんらさしつかえのないものと解せられる。もとより、文書がもつ芸術性・思想性が、文書の内容である性的描写による性的刺激を減少・緩和させて、刑法が処罰の対象とする程度以下に猥褻性を解消させる場合があることは考えられるが、右のような程度に猥褻性が解消されないかぎり、芸術的・思想的価値のある文書であつても、猥褻の文書としての取扱いを免れることはできない」 この判決には1人の補足意見、1人の意見、5人の反対意見がついた。その中で注目されたのが裁判官田中二郎の反対意見である。田中は、相対的わいせつ概念の観点から本書がわいせつ文書には当たらないとの判断を下した。 「この作品が仮りにいくらかの猥褻の要素をもつているとしても、刑法一七五条にいう猥褻文書に該当するかどうかは、その作品のもつ芸術性・思想性およびその作品の社会的価値との関連において判断すべきものであるとする前叙の私の考え方からすれば、これを否定的に解しなければならない。すなわち、この作品は、芸術性・思想性をもつた社会的に価値の高い作品であることは、一般に承認されるところであり、原著者については述べるまでもないが、訳者である被告人澁澤龍雄は、マルキ・ド・サドの研究者として知られ、その研究者としての立場で、本件抄訳をなしたものと推認され、そこに好色心をそそることに焦点をあわせて抄訳を試みたとみるべき証跡はなく、また、販売等にあたつた被告人石井恭二においても、本訳書に関して、猥褻性の点を特に強調して広く一般に宣伝・広告をしたものとは認められない」 また、裁判官色川幸太郎の反対意見は、知る権利を打ち出したことで注目された。 「憲法21条にいう表現の自由が、言論、出版の自由のみならず、知る自由をも含むことについては恐らく異論がないであろう。辞句のみに即していえば、同条は、人権に関する世界宣言一九条やドイツ連邦共和国基本法五条などと異なり、知る自由について何らふれるところがないのであるが、それであるからといつて、知る自由が憲法上保障されていないと解すべきでないことはもちろんである。けだし、表現の自由は他者への伝達を前提とするのであつて、読み、聴きそして見る自由を抜きにした表現の自由は無意味となるからである。情報及び思想を求め、これを入手する自由は、出版、頒布等の自由と表裏一体、相互補完の関係にあると考えなければならない。ひとり表現の自由の見地からばかりでなく、国民の有する幸福追求の権利(憲法13条)からいつてもそうであるが、要するに文芸作品を鑑賞しその価値を享受する自由は、出版、頒布等の自由と共に、十分に尊重されなければならない」
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最高裁判所判決
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「サラリーマン税金訴訟」の記事における「最高裁判所判決」の解説
1985年(昭和60年)3月27日大法廷判決は、原告の上告を棄却した。 「旧所得税法が必要経費の控除について事業所得者等と給与所得者との間に設けた前記の区別は、合理的なものであり、憲法一四条一項の規定に違反するものではない」 「所得の捕捉の不均衡の問題は、原則的には、税務行政の適正な執行により是正されるべき性質のものであつて、捕捉率の較差が正義衡平の観念に反する程に著しく、かつ、それが長年にわたり恒常的に存在して租税法制自体に基因していると認められるような場合であれば格別……そうでない限り、租税法制そのものを違憲ならしめるものとはいえない」 「仮に所論の租税優遇措置が合理性を欠くものであるとしても、そのことは、当該措置自体の有効性に影響を与えるものにすぎず、本件課税規定を違憲無効ならしめるものということはできない。」 なお、本判決には伊藤正己をはじめ4裁判官が補足意見を述べており、2裁判官が伊藤の意見に同調している。
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最高裁判所判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:35 UTC 版)
差し止め請求は原判決破棄、第1審判決取消し、訴え却下。 過去の損害賠償は上告棄却(請求認容)。 将来の損害賠償は原判決破棄、第1審判決取消し、訴え却下。 国営空港には国の航空行政権が及ぶため、民事訴訟の対象にならない。 過去の損害は特別の犠牲により成り立つものであり、国家賠償法第2条の適用が認められる。 しかし、将来の損害については程度の確定が困難であり、請求は認められない。
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最高裁判所判決
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「マンション一括受電」の記事における「最高裁判所判決」の解説
2019年3月5日、最高裁判所第三小法廷は、マンション一括受電の契約について、管理組合の総会での決議は専有部には効力を有さず、専有部の既存の個別契約を解約する義務は無い、とする判決を下した。
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最高裁判所判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 06:26 UTC 版)
最高裁判所平成元年(1989年)12月14日判決により、被告人の上告は棄却された。その主旨は「酒税法の右各規定は、自己消費を目的とする酒類製造であっても、これを放任するときは酒税収入の減少など酒税の徴収確保に支障を生じる事態が予想されるところから、国の重要な財政収入である酒税の徴収を確保するため、製造目的のいかんを問わず、酒類製造を一律に免許の対象とした上、免許を受けないで酒類を製造した者を処罰することとしたものであり、これにより自己消費目的の酒類製造の自由が制約されるとしても、そのような規制が立法府の裁量権を逸脱し、著しく不合理であることが明白であるとはいえず、憲法31条、13条に違反するものでない」というものだった。
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最高裁判所判決
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ウィキブックスに行政事件訴訟法第9条関連の解説書・教科書があります。 一審・二審が原告適格を認めなかったのに対し、最高裁判所は原告適格を肯定した。 新たに付与された定期航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。 —最二小判平元・2・17 そのうえで、(1)空港の変更後の着陸帯及び滑走路が告示された開始期日より前から供用されていること、(2)非計器用である空港設備が計器用に供用されていること、(3)ソウル線の利用客の大部分は遊興目的のツアー団体であり、また韓国側との相互乗り入れにより供給過剰となることをもって免許の違法事由とした原告の主張は、自己の法律上の利益に関係のないものであるとして、請求を棄却した。 上告人の右違法事由の主張がいずれも自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであることは明らかである。そうすると、本件請求は、上告人が本件各免許の取消しを訴求する原告適格を有するとしても、行政事件訴訟法一〇条一項によりその主張自体失当として棄却を免れないことになるが、その結論は原判決より上告人に不利益となり、民訴法三九六条、三八五条により原判決を上告人に不利益に変更することは許されないので、当裁判所は原判決の結論を維持して上告を棄却するにとどめるほかなく、結局、原判決の前示の違法は、その結論に影響を及ぼさないこととなる。また、所論違憲の主張は、実質において法令違背を主張するものにすぎない。それゆえ、論旨は、採用することができない。 —最二小判平元・2・17
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最高裁判所判決
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「マレーシア航空事件」の記事における「最高裁判所判決」の解説
最高裁第二小法廷は昭和56年10月16日判決で、次のように述べて、マレーシア航空側の上告を棄却した。 「思うに、本来国の裁判権はその主権の一作用としてされるものであり、裁判権の及ぶ範囲は原則として主権の及ぶ範囲と同一であるから、被告が外国に本店を有する外国法人である場合はその法人が進んで服する場合のほか日本の裁判権は及ばないのが原則である。しかしながら、その例外として、わが国の領土の一部である土地に関する事件その他被告がわが国となんらかの法的関連を有する事件については、被告の国籍、所在のいかんを問わず、その者をわが国の裁判権に服させるのを相当とする場合のあることをも否定し難いところである。そして、この例外的扱いの範囲については、この点に関する国際裁判管轄を直接規定する法規もなく、また、よるべき条約も一般に承認された明確な国際法上の原則もいまだ確立していない現状のもとにおいては、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により条理にしたがつて決定するのが相当であり、わが民訴法の国内の土地管轄に関する規定、たとえば、被告の居所(〔改正前、以下同じ〕民訴法二条)、法人その他の団体の事務所又は営業所(同四条)、義務履行地(同五条)、被告の財産所在地(同八条)、不法行為地(同一五条)、その他民訴法の規定する裁判籍のいずれかがわが国内にあるときは、これらに関する訴訟事件につき、被告をわが国の裁判権に服させるのが右条理に適うものというべきである。」そして、被告はマレーシアの会社だが東京に営業所を有するため、日本の裁判管轄に服させるのが合理的であるとした。
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