きゅうはくふせい‐の‐しんがい〔キフハクフセイ‐〕【急迫不正の侵害】
急迫不正の侵害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 13:17 UTC 版)
正当防衛は急迫不正の侵害に対するものでなければならない。 急迫急迫とは法益の侵害が切迫していることをいい、過去の法益侵害や将来の法益侵害に対しては正当防衛は成立しない。 急迫性は防衛の効果の発生する時を標準に決定される。忍び返しのような防衛設備をあらかじめ設けておき、その防衛の効果が急迫な侵害に対して発生するような場合には正当防衛が成立し得る。 急迫性は被害の現在性とは無関係である(昭和24年8月18日最高裁判所判決刑集3巻9号1467頁)。 急迫性は侵害が予期されていたとしても失われない(昭和46年11月16日最高裁判所判決刑集25巻8号996頁)。一方、侵害を契機として相手方に積極的に加害行為を行う意思(積極的加害意思)を有するときは侵害の急迫性の要件は否定される(昭和52年7月21日最高裁判所判決刑集31巻4号747頁)。 不正不正とは違法であることをいう。客観性違法性論によると、責任無能力者の行為に対する正当防衛や故意のない行為に対する正当防衛も成立する。 動物の挙動や自然現象が「不正の侵害」に当たるかどうかという問題(対物防衛)がある。ある者が飼い犬を杭につないでいたところ大地震が発生して杭が倒れ、暴れ出した飼い犬が通行人に噛みついてきた場合に、通行人のその犬に対する反撃に正当防衛が成立するかという問題である。法は人間共同体の規範であり違法判断の対象は人間の行為に限られるとし緊急避難の問題として扱うべきとする対物防衛否定説と人間共同体と関係のある動物については違法評価の対象として考えるべきとする対物防衛肯定説がある。 侵害侵害とは権利に対する実害や危険があることをいう。侵害にあたる行為は作為か不作為かを問わない。
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